【クロマトQ&A】HPLCで分取を行いたいのですが、最適分離条件を決めるよい方法はありますか。
本記事は、Analytical Circle No.6(1997年9月号)に掲載されたものです。
HPLCで分取を行いたいのですが、最適分離条件を決めるよい方法はありますか。
直接分取カラムで最適分離条件を検討するのは、多くのサンプルを必要とすること、分取カラムが高価なこと等から、分析サイズのカラムであらかじめ条件を設定し、それを分取サイズに移行するという手段が通常とられます。
この場合注意しないといけないのは、分析カラムと分取カラムで充てん剤の粒度分布が異なるとスムーズな条件移行ができない点です。分析と分取で同じ充てん剤を用いればこのような問題は起こりません。とはいえ分析サイズの充てん剤をそのまま分取に使用したのでは、圧力が高くなりすぎ条件が制約されます。逆に圧力が低いとはいっても理論段数が低ければ、HPLC分取の長所が生かされません。つまり、あるレベルの分離性能を有しつつ使用時の圧力が抑えられた分取専用充てん剤を用いる事が、大口径カラムにスムーズに条件移行を行う秘訣といえます。
次に条件移行の問題ですが、注入量と理論段数・分離能の関係については、移動相の線速度を同一にした条件下では、口径の異なるカラム間にパラレルな関係が成立し、スムーズな条件移行が可能となります。このことは分析サイズのカラムを使用して最適分離条件の検討を行えば、そのまま分取サイズのカラムへ条件の移行ができることを意味しています。
<p前記条件を満たす充てん剤を用いた分取応用例として、アルブチンの分取例を図に示しました。圧力は低く抑えられ、また内径4.6 mmから50 mmφまでほぼ同様の性能を有していることがわかります。
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