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分析 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】残留農薬試験用固相抽出カートリッジ Presep®-Agri

本記事は、和光純薬時報 Vol.62 No.3(1994年7月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 上森 仁志が執筆したものです。

ゴルフ場に散布される農薬による水質汚染が社会的な問題となっています。このため、平成 2 年には厚生省、環境庁によりゴルフ場使用農薬の水質目標(指針値)が設定されました。また最近では厚生省による水質基準の改正、及び環境庁による環境基準の改正に伴い、測定項目に農薬が追加設定され、その測定が義務づけられました。これら残留農薬測定の前処理方法としては、従来からの溶媒抽出法に代わり、簡易操作で回収率が高く、時間効率の良い固相抽出法が主流となり、これらの試験方法に採用されています。

先に筆者らのグループでは、農薬 9 種類を迅速に分析可能な専用カラム(Wakopak WS-Agri-9)と専用溶離液を開発しましたが、今回、前処理用固相抽出カートリッジとして Presep®-Agri を開発しました。

本カートリッジはポリマー系素材をベースにし、従来回収率の低かったアシュラム、オキシン銅も高い回収率で抽出できるように工夫されています。以下、固相抽出条件、検水の pH の影響、再現性、クロマトグラムを示しました。

検水の pH はオキシン銅の回収率に大きな影響を与えるために注意が必要です。Presep®-Agri は pH4.0 で最大の回収率を示します。

Presep®-Agri 農薬 9 成分の回収率試験

Wakopak Wakosil Agri-9 で迅速分析可能な 9 種類の農薬(アシュラム、オキシン銅、MCPP、チウラム、シデュロン、イプロジオン、TPN、ペンシクロン、ベンスリド)の回収率を下記条件にて求めた。

1)固相抽出条件
試料溶液の調製:

各農薬標準品をアセトニトリル(チウラム測定用)に溶解し、90%アセトニトリル水溶液で、各 10 µg/mL の濃度に混合調製したものを標準液とした。

蒸留水 500mL を 0.1N HNO3 にて pH4.0 に調整し、標準液 5 mL を加えたものを試料溶液とした。

カートリッジのコンディショニング:

アセトニトリル 10 mL、蒸留水 20 mL を通液し充填剤は乾燥させないように注意した。

試料溶液の通液:

一定減圧下でカートリッジに試料溶液を通液した。流速は、10-20 mL/min の一定速度とした。試料通液後は、カートリッジ内の水分を除去するため、数分間空気を通した。

溶出:

アセトニトリル(チウラム測定用)5 mL にて溶出した。これを試料抽出液とした。

2)HPLC 測定条件
カラム:

Wakopak WS Agri-9, 4.6φ × 150 mm

溶離液:

Wakosil Agri-9, 4.6φ × 150 mm 専用溶離液

流速:

1.0 mL/min. at 35℃

検出器:

フォトダイオードアレイ
波長 270 nm (アシュラム)
240 nm (オキシン銅)
230 nm (その他)

試料:

標準液、試料抽出液 各 10 µL

3)回収率計算法

農薬 9 成分 各々のピーク面積より回収率を求めた。

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4)回収率の再現性(n = 5)

蒸留水 500 mL を 0.1N HNO3 で pH 4.0 に調整し、1)~3)に準じて回収率を求めた。5 回同一操作を行って求めた回収率結果を表 1 に示した。回収率の平均値は、いずれも 90%以上と良好であった。

表 1. 農薬回収率の再現性(n = 5)

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