D/L-アミノ酸(キラルアミノ酸)LC/MS分析用誘導体化試薬

(R)-BiAC法(キラルアミノ酸 LC/MS分析)

アミノ酸は生体内や天然に広く存在する化合物です。アミノ酸には鏡像異性体であるL-アミノ酸及びD-アミノ酸がありますがほとんどがL-アミノ酸として存在しています。近年、微量に存在するD-アミノ酸の、記憶・学習能力への関与1)等の機能性が明らかにされ、L-アミノ酸と分離分析する重要性が高まっています。
(R)-BiACは、D/L-アミノ酸(キラルアミノ酸)をLC/MS (プレカラム誘導体化法)で分析する際の誘導体化試薬です。(R)-BiACと誘導体化試薬セットを用いることにより、高分解度・短時間(19分)かつ、専用機器を用いずにキラルアミノ酸分析を行う事ができます。

  1. Hashimoto, A., Oka, T.: Prog. Neurobiol., 52, 325 (1997).

特長

✓専用装置を用いずに、LC/MSでキラルアミノ酸 (D-アミノ酸、L-アミノ酸)を測定可能!

(R)-BiACを用いプレカラムで誘導体化を行うことで、専用の装置を用いることなくLC/MSでキラルアミノ酸 (D-アミノ酸、L-アミノ酸)を測定することができます。

✓20種類のD/L-アミノ酸を約19分で一斉分析可能!

多成分のキラルアミノ酸 (D-アミノ酸、L-アミノ酸)を短時間で一斉分析することが出来ます。

✓キラルアミノ酸 (D-アミノ酸、L-アミノ酸)を高感度で検出可能!

MSでのイオン化効率が高く、atto molレベルの感度でキラルアミノ酸 (D-アミノ酸、L-アミノ酸)を検出することが出来ます。

✔誘導体化に必要な専用試薬セットをご用意!

調液済みの(R)-BiAC誘導体化試薬セットをご使用いただくことで、誘導体化操作をより簡便に行うことが出来ます。

(R)-BiAC誘導体化試薬セットを用いた誘導体化手順

(R)-BiAC誘導体化試薬セットの内容

製品コード 品名 容量 本数
293-86011 (R)-BiAC用緩衝液 3 mL 1
290-86021 反応停止剤 10 mL 1

(R)-BiAC誘導体化試薬セット以外に必要な試薬類

製品コード 品名 規格
012-19851 アセトニトリル LC/MS用
025-19761 (R)-BiAC アミノ酸分析用
235-64051 Wakopak® Ultra APDS TAG® φ2.1 mm × 100 mm (D) -

試薬の調製方法

1. (R)-BiAC試液

(R)-BiAC 1本全量 (5 mg)をアセトニトリル1~2 mLで洗いこみ、別容器に移した後、全量が5 mL になるようにアセトニトリルを加えて混合し、完全に溶解します。

※調製した溶液は必要数に小分けした後、冷凍で保管し、凍結融解の繰り返しは避けて、なるべく早く使用して下さい (-20℃で1週間程度保管可能)。

2. (R)-BiAC用緩衝液-アセトニトリル溶液

(R)-BiAC用緩衝液の容器にアセトニトリル3 mLを加え混合します。

誘導体化

調製

  1. サンプル溶液 15 μL + (R)-BiAC用緩衝液-アセトニトリル溶液 30 μL + (R)-BiAC試液 10 μL (誘導体化試液)
  2. ピペッティング × 5

反応

  1. 攪拌
  2. 加温 (55℃, 10 min.)
  3. 冷却 (室温)

反応停止

  1. 誘導体化試液 + 反応停止剤 100 μL

LC/MS測定

ヒト尿中キラルアミノ酸の分析例

前処理条件

  1. サンプル/標準溶液 20 μL + 内部標準溶液 20 μL + アセトニトリル 40 μL
  2. 攪拌
  3. 遠心分離 (20,000 × g, 10 min.)

上澄回収 20 μL

誘導体化

13種キラルアミノ酸の分析例 (使用カラム: Wakopak® Ultra APDS TAG®)

LC/MS/MS Chromatogram (標準溶液 (D-アミノ酸: 5 μM L-アミノ酸: 50 μM))

LC/MS/MS Chromatogram (ヒト尿サンプル)

成分名 検出イオン (m/z) 成分名 検出イオン (m/z) 成分名 検出イオン (m/z)
Precursor Product Precursor Product Precursor Product
D-Asn 427 295.1 L-Glu 443 295.1 L-Met 445 295.1
L-Asn 428 295.1 D-allo-Thr 414 295.1 D-allo-Ile 426 295.1
D-Gln 441 295.1 L-Thr 415 295.1 L-Ile 427 295.1
L-Gln 442 295.1 D-Ala 384.1 295.1 D-Leu 426 295.1
D-Ser 400 295.1 L-Ala 385.1 295.1 L-Leu 427 295.1
L-Ser 401 295.1 D-Tyr 476 295.1 D-Phe 460.1 295.1
Gly 371 295.1 L-Tyr 477 295.1 L-Phe 461.1 295.1
D-Asp 428.2 295.1 D-Val 412 295.1 D-Trp 499 295.1
L-Asp 429.2 295.1 L-Val 413 295.1 L-Trp 500 295.1
D-Glu 442 295.1 D-Met 444 295.1
[Instrument]

Shimadzu Nexera X2 HPLC System / Sciex Triple QuadTM 6500

[HPLC]
Column
Wakopak® Ultra APDS TAG® φ2.1 mm × 100 mm (D)
Column temperature
40℃
Eluent
A) 0.1% HCOOH in 10 mM HCOONH3 aq., B) 95% CH3CN in H2O
Gradient
Time (min.) B conc. (%)
0-3 14-16
3-14.3 16-33
14.3-17 33-45
17-17.1 45-90
17.1-18 90
18-18.1 90-14
18.1-20 14
Flow rate
0.4 mL/min.
[MS]
Ionization
ESI
Mode
SRM

乳酸菌飲料中キラルアミノ酸の分析例

前処理条件

  1. サンプル/標準溶液 20 μL + 内部標準溶液 20 μL + アセトニトリル 40 μL
  2. 攪拌
  3. 遠心分離 (20,000 × g, 10 min.)

上澄回収 20 μL

誘導体化

13種キラルアミノ酸の分析例 (使用カラム: Wakopak® Ultra APDS TAG®)

LC/MS/MS Chromatogram (標準溶液 (D-アミノ酸: 5 μM L-アミノ酸: 50 μM))

LC/MS/MS Chromatogram (乳酸菌飲料サンプル)

成分名 検出イオン (m/z) 成分名 検出イオン (m/z) 成分名 検出イオン (m/z)
Precursor Product Precursor Product Precursor Product
D-Asn 427 295.1 L-Glu 443 295.1 L-Met 445 295.1
L-Asn 428 295.1 D-allo-Thr 414 295.1 D-allo-Ile 426 295.1
D-Gln 441 295.1 L-Thr 415 295.1 L-Ile 427 295.1
L-Gln 442 295.1 D-Ala 384.1 295.1 D-Leu 426 295.1
D-Ser 400 295.1 L-Ala 385.1 295.1 L-Leu 427 295.1
L-Ser 401 295.1 D-Tyr 476 295.1 D-Phe 460.1 295.1
Gly 371 295.1 L-Tyr 477 295.1 L-Phe 461.1 295.1
D-Asp 428.2 295.1 D-Val 412 295.1 D-Trp 499 295.1
L-Asp 429.2 295.1 L-Val 413 295.1 L-Trp 500 295.1
D-Glu 442 295.1 D-Met 444 295.1
[Instrument]

Shimadzu Nexera X2 HPLC System / Sciex Triple QuadTM 6500

[HPLC]
Column
Wakopak® Ultra APDS TAG® φ2.1 mm × 100 mm (D)
Column temperature
40℃
Eluent
A) 0.1% HCOOH in 10 mM HCOONH3 aq., B) 95% CH3CN in H2O
Gradient
Time (min.) B conc. (%)
0-3 14-16
3-14.3 16-33
14.3-17 33-45
17-17.1 45-90
17.1-18 90
18-18.1 90-14
18.1-20 14
Flow rate
0.4 mL/min.
[MS]
Ionization
ESI
Mode
SRM

※本データは分析例です。使用する装置によって、イオンソースのパラメーター等が異なる場合がございます。

参考文献

  1. Harada, M. and Karakawa, S. et al.: J. Chromatogr. A, 1593, 91 (2019).
  2. Harada, M. and Karakawa, S. et. al.: Wako Junyaku Jiho, 87 (1), 5 (2019).
  3. Harada, M. and Karakawa, S. et. al.: Symmetry, 12, 913 (2020).

製品一覧

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誘導体化試薬

HPLCカラム

標準液

※組成情報はこちらをご確認ください。

内部標準液

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  • 掲載されている製品について
    【試薬】
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    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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