固相抽出

食品や環境中の成分の分析では、分離能の向上や再現性の高いデータを得るために、サンプルの前処理が重要となります。
固相抽出法は化学修飾したシリカゲルやポリマーゲルなど様々な担体を充てんした小型のカラムを用い、分析目的物の抽出や精製を行う手法です。液-液抽出や、カラム精製と比較し、①回収率、再現性が良好 ②操作が容易 ③迅速に多数の試料の処理が可能 ④自動化が可能 ⑤少量の試料の処理に向いており、かつ使用溶媒が少なくて済む ⑥エマルジョンの生成がないといった利点があり、食品や環境分析など幅広い分野で利用されています。
当社ではHPLC分析、GC分析、その他各種分析の前処理に使用する固相抽出用カラムや前処理シリンジフィルターを多数ラインアップしています。

Presep®シリーズは各種充てん剤をプレパックドした前処理用カラムです。サンプルのクリーンアップ、抽出、濃縮にお使いください。 「Presep®」は一端が開放型のシリンジタイプ、「Presep®-C」は両端閉鎖型のカートリッジタイプです。

学術コンテンツ

固相抽出カラムの選び方

・充填剤から選ぶ

固相抽出を成功させるには、目的物質の特性にあった充填剤を選択することが重要です。

充てん剤 特長
PSA N-プロピルエチレンジアミンをシリカゲルに結合した固相で、一次相互作用として、陰イオン交換作用と弱い無極性相互作用を持ちます。
C18、シリカゲル(SI) 固相抽出カラム用途に性能を発揮できるよう設計したシリカゲル基材を使用しています。ロット間の再現性向上に注力し、品質にできる限りばらつきが出ないことが特徴です。もっとも汎用性の高い充填剤で医薬品、食品、環境等あらゆる分野でご活用いただけます。
RPP 充てん剤として前処理用に最適化したスチレンジビニルベンゼン-ポリメタクリレート樹脂を使用しています。シリカ系ODS 充てん剤と比較して、極性化合物の保持が大きく、塩基性化合物の相互作用による吸着が少ないという利点をもちます。優れた回収率、再現性の他、幅広いpHで使用可能です。
Agri 親水性のスチレンジビニルベンゼン-ポリメタクリレート樹脂を吸着機材に用いており、残留農薬の前処理に適しています。また、従来回収が困難とされてきた、高極性成分や金属配位性成分等にも有効です。
PLS3 窒素含有ジビニルベンゼンメタクリレートを充填したカラムで、極性~無極性までの幅広い化合物の保持に有効です。
PBX 表面修飾ポリスチレンジビニルベンゼン親水性 /疎水性バランス充填剤を充填したカラムで、極性~無極性までの幅広い化合物の保持に有効です。
グラファイトカーボン (GCK) グラファイトカーボンをシリカゲルに結合した固相を充填したカラムで、平面相互作用を持ち、色素など平面構造の化合物の保持に有効です。
アルミナ、フロリジル(FL) 吸着による分離を利用した充填剤です。食品中の色素や脂質を取り除き、残留農薬分析時のクリーンアップに適しています。また、有機塩素系農薬に対して効果的です。
ポリアミド ポリアミド樹脂を充填しており、フェノール性水酸基、カルボキシル基を有する化合物を強く保持します。葛根湯中のペオニフロリンなどの分析に最適です。
SAX 逆相モードとイオン交換モードの両機能を持ち、酸性化合物の選択的抽出に適しています。溶出条件により、対イオン性の化合物と中性・同イオン性化合物とを分けて溶出したり、有機溶媒中のイオン性化合物を抽出することも可能です。
WCXSCX 逆相モードとイオン交換モードの両機能を持ち、塩基性化合物の選択的抽出に適しています。溶出条件により、対イオン性の化合物と中性・同イオン性化合物とを分けて溶出したり、有機溶媒中のイオン性化合物を抽出することも可能です。

・用途から選ぶ

目的の用途で、前処理性能を最大限に発揮するように調整された用途専用固相抽出カラムをご用意しております。製品ページでは、各カラムの豊富なアプリケーションデータを掲載しております。

種類 特長
Presep®Na2SO4 分析時の脱水前処理や、有機合成品の脱水にお使いいただけます。
アルデヒド類分析用固相抽出カラム Presep®-C DNPH、Presep®-C オゾンスクラバー Presep®-C DNPHは、米国EPAで指定されている大気環境中のカルボニル化合物の捕集ならびに2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)による誘導体化を行う専用捕集管です。Presep®-C オゾンスクラバーは、アルデヒドの捕集及びDNPH誘導体化を妨害するオゾンの除去に有用です。Presep®-C DNPHと接続して使用できます。
ダイオキシン類分析用固相抽出カラム Presep®多層シリカゲル、Presep®活性炭埋蔵シリカゲル JIS K0311(排ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCB の測定方法)、JIS K0312(工業用水・工場排水中のダイオキシン類及びコプラナーPCB の測定方法)に準じた設計で、ダイオキシン分析の前処理に最適です。
有機ふっ素化合物分析用固相抽出カラム Presep®PFC-Ⅱ 炭素鎖4~18の微量有機ふっ素化合物の前処理に適しています。
金属 (元素)捕捉・回収用固相抽出カラム Presep®ポリキレート 海水、河川水、排水や生体試料中の微量金属の抽出や濃縮に適しています。長鎖アミノカルボン酸基を官能基とする充てん材を使用しており、一般的なIDAキレート樹脂に比べ、広いpH範囲で多くの元素を高い効率で捕捉・回収する事ができます。また、酸性~中性条件下で、アルカリ金属・アルカリ土類金属を回収せずに、金属オキソ酸(Mo、V、W)を効率よく捕捉・回収することも出来ます。
カビ毒前処理用カラム サンプル中のカビ毒を効率よく精製、濃縮する前処理用カラムです。
多機能カラム:MycoSpin 400MycoSep®MultiSepAutoprep®
イムノアフィニティ―カラム:StarAFLAKING・OCHRAKINGMycoCatchトータルアフラトキシン
残留農薬分析用固相抽出カラム Presep®-C Agri 残留農薬の前処理に適した固相抽出カラムです。従来回収が困難とされてきた、高極性成分や金属配位性成分等にも有効です。
DNA/RNA分析用固相抽出カラム DNA/RNA等のオリゴヌクレオチドの前処理に適したシリカゲル系逆相固相抽出カラムです。市販される前処理カラムと比較して 3~5 倍量のサンプルロードが可能、優れた脱保護効率、高純度かつ高回収率で精製出来るといった特徴があります。
メタボローム分析用カラム Presh-SPE 固相誘導体化 (特許取得)技術により固相抽出と定量再現性の両立を実現した前処理カラムです。アミノ酸、有機酸、短鎖脂肪酸、糖などの定量にお使いいただけます。
セルファイン®ET クリーン 真球状のセルロース粒子にポリ-ε-リジンを固定化した充填剤のカラムで、目的のサンプル溶液からエンドトキシンを効率よく除去することができます。 安定なポリアミノ酸のため失活せず、生理食塩水はもちろん、高塩濃度のような過酷な条件下でもご使用いただけます。