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アルデヒドを分液操作で取り除く方法

本記事はWEBに混在する化学情報をまとめ、それを整理、提供する化学ポータルサイト「Chem-Station」の協力のもと、ご提供しています。

アルデヒドは入手しやすく高い反応性を持つので炭素-炭素結合形成によく用いられる化合物です。とりわけ多段階合成において有用な中間体ですが、反応後は大抵カラム精製で除去することになります。精製の手間を減らす方法として、Org. Process Res. Dev.に掲載されていた実験テクニック、アルデヒドを分液操作で除く手法をご紹介します。

"Liquid-Liquid Extraction Protocol for the Removal of Aldehydes and Highly Reactive Ketones from Mixtures"
Boucher, M. M.; Furigay, M. H.; Quach, P.; K.; Brindle, C. S.*
Org. Process Res. Dev., 21(9), 1394-1403(2017).
DOI: 10.1021/acs.oprd.7b00231

原理自体は、アルデヒド精製法として知られる手順[関連文献1,2]と同じです。つまり、アルデヒドと亜硫酸水素ナトリウムを反応させてbisulfite adductとし、再結晶などで精製してから逆反応を起こして回収してくるという手順です。

本論文では、bisulfite adductの水溶性に着目し、分液除去するための手順へ変更されています。主に最初のbisulfite adductの形成過程に様々な検討・工夫が凝らされています。

  1. 化合物をメタノールに溶かして飽和NaHSO3水溶液を加え、30秒振とうします。
  2. 有機溶媒(ヘキサン もしくは 10%酢酸エチル/ヘキサン)で分液抽出します。

いくつかの傾向や基質による制限は以下の通りです。
カラムができればそれに越したことはないですが、スケールが大きくなった時など、なるべく別の方法が必要となるケースでは、操作性の向上という点で検討する価値があります。

  • 脂肪族アルデヒド除去の場合は、MeOHの代わりに倍量のDMF溶媒で30分攪拌する必要があります(bisulfite adduct形成が非効率なため)。反応性ケトンも除去可能です。
  • bisulfite形成の効率差を利用して、アルデヒド/低反応性ケトン間の分離も可能です。
  • 電子の豊富なオレフィンをもつ化合物はSO2との反応副生物を生じる可能性が有ります。
    この場合、SO2溶解度の低いヘキサンで抽出すると解決します。
  • アミン化合物はNaHSO3と塩を形成するため、回収率が下がります。
関連文献
  1. "A Novel, Nonaqueous Method for Regeneration of Aldehydes from Bisulfite Adducts" Kjel, D. P., Slattery, B. J. and Semo, M. J. : J. Org. Chem., 64, 5722 (1999). DOI: 10.1021/jo990543v
  2. "2-Methyl-3-phenylpropanal" Buntin, S. A. and Heck, R. F. : Org. Synth., 61, 82 (1983). DOI: 10.15227/orgsyn.061.0082
外部リンク

亜硫酸水素ナトリウム(Wikipedia)

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