【クロマトQ&A】良いODSカラムとはどんなカラムでしょうか
本記事は、Analytical Circle No.30(2003年9月号)に掲載されたものです。
良いODSカラムとはどんなカラムでしょうか。
良いODSカラムを一口で説明するのは難しいのですが、一般には性能の高いカラムが良いODSカラムといえます。性能が高いとは
- 理論段数が高い
- ピークが左右対称である(シンメトリー係数が1に近い)
- カラム圧力が低い
- 耐久性(耐酸性・耐アルカリ性)が高い
- カラム間のばらつきが小さい
などが挙げられます。その他、価格が安い、アプリケーションデータが豊富といった条件も、良いODSカラムという場合含まれるのが普通です。
一方お使いになる方の中には、自分の分析対象物質が良好に分析できればそれが良いカラムだという考え方もあると思います。性能が高くても目的物が分離しないと仕方がないという事で、これも一理ある考え方です。分離に影響を与える要因としては
- シリカゲル(純度、粒度分布、細孔径、比表面積)
- シリル化剤(ODS化剤、エンドキャッピング剤)の種類、炭素含有率
- 反応条件(反応時間、温度、圧力、モノメリック・ポリメリック)
などがあります。これらの要因の組み合わせで、前述のカラム性能や、疎水性相互作用、極性、配位結合性、平面認識能などの性質が異なる充てん剤が合成されます。
現在も全ての分析対象物質に最適なカラムは無く、分析に適したカラムを選択する必要があります。ルーチン分析は決まった分析対象物質を決まったカラムで分析するのですが、様々な性質の物質の分析方法(分析条件)を検討する場合、通常何種類かカラムを試して適当なカラムを選択します。限られた物質しか分析できないカラムであれば、それだけ多くのカラムを試さなくてはならない可能性が高くなり、最適なカラムにたどり着くのに多大な時間を費やすことになります。それに対し、多くの物質の分析に適したカラムを最初に試せば短時間で分析条件を決定できる可能性が高くなると考えられます。分析条件検討には多くの物質の分析に適したカラムがより良いODSカラムといえます。