- LAL基礎知識
- 製品情報
- ▼サポート情報
- ▼測定装置
- ▼ライセート試薬
- ▼遺伝子組換え試薬
- ▼SLP試薬
- ▼発熱性物質試験試薬
- ▼エンドトキシン試験関連製品
- 受託・サポートサービス
- 講習会・トレーニング
- Wako LALシステムとは
カイコ(Bombyx mori)の体液中にはフェノール酸化酵素前駆体(proPO)カスケードと呼ばれる生体防御機構が存在し、ペプチドグリカン(PG)および(1→3)-β-Dグルカン(β-グルカン)によって反応が開始され、最終的にフェノール酸化酵素前躯体(proPO)がフェノール酸化酵素(PO)に変換されます。proPOの活性化の機構は、複数のセリンプロテアーゼの活性化を含むカスケード機構であります。このカスケード機構は、異物侵入の際に昆虫体内で認められるメラニン形成に重要な役割を果たしています。
SLP 試薬は、カイコ幼虫の体液を無菌的に採取・調製した、proPOカスケードの因子をすべて含んだ凍結乾燥品です。本試薬はPG およびβ - グルカンによって活性化され、基質剤に含まれるDOPA(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)を酸化し、メラニン色素を生成します。PGはほとんどの細菌の細胞壁に、β-グルカンも多くの真菌の細胞壁に認められる成分であることから、生成したメラニン色素を指標として、各種微生物の検出が可能です。
SLP試薬の活性化機構は図1のように考えられています。すなわち、PGまたはβ-グルカンがそれぞれの認識タンパク(PGRPおよびβGRP)と結合することにより、proPOカスケードの反応が開始され、最終的にproPOがPOに変換されます。POによって基質剤中に含まれるDOPAが酸化され、結果として黒色のメラニン色素が生じます。カブトガニ血球抽出物(ライセート試薬)で検出することができるエンドトキシンはSLPのカスケード機構を活性化しませんが、ライセート試薬では検出できないPGをSLP試薬で検出することができます。(図1)
SLP試薬は、各種細菌由来のPGおよびβ-1、3-グルコシド結合を持つβ-グルカンに強く反応しますが、グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖(エンドトキシン)にはほとんど反応しません。
図1 SLP試薬のフェノール酸化酵素前駆体カスケード
PGはグラム陽性菌のみならずグラム陰性菌にも存在するため、SLP試薬は、グラム陽性・陰性にかかわらず、広く一般の細菌に反応します。また、真菌由来のβ-グルカンにも反応することから、SLP試薬は微生物全般に反応すると考えられます。エンドトキシン及びβ-グルカンに反応するライセート試薬とSLP試薬の併用で、検体中の微生物の種類を予測できる可能性が考えられます。
価格 | ||||
---|---|---|---|---|
コードNo. | 品名 | 規格 | 内容量 | 希望納入価格(円) |
296-81001 | SLP-HS シングル試薬セットⅡ | 微生物検出用 | 20回用 | 照会 |
関連商品 | ||||
---|---|---|---|---|
コードNo. | 品名 | 規格 | 内容量 | 希望納入価格(円) |
030-09903 | カードラン (※1) | 生化学用 | 1g | 2,100 |
(※1):(1→3)-β-D-グルカン |
SLPを用いたPG並びにβ-グルカンの測定法として、トキシノメーター® 法があります。
トキシノメーター® では、活性化に伴って生じる色素量を吸光度変化として捉え、吸光度があらかじめ設定したしきい値に達するまでの反応時間を活性化時間(Ta)とし、Taを指標にSLP活性化物質(PGおよびβ-グルカン)を定量します。この原理は、トキシノメーター® を用いてエンドトキシンを測定する場合と同様です(図2)。トキシノメーター® 法を用いた測定例を図3に示します。
図2. 測定原理:
測定開始からR(t)がしきい値(Rth)に到達するまでの
時間(Ta)を測定します。(Th:判定しきい値)
図3. トキシノメーター®法を用いた測定例