インスリン ELISAキット
インスリンは膵臓のランゲルハンス島(膵島)のβ細胞から分泌されるホルモンです。肝臓、筋肉、脂肪組織が主要な標的組織であり、血糖値が上昇すると、インスリンが分泌されて血糖値を下げる作用を示します。糖尿病は主にインスリンの分泌が低下する、あるいはインスリンがうまく作用しないことによって引き起こされます。
当社ではインスリン ELISAキットを幅広くラインアップしております。動物種だけでなく、検体中のインスリン濃度や特異性、使いやすさなどから適切なキットを選択することができます。
インスリンとは?
インスリンは膵臓のランゲルハンス島(膵島)のβ細胞から分泌されるホルモンです。肝臓、筋肉、脂肪組織が主要な標的組織であり、血糖値が上昇すると、インスリンが分泌され以下のように血糖値を下げる作用を示します。糖尿病は主にインスリンの分泌が低下する、あるいはインスリンがうまく作用しないこと(=インスリン抵抗性)によって引き起こされます。
標的 | 作用 |
---|---|
肝臓 | グリコーゲン合成促進、タンパク質合成促進、脂肪酸合成促進、糖利用の促進、糖新生抑制 |
筋肉 | 糖・アミノ酸・Kの細胞膜透過性増大、グリコーゲン合成促進、タンパク質合成促進・分解抑制 |
脂肪組織 | グルコースの細胞膜透過性増大、脂肪酸合成促進 |
インスリンの構造
インスリンの分子量は約5,800 Da、等電点は5.4付近とされています。A6-A11、A7-B7、A20-B19でジスルフィド結合(S-S結合)を形成し、 酸性あるいはZnの存在しない中性水溶液では2量体、中性かつZn存在下ではZn2個を含む6量体となります。
インスリンは細胞内で1本鎖のプロインスリンの形で合成された後、S-S 結合が形成され、酵素分解による活性化がおこってC-ペプチドとインスリンが分離します。
図1 プロインスリンIからインスリンIとCペプチドの生成
各種動物のインスリン力価
インスリンの力価を示す単位(Unit)はもともとバイオアッセイで決められたもので、例えば1ウサギ単位は体重2 kgの24時間絶食ウサギの血糖値を5時間以内に半減する量とされていました。これは大体3 IUに相当します。他にもバイオアッセイ法はいくつもありますが、バイオアッセイで決めるには個体差が大きく精度係数λは0.15程度なので正確ではありません。
インスリンはラットとマウスでは同じアミノ酸配列を持つ二つの分子量(タイプ IとタイプII)からなります。しかし、ラットとマウスではタイプ Iとタイプ IIの構成比 が異なっているため、免疫測定においてはそれぞれの動物由来のインスリン標準品を使うことが望ましいとされています。
インスリンはヒトでは治療目的に使用されますので、特に生理作用をはっきりさせておく必要があります。 インスリンの精製度が十分でなかった時代は重量で扱うのは危険でした。そこで、国際標準品を作って基準とすることになっています。
インスリンのWHO第4次国際標準品(1958)はウシインスリン52%とブタインスリン48%の混合物で、 力価は24 IU/mg (0.04167 mg/IU)と定められていました。 その後、インスリンの精製度が進み、WHOはヒトインスリンの1st International Standard, 1986として26 IU/mg (0.038 mg/IU)の精製品を提供しています。 同時にウシインスリンについて 1st International Standard, 1986として25.7 IU/mg、 ブタインスリン 1st International Standard, 1986として26 IU/mgを提供するようになりました。これらは1アンプルあたり約50 mg入っています。それ以前にはヒトインスリンのイムノアッセイ用標準品 1st International Reference Preparation, 1974があります。 これは1アンプルあたり3 IUとされています。 前述のようにヒトの場合は、治療用に用いられますので、それに合わせてヒトの臨床検査での測定値もIUで表現する方が便利ですが、動物では重量で扱った方がよいと考えます。
各種動物の分子あたりの生物学的活性が等しいかどうか明らかではありませんが、ブタやウシのインスリンはヒトとほとんど同じ効力を持っていると考えられています。HOMA-IRを計算するなど、どうしても換算が必要であれば、 目安として1 mgを26 IUと考えて行うとよいでしょう。
上記の内容を含むインスリン測定のポイントは「なるほど!! ELISA インスリン測定」に掲載されております。
製品ラインアップ
当社では様々な目的に応じたインスリン ELISAキットをラインアップしています。
キット選択のポイント
測定検体
検体 | ポイント |
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血清/血漿 | 実験動物を絶食させる場合、血中インスリン濃度が低くなります。長期間絶食させる場合は、高感度タイプをご使用ください。絶食期間が短ければ、標準タイプやReady to Use タイプを推奨します。また糖尿病・肥満モデルマウスを使用する場合、高い血中インスリン濃度を示す可能性があります。絶食時間を考慮する必要がありますが、インスリン濃度が10 ng/mLを超える場合は、高濃度タイプを推奨します。 |
組織抽出物 | 高濃度タイプを推奨します。抽出溶媒によっては測定値に影響を及ぼす場合があるので、事前に希釈直線性を確認してください。 |
細胞培養上清 | 検体のインスリン濃度が高くなると予想されますので、高濃度タイプを推奨します。培地の添加剤を確認し、インスリンが添加されている場合はC-ペプチドの測定を推奨します。 |
プロインスリンとの交差性
プロインスリンはゴルジ体から分泌顆粒に移行する過程でインスリンとC-ペプチドになりますが、分泌顆粒には分解されずに残ったプロインスリンも少量ながら存在し、顆粒の分泌によってインスリンとともに血中に放出されてしまいます。血中インスリンを免疫学的測定法で測定した場合、一般的にはプロインスリンも測定してしまうため、このインスリンはIRI(Immunoreactive Insulin)と呼び、インスリンとは区別します。
プロインスリン/インスリン比によって膵β細胞の機能障害を調べたい場合は、特異的タイプのキットを推奨します。
動物種
当社ではイヌ、ウシ、サル、ハムスター、ブタのインスリン測定用に標準品を提供しています。これらの標準品をレビス™ ラットインスリン ELISAキット (コードNo.299-94801)と組み合わせて使用することで、それぞれの動物の試料の測定が可能となります。
製品ラインアップ
動物種* | ヒト | マウス | ラット | ||||||||
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タイプ | 発光 | 発光 | 標準 | Ready to Use | 高濃度 (ワイドレンジ) |
高感度 | 特異的 | 発光 | 標準 | 高感度 | |
コードNo. | 290-89201 | 296-89301 | 292-89401 | 298-89501 | 290-89701 | 296-89801 | 292-89901 | 296-89301 | 299-94801 | 293-90301 | |
測定 範囲 |
濃度(pg/mL) | ||||||||||
100,000 | ● | ||||||||||
50,000 | ● | ||||||||||
20,000 | ● | ● | ● | ● | |||||||
12,000 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
10,000 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
5,000 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
2,500 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
500 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
156 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
100 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
78 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
39 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
30 | |||||||||||
特長 | ワイドレンジで、再測定の手間を低減 | ワイドレンジで、再測定の手間を低減 | 標準的な測定範囲 | 標準品、検出抗体、アビジン溶液が希釈済み | 高濃度検体(組織抽出液や糖尿病モデルの血液など)に対応 | 長時間の絶食など低濃度検体の測定に対応 | プロインスリンとの交差性を抑え、インスリンを特異的に測定 | ワイドレンジで、再測定の手間を低減 | 標準的な測定範囲 標準液を変更することで、イヌ・ブタ・サル・ハムスター・ウシのインスリンも測定可能 |
長時間の絶食など低濃度検体の測定に対応 |
レビス™ ラットインスリン ELISAキット (コードNo.299-94801)と各動物の標準液(別売)を組み合わせることで、イヌ・ブタ・サル・ハムスター・ウシのインスリンも測定可能です。
製品一覧
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インスリン ELISAキット (ヒト)
インスリン ELISAキット (マウス)
インスリン ELISAキット (ラット)
インスリン標準液
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