ミクログリアマーカー抗体のスタンダード

抗Iba1抗体

Iba1 (Ionized calcium-binding adapter molecule 1)は、中枢神経系ではミクログリア特異的に発現しているため、ミクログリアマーカーとして利用されています。末梢組織ではマクロファージに発現しており、AIF-1の名でも知られています。当社の「抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)」(製品コード 019-19741)はミクログリアマーカー抗体のスタンダードとして、世界中の研究者に使用されています。また新たに抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)と同等の性能を有する「抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体」 (製品コード 018-28523 )を開発しました。

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Iba1とは?

Iba1 (Ionized calcium-binding adapter molecule 1)は、約17 kDaのカルシウム結合タンパク質です。中枢神経系ではミクログリア特異的に発現しているため1)、ミクログリアマーカーとして利用されています。静止型ミクログリアと活性化ミクログリアの両方で発現していますが、活性化ミクログリアでは発現が増加するという報告もあります2)。なお末梢組織ではマクロファージにも発現しており、AIF-1 (Allograft inflammatory factor-1)の名で知られています。

Iba1は細胞内においてF-アクチンと結合し、アクチン線維束を形成する役割を担っています。このアクチン線維束の形成は細胞の移動や貪食の際に観察される細胞膜の波打ち構造形成に必要であると考えられています3)

富士フイルム和光純薬の抗Iba1抗体

抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)を用いたマウス小脳ミクログリアの免疫組織染色
マウス小脳の免疫組織染色
抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)

抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)

当社の「抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)」(製品コード 019-19741)は、(1) 免疫組織染色においてミクログリアの突起まで染色することができる、(2) 使用濃度は1:500-1:1,000と比較的少量で使用することが可能、(3) 論文での実績が豊富であることから、ミクログリアマーカー抗体のスタンダードとして世界中の研究者に使用されています。

  • 使用文献数の推移と掲載雑誌

抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)の掲載論文数は年間1,300報を超え、トップジャーナルにも多数掲載されております。

年間使用文献数の推移

年間使用文献数の推移
“Iba1 019-19741 Wako” のキーワードにてGoogle scholarで検索

掲載雑誌例

Journal Number of Publications Impact Factor in 2022
Nature 39 49.962
Cell 35 41.582
Science 2 47.728
Nature Medicine 16 53.44
Nature Neuroscience 65 24.884
Nature Immunology 11 25.606
Nature Biotechnology 7 54.908
Nature Methods 4 28.547
Nature Biomedical Engineering 5 25.671
Nature Cell Biology 2 12.11
Neuron 44 10.37
Total 230
抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体を用いたマウス大脳皮質ミクログリアの免疫組織染色
マウス大脳皮質の免疫組織染色
抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体

ウサギモノクローナル抗体の開発

当社は2023年にウサギモノクローナル抗体である「抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体」 (製品コード 018-28523)の製品化に成功しました。本抗体はマウス、ラットの免疫組織染色において、従来の抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)と同等の染色像を得られることを確認しております。さらにマウス網膜の免疫組織染色においても良好な結果が得られることが報告されています(アプリケーションデータ参照)。

「抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体」を研究者にご評価いただきました
2023年3-5月に開催した「抗Iba1ウサギモノクローナル抗体 サンプル提供キャンペーン」にて本抗体を研究者の皆様にご評価いただきました。ご提供いただいた実験データや評価アンケートの結果は以下よりご覧いただけます。

実験データ/評価アンケート

製品ラインアップ

選択チャート

選択チャート
※1 ヒト4)、イヌ5)、ネコ6)、 ブタ7)、マーモセット8)、ゼブラフィッシュ9)などで実績があります。
※2 略号 → FCM: フローサイトメトリー、IHC(F): 免疫組織染色(凍結切片)、IHC(P): 免疫組織染色(パラフィン切片)、ICC: 免疫細胞染色、WB: ウエスタンブロッティング

製品ラインアップ

免疫動物 ウサギ ヤギ マウス
コードNo. 018-28523 019-19741 013-27691 016-20001 016-26461 282-37691 015-28011 012-28401 013-26471 011-27991 016-26721 013-27593
概要 ウサギ
モノクローナル抗体
免疫組織染色
(凍結切片)と
免疫細胞染色
のスタンダード
パラフィン
切片用
ウエスタン
ブロッティング用
ビオチン結合 緑色蛍光色素(488)結合
(プロトタイプ)
SPICA Dye™ 568結合 SPICA Dye™ 594結合 赤色蛍光色素(635)結合 ヤギ
ポリクローナル抗体
マウス
モノクローナル抗体 (NCNP24)
マウス
モノクローナル抗体 (NCNP27)
標識 未標識 未標識 未標識 未標識 ビオチン 緑色蛍光色素 (488)
Ex=501 nm
Em=513 nm
SPICA Dye™ 568
Ex=556 nm
Em=591 nm
SPICA Dye™ 594
Ex=575 nm
Em=611 nm
赤色蛍光色素 (635)
Ex=634 nm
Em=654 nm
未標識 未標識 未標識
抗体種 モノクローナル抗体 ポリクローナル抗体 モノクローナル抗体
濃度
(mg/mL)
1.0-1.2 0.5-0.7 0.5-0.7 0.5-0.7 0.5-0.6 0.5-0.6 0.5-0.6 0.5-0.6 0.5-0.6 0.6-0.7 0.9-1.6 0.9-1.3
抗原 合成ペプチド(Iba1のC末端配列)
交差性 マウス
ラット
マウス
ラット
その他報告あり※1
マウス
ラット
ヒト
マウス
ラット
マウス
ラット
ラット マウス
ラット
マウス
ラット
マウス
ラット
マウス
ラット
マーモセット
マウス
ラット
ヒト
適用※2
数字は推奨濃度
IHC(F)
1:200-10,000
FCM
1:100-10,000
IHC(F)
1:500-1,000
ICC
1:500-1,000
IHC(P)
1:500-1,000
WB
1:500-1,000
IHC(F)
1:200-2,000
IHC(F)
1:200-2,000
IHC(F)
1:200-2,000
IHC(F)
1:200-2,000
IHC(F)
1:200-2,000
IHC(F)
1:250-1,000
IHC(P)
1:250-1,000
WB
1:1,000
IHC(F, DAB)
1:500-2,000
IHC(F, 蛍光)
1:100
IHC(P, DAB)
1:100-1,000
容量 100 μL 50 μg 50 μg 50 μg 100 μL 100 μL 100 μL 100 μL 100 μL 100 μL 50 μL 50 μL
※1 その他、ヒト4)、イヌ5)、ネコ6)、 ブタ7)、マーモセット8)、ゼブラフィッシュ9)などで報告があります。
※2 略号 → FCM: フローサイトメトリー、IHC(F):、 免疫組織染色(凍結切片)、IHC(P): 免疫組織染色(パラフィン切片)、ICC: 免疫細胞染色、WB: ウエスタンブロッティング

抗Iba1抗体によるミクログリア染色の標準プロトコル

当社の「抗Iba1、ウサギ(免疫細胞化学用)」(コードNo. 019-19741)は優れたミクログリアマーカー抗体であり、ミクログリアの突起まで染色することができます。ここでは、ミクログリアの免疫組織染色(マウス脳凍結切片)を例に、プロトコルや注意すべきポイントをご説明します。

1.切片の作製

1-1. マウスを4% パラホルムアルデヒド-りん酸緩衝液で灌流固定する。

[ポイント] 灌流固定をしない、あるいは固定が不十分なサンプルでは染色性が低下するという報告があります。4% パラホルムアルデヒド–りん酸緩衝液で灌流固定することを推奨します。

1-2. スクロースで置換後、凍結ブロックを作成する。

1-3. ミクロトームで50 μm 厚の切片を作成する。

[ポイント] 組織切片の厚さは20-50 μmが目安です。

2.洗浄–ブロッキング

2-1. 0.3% TritonX-100/PBSで5分×3回洗浄する。

2-2. 1% BSA, 0.3% TritonX-100/PBS で室温、2時間ブロッキングする。

[ポイント] バックグラウンドが高い場合は、ブロッキングのインキュベーション時間を延ばしたり、ブロッキング試薬を変えてみてください。1% BSA, 0.3% Tween-20/PBSや二次抗体ホストの3% 正常血清もブロッキング溶液として使用できます。

3.一次抗体反応

3-1. 抗Iba1, ウサギ(免疫細胞化学用)を1:1,000 濃度になるよう、1% BSA, 0.3% TritonX- 100/PBS に添加する。

[ポイント] 染色が弱い場合は抗体濃度を上げ、バックグラウンドが高い場合は抗体濃度を下げてください。推奨濃度は1:500-1,000 です。

3-2. 4℃で一晩インキュベーションする。

[ポイント] サンプルにもよりますが、ラットの小脳では2時間程度のインキュベーションでも十分に染色された実績があります。

4.洗浄

4-1. 0.3% TritonX-100/PBSで5分×3回洗浄する。

5.二次抗体反応

5-1. 蛍光色素標識抗ウサギIgG 抗体(例: Jackson ImmunoResearch社, メーカーコード: 111-545-144)を1:1,000 濃度になるよう、1% BSA, 0.3% TritonX- 100/PBS に添加する。

[ポイント] 染色が弱い場合は抗体濃度を上げ、バックグラウンドが高い場合は抗体濃度を下げてください。推奨濃度は1:500-1,000 です。

5-2. 室温で2 時間インキュベーションする。

[ポイント] バックグラウンドが高い場合は二次抗体の反応時間を短くしてください。推奨時間は1-2 時間です。

6.洗浄

6-1. 0.3% TritonX-100/PBS で5分×3回洗浄する。

[ポイント] バックグラウンドが高い場合は洗浄回数を増やしてください。

7.マウント

7-1. 封入剤を用いて切片をマウントする。

8.観察

8-1. 蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡などで切片を観察する。

トラブルシューティング

上記手法でミクログリアが上手く染色されない場合、切片作成後にいずれかの抗原賦活化処理を行ってください。
(A)クエン酸バッファー(pH 6.0) ,90℃,9 分
(B)TE バッファー(pH 9.0),90℃,9 分

その他のトラブルシューティングは製品詳細ページのFAQにも記載しております。

アプリケーションデータ

免疫組織染色

抗Iba1, ウサギモノクローナル抗体(6A4), 組換え体

動物種  マウス
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:1,000

動物種  マウス
部位   網膜
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:2,000
<データ提供>
東京大学 医学部附属病院
渡邉先生、岩川先生

抗Iba1, ウサギ (免疫細胞化学用)

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:1,000
<データ提供>
国立精神・神経医療研究センター
佐栁先生、真鍋先生、一戸先生、髙坂先生

動物種  マウス
部位   小脳
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:1,000

抗Iba1, ウサギ (パラフィン切片用)

動物種  ラット
部位   海馬近傍
サンプル パラフィン切片
抗体濃度 1:1,000

抗Iba1, ウサギ (ビオチン結合)

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:200
<データ提供>
国立精神・神経医療研究センター
佐栁先生、真鍋先生、一戸先生、髙坂先生

抗Iba1, ウサギ, 緑色蛍光色素(488)結合(プロトタイプ)

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:200

抗Iba1, ウサギ, SPICA Dye™ 568結合

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:200

抗Iba1, ウサギ, SPICA Dye™ 594結合

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:200

抗Iba1, 赤色蛍光色素(635)結合

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:200
<データ提供>
国立精神・神経医療研究センター
佐栁先生、真鍋先生、一戸先生、髙坂先生

抗Iba1, ヤギ

動物種  マウス
部位   海馬
抗体濃度 1:200
<データ提供>
京都薬科大学 統合薬科学系 高田先生

抗Iba1, マウスモノクローナル抗体(NCNP24)

動物種  ラット
部位   大脳皮質
サンプル 凍結切片
抗体濃度 1:1,000
<データ提供>
国立精神・神経医療研究センター
佐栁先生、真鍋先生、一戸先生、髙坂先生

ウエスタンブロッティング

抗Iba1, ウサギ (ウエスタンブロッティング用)

 1.Iba1 protein 10 ng
 2.ラットミクログリア 10 μg
 3.ラットニューロン 10 μg
 4.ラット大脳皮質 150 μg

SDS-PAGE: 5.5% stacking gel、12.5% running gel、100V
Blocking: 3% スキムミルク/TBS 、1時間、室温
一次抗体: 1:1,000濃度、3% スキムミルク/TTBS、Overnight、4℃
二次抗体: ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG(1/5,000)、3% スキムミルク/TTBS、1時間、室温

抗Iba1, ヤギ

 1.ラット初代培養ミクログリア 10 μg
 2.ラット初代培養ニューロン  10 μg
 3.ラット初代培養アストロサイト 10 μg
 4.ラット大脳皮質 100 μg

一次抗体: 抗Iba1, ヤギ 1:1,000
二次抗体: 抗ヤギ IgG, HRP標識

参考文献

  1. Imai, Y., Ibata, I., Ito, D., Ohsawa, K. & Kohsaka, S.: Biochemical and biophysical research communications, 224(3), 855(1996).
    A Novel Geneiba1 in the Major Histocompatibility Complex Class III Region Encoding an EF Hand Protein Expressed in a Monocytic Lineage
  2. Mori, I., Imai, Y., Kohsaka, S. & Kimura, Y.: Microbiology and immunology, 44(8), 729(2000).
    Upregulated expression of Iba1 molecules in the central nervous system of mice in response to neurovirulent influenza A virus infection
  3. Sasaki, Y., Ohsawa, K., Kanazawa, H., Kohsaka, S. & Imai, Y.: Biochemical and biophysical research communications, 286(2), 292(2001).
    Iba1 is an actin-cross-linking protein in macrophages/microglia.
  4. Zhao, S. et al.: Cell, 180(4), 796(2020).
    Cellular and Molecular Probing of Intact Human Organs
  5. Ahn, J.H. et al.: Lab. Anim. Res., 28(3), 165 (2012).
    Comparison of alpha-synuclein immunoreactivity in the spinal cord between the adult and aged beagle dog
  6. Ide, T. et al.: J. Vet. Med .Sci., 72(1), 99 (2010).
    Histiocytic Sarcoma in the Brain of a Cat
  7. Gaige, S. et al.: Neurotoxicology, 34, 135(2013).
    c-Fos immunoreactivity in the pig brain following deoxynivalenol intoxication: Focus on NUCB2/nesfatin-1 expressing neurons
  8. Rodriguez-Callejas, J.D. et al.: Front. Aging Neurosci., 8, 315(2016).
    Evidence of Tau Hyperphosphorylation and Dystrophic Microglia in the Common Marmoset
  9. Fantin, A. et al.: Blood, 116(5), 829(2010).
    Tissue macrophages act as cellular chaperones for vascular anastomosis downstream of VEGF-mediated endothelial tip cell induction

製品一覧

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抗Iba1, ウサギ (モノクローナル抗体)

抗Iba1, ウサギ (ポリクローナル抗体)

抗Iba1, ウサギ, 緑色蛍光色素(488)結合(プロトタイプ) (製品コード282-37691)は試作品であり、ラットの免疫組織染色でのみ使用できることを確認しています。

抗Iba1, ヤギ (ポリクローナル抗体)

抗Iba1, マウス (モノクローナル抗体)

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    【試薬】
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