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エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖です。Lipopolysaccharide とも呼ばれ、通称LPSと呼ばれています。
エンドトキシンは代表的な発熱物質であり、ng (10-9g)という微量でも血中に入ることで、発熱などの種々の生体反応を引き起こします。(図1参照)
特徴としては、高い耐熱性が挙げられます。オートクレープ処理程度では完全に失活することはできません。完全に失活させるためには250℃以上で30分以上の乾熱滅菌が必要です。グラム陰性菌はどこにでも存在し、菌が死んでもエンドトキシンは残ります。
エンドトキシンはマクロファージや樹状細胞の TLR4 (Toll-like receptor4) に結合し、NF-kBを介して核に作用して各種サイトカインを産生します。産生されたサイトカインによって種々の生物活性を示します。
(図2参照)
図3に構造の模式図を示します。リピドA部分が生物活性を担う本体であり、この部分の分子量は約2千です。糖鎖部分を含んだ全体は通常分子量5千から8千程度です。ただし、エンドトキシンは親水性部分(糖鎖)と疎水性部分(リピドA)を持つ分子であるため、水溶液中で会合し、見かけの分子量が数十万〜数百万のミセル構造をとります。ミセル構造が変化すると生物活性の強弱も変化することが報告されています。
図4には大腸菌型とサルモネラ型のリピドAの構造を示します。リピドAの基本構造は菌株が異なっても共通している部分が多くみられます。