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【テクニカルレポート】大気中のアルデヒド、ケトンの HPLC 分析(その 2)

本記事は、和光純薬時報 Vol.66 No.4(1998年10月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 上森 仁志が執筆したものです。

前報において、1) アルデヒド類は有害大気汚染物質として、国内では大気汚染防止法(2 成分)、悪臭防止法(6 成分)により、また米国では、EPA 等により 15 成分の測定法が示され、2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(DNPH)誘導体として GC または HPLC により分析されていること。2) ODS(C18)シリカを用いる HPLC 分析法は GC 法に比べ幾つかの利点があること。3) 国内の防止法への適応検討において、Wakosil-II5C18RS 充てん剤が有効に利用できることを報告した。

しかし、ODS シリカを用いる HPLC 分析では、DNPH-n-ブチルアルデヒドと DNPH-イソブチルアルデヒドを分離できないという欠点があり、その分離定量には GC 法が必須要素となっていた。今回、筆者らのグループではこれらの問題点を解決し、しかも EPA 法にも対応可能な分析システムの構築を目的に検討を進めた結果、シリカゲルにトリアコンチル基(C30)を化学結合させた充てん剤が、DNPH-n-ブチルアルデヒドと DNPH-イソブチルアルデヒドの分離に有効であり、しかもアルデヒド類の多成分一斉分析に対応可能であるとの新知見を得、グラジエント溶出法による DNPH-アルデヒド分析システムを完成させた。

以下分析例として、16 成分標準品および屋外大気を DNPH 含浸シリカ捕集管で誘導体化後、アセトニトリルで溶出した試料のクロマトグラムを示した。

jiho_66-4_tech_01.png

ODS シリカを用いる分析法は、DNPH-n-ブチルアルデヒドと DNPH-イソブチルアルデヒドの分離が達成されないものの、イソクラティック法による短時間分析が可能であり、大気汚染防止法等の限定成分の測定には有効な方法である。また一方、今回紹介した DNPH-アルデヒド分析システムは、分析に時間を要するものの、従来 HPLC 法で分離が不可能であった DNPH-n-ブチルアルデヒドと DNPH-イソブチルアルデヒドの完全分離を達成し、しかも EPA 処方にも適応可能など今後の利用度は高いものと考えている。

測定目的に応じて両法を使い分けていただければ幸いである。

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