規定度(N)について
溶液の濃度の表し方にはいくつもの種類があり、いくつかご紹介いたします。
重量百分率濃度 | 「w/w%」、「wt%」、単に「%」とも表記される 溶液100g中の溶質のg数 |
体積百分率濃度 | 「v/v%」と表記される 溶液100mL中の溶質のmL数 |
重量対体積百分率濃度 | 「w/v%」と表記される 溶液100mL中の溶質のg数 |
モル濃度 | 「mol/L」、「M」で表記される 溶液1L中の目的物質(溶質)のモル数 |
次に規定度の表し方を説明いたします。
規定度は容量分析などの実験によく使われていましたが、最近ではモル濃度で表示することが多くなってきました。しかしながら、「10%の硝酸の規定度はいくらですか?」というようなお問合せも多くいただきます。そこで規定度についての説明と、よく用いられる酸・塩基の濃度早見表の紹介をいたします。
- 規定度:溶液1L中の溶質のグラム当量数。「N」で表記される
モル濃度に、酸・アルカリの価数をかけたもの。1molの酸が何molの水素イオンH+を与えることができるかを酸の価数という。また、1molの塩基が何molの水酸化物イオンOH-を電離することができるかを塩基の価数という。
【例】
酸 | 1価 | 塩化水素 | HCl → H+ + Cl- |
---|---|---|---|
硝酸 | HNO3 → H+ + NO3- | ||
2価 | 硫酸 | H2SO4 → 2H+ + SO42- | |
3価 | りん酸 | H3PO4 → 3H+ + PO43- | |
塩基 | 1価 | 水酸化カリウム | KOH → K+ + OH- |
水酸化ナトリウム | NaOH → Na+ + OH- | ||
2価 | 水酸化カルシウム | Ca(OH)2 ⇔ Ca2+ + 2OH- | |
水酸化マグネシウム | Mg(OH)2 ⇔ Mg2+ + 2OH- |
※硫酸は2molの水素イオンを与えることができるので、2価の酸であるといいます。規定度はモル濃度に、酸・アルカリの価数を掛けたものですから1mol/Lの硫酸は2規定(N)となります。
化合物 | 分子式 | 分子量 | 濃度(w/w%) | 比重(20℃) | 濃度(mol/L) | 当量 | 規定度(N) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
塩酸 | HCL | 36.46 | 20% | 1.10 | 6.0 | 1 | 6.0 |
35% | 1.17 | 11.2 | 11.2 | ||||
硝酸 | HNO3 | 63.01 | 60% | 1.37 | 13.0 | 1 | 13.0 |
65% | 1.39 | 14.3 | 14.3 | ||||
70% | 1.41 | 15.7 | 15.7 | ||||
硫酸 | H2SO4 | 98.08 | 100% | 1.83 | 18.7 | 2 | 37.3 |
りん酸 | H3PO4 | 98.00 | 85% | 1.69 | 14.7 | 3 | 44.0 |
90% | 1.75 | 16.1 | 48.2 | ||||
酢酸 | CH3COOH | 60.05 | 100% | 1.05 | 17.5 | 1 | 17.5 |
過塩素酸 | HClO4 | 100.46 | 60% | 1.54 | 9.2 | 1 | 9.2 |
70% | 1.67 | 11.6 | 11.6 | ||||
アンモニア水 | NH3 | 17.03 | 25% | 0.91 | 13.4 | 1 | 13.4 |
28% | 0.90 | 14.8 | 14.8 | ||||
水酸化カリウム | KOH | 56.11 | 10% | 1.09 | 1.9 | 1 | 1.9 |
50% | 1.51 | 13.5 | 13.5 | ||||
水酸化ナトリウム | NaOH | 40.00 | 10% | 1.12 | 2.8 | 1 | 2.8 |
50% | 1.53 | 19.1 | 19.1 |
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