MagCapture(TM) Exosome Isolation Kit PS Ver.2
MagCapture(TM) Exosome Isolation Kit PS Ver.2
- 遺伝子研究用
-
for Genetic Research
- 製造元 :
- 富士フイルム和光純薬(株)
- 保存条件 :
- 冷蔵 (氷冷輸送)
- 適用法令 :
- 優先評価物質
- GHS :
-
- 構造式
- ラベル
- 荷姿
ドキュメント
FAQ
PSアフィニティー法について
- 単離法の原理はどのようなものですか。
- エクソソームを始めとする細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EVs)の膜表面に存在するホスファチジルセリン(PS)と 金属イオン依存的に PS に結合する Tim4というタンパク質を利用してエクソソームなどの細胞外小胞を単離する手法です。
- どのような細胞外小胞が精製できますか。
- ホスファチジルセリンを脂質膜表面に露出しているエクソソームやマイクロベジクルを精製することができます。
- エクソソームとマイクロベジクルを別々に精製できますか。
- エクソソームとマイクロベジクルは大きさで明確に区別できないため完全に分けることはできませんが、 本キットでは、各々の主要な画分を得るために以下の簡便な分離方法を推奨しています。
エクソソームを始めとする粒子径が小さい細胞外小胞(small EVs)を精製する場合は、 10,000 x g で遠心分離した「上清」をサンプルとして使用してください。
マイクロベジクルを含む粒子径が大きい細胞外小胞(Large EVs)を精製する場合は、 まず 1,200 x g で遠心分離した上清を回収し、それを 10,000 x g で遠心分離して得られる「沈殿」を TBS に懸濁してサンプルとしてご使用ください。
また、両方を一緒に精製する場合は、1,200 x g で遠心分離した「上清」をサンプルとしてご使用ください。
サンプルの前処理条件の詳細は取扱説明書に記載しておりますのでご参照ください。
- エクソソームやマイクロベジクル以外の物も取れてくることはありませんか。
- エクソソームやマイクロベジクル以外にもエンベロープを持つウイルスを回収してくることが分かっています。エンベロープ型のウイルスの膜表面にも PS が露出しているため、エンベロープ型ウイルスが混入しているサンプルでは、両方回収されます。この性質を利用して本キットをエンベロープ型ウイルスの回収に応用できる可能性があります。
エンベロープウイルスを分離したい場合は、本キットで回収後、ウイルスに特異的な抗体を用いたアフィニティー精製を行う必要があります。
以上の事に関しては、エンベロープ上に存在する CD63 などのエクソソームマーカーに対する抗体を使った精製法でも同様のことが言えます。
なお下記論文で、本手法を用いたウイルス精製が報告されています。 Santiana, M., et al.: Cell Host & Microbe, 24, 208(2018).
- 全てのエクソソームが PS を露出していますか。
- 全てのエクソソームがPS を露出していることを示す知見は得られていませんが、当社実績において、単離できなかったサンプルは現在確認できておりません。
下記論文において、クライオ電子顕微鏡解析および免疫金コロイド粒子を用いた活性化血小板由来細胞外小胞の表現型解析が報告されています。本論文では、活性化血小板由来の細胞外小胞の約75%がPSを表面に露出していることが報告されています。 Brisson, A. R., et al.: Platelets, 28(3), 263(2017).
- 従来法と比べたときのメリットは何ですか。
- 超遠心分離法
本キットは超遠心分離法よりも高純度なエクソソームを簡便に再現性良く高効率で回収することができます。また、超遠心分離法では沈殿しにくいようなサンプルからもエクソソームを回収できることを確認しています。
また、回収されるエクソソームの純度も高く、超遠心分離法と密度勾配遠心法を組み合わせた場合と同等レベルの高純度なエクソソーム画分を回収することができます。
抗体アフィニティー法
抗体アフィニティー法は、エクソソーム表面抗原に対する抗体を用いており、変性剤による溶出や酸性条件下でエクソソームを解離させて回収する必要があります。本キットは、中性条件下でキレート剤を用いて溶出するため、インタクトに近いエクソソームを回収することができます。変性剤を用いた溶出が不要なため、ビーズに非特異吸着したタンパク質の混入が少なく、より高純度なエクソソームを回収します。また、回収効率が高いことも確認しています。
マーカータンパク質の発現量はエクソソームの由来細胞により異なるため、1 種類のエクソソーム表面マーカータンパク質をターゲットとした従来の抗体アフィニティー法より、膜脂質成分をターゲットとした本キットはより広い範囲のエクソソームを回収できると考えられます。また、表面マーカータンパク質を認識する抗体は異なる動物種の抗原を認識しないケースもありますが、本キットは広い範囲の動物種で利用可能です(ヒト、マウス、ウシ、サルで実績あり)。
ポリマー沈殿法
ポリマー沈殿法より回収効率が高く、夾雑物の少ない高純度のエクソソームが取得できます。
サンプルについて
- どのようなサンプルから精製できますか。
- 本原理を利用して、細胞培養上清、血清、ヘパリン-血漿、EDTA-血漿、尿、糞便から回収した実績があります。またユーザー適用例として、脳脊髄液や唾液からのエクソソーム精製実績がございます。
- 精製に用いるサンプルの最低量はどのくらいですか。
- 安定的にビーズとサンプルを混合するために、ローテーターを用いて反応を行う場合は 500 μL 以上、チューブミキサーを用いて反応を行う場合は 100 μL 以上のサンプルを用いてください。 これより少ない量のサンプルを用いる場合は TBS を加えて最低量以上としてから Exosome Capture 固定化ビーズと反応させてください。また、フィルアップに用いるTBS には、EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬(製品コード: 058-09261)の添加を推奨します。
- 多量のサンプルから回収できますか。
- 濃縮することにより対応可能です。細胞培養上清の場合、50 mL までのサンプルに対応できます。遠心分離前処理済みの細胞培養上清50 mLを1 mL まで限外濾過濃縮してください。推奨フィルターはVivaspin20、分画分子量100K(ザルトリウス社, メーカーコード: VS2041)です。
無血清培地だけではなく、10%FBS 添加培地にも対応できます。血清サンプルは濃縮できないため、使用できるのは1 mLまでです。詳しくは取扱説明書をご参照ください。
限外濾過濃縮によりエクソソームが容器やフィルターに吸着し、減少します。限外濾過濃縮を行う際は、EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬(製品コード: 058-09261)を添加し、吸着ロスを防いでください。ただし、本製品はポリマーを含むため、プロテオミクス解析用サンプルへの使用は推奨しません。
- 限外濾過濃縮で分画分子量100K が推奨されていますが、10K は使用できませんか。
- 当社にて100K、300K、1000K の限外濾過フィルターを比較し、濃縮時間および濃縮できたエクソソーム量の結果から100K を推奨しています。より小さな10K や30Kも使用可能だと思われますが、濃縮時間が長くなる可能性があります。また、アルブミンを含む培地の場合、アルブミンが濃縮されるため、回収効率が低下する可能性があります。
プロトコルについて
- 本キットの操作時間はどのくらいですか。
- サンプル前処理が約1 時間、Exosome Capture のビーズへの固定化が約15 分、サンプルとの反応が1 時間、エクソソームの洗浄溶出が約35 分になります。
- 本キットの操作で、特に慎重に行った方が良い操作は何ですか。
- Exosome Capture 固定化ビーズとサンプルを反応させた後の洗浄ステップ最終段階で、洗浄液をしっかりと除去することです。完全に除去したことを確認後、溶出操作に入ってください。
- 溶出ステップでビーズに溶出液を加えた後、ビーズが凝集していないか確認しながらしっかりと懸濁してください。
- Exosome Capture を固定化した使用後の磁気ビーズのリサイクルは可能ですか。
- 可能です。サンプル中に残存するエクソソームを再回収するため、使用した磁気ビーズを4 回まで再生利用可能です。バッファー類も十分量同梱されていますので、同一サンプルからの繰り返し抽出やコンタミネーションしないケースであれば、最大50 回(10 回用キットの場合)使用可能な仕様となっています。容量が1 mL 以上のサンプルから回収を行う場合や濃縮サンプルから回収する場合におすすめいたします。
- Exosome Capture 固定化磁気ビーズの保存は可能ですか。
- 可能です。エクソソームを溶出した後の Exosome Capture 固定化ビーズを再利用する場合は、キット添付の Washing buffer か別途調製したTBS を用いて冷蔵保存してください。(当社実績: 2 年)
- 実験操作を翌日まで持ち越せるステップはありますか。
- Exosome Capture 固定化ビーズとサンプルを反応させるステップ(反応時間 3 時間)は終夜で反応させても問題ありません。
- 精製した細胞外小胞の保存はどうすれば良いですか。
- EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬(製品コード: 058-09261)を添加し、冷蔵または冷凍で保管してください。また、長期間保存する場合は-80℃で保管してください。EV-Save™ の凍結保護効果により、冷凍保管しても精製細胞外小胞が壊れないことを確認しています。ただし、本製品はポリマーを含むため、プロテオミクス解析用サンプルへの使用は推奨しません。
- エクソソームの放出を亢進させるにはどうしたらよいですか。
- モネンシンナトリウムを添加することでエクソソームの放出が亢進する場合があります。K562 細胞の培養で使用したモネンシンナトリウムの終濃度は、10 μmol/Lです。モネンシンナトリウムをエタノールで溶かして10 mmol/Lに調製し、1/1000量を培地に添加して使用しています。 Savina, A., Furlán, M., Vidal, M., & Colombo, M. I.: J. Biol. Chem., 278(22), 20083(2003).
- ポジティブコントロールサンプルはどのように用意すれば良いですか。
- HEK293などの任意のコントロール細胞を培養していただき、培養上清を必要量調製し、当社キットを用いてエクソソームを精製してください。精製したエクソソームはウェスタンブロットやELISA 解析で、CD9、CD63、CD81 などのエクソソームマーカーの発現が確認できます。
なお、培養条件については当社での一例になりますが、血清入り培地で一日培養した後、無血清培地やFBS 由来細胞外小胞除去済み血清入り培地に交換し、3 日間程度培養し、細胞培養上清の回収を行っています。
トラブルシューティングについて
- 上手く精製できません。どのように用意すれば良いですか。
- 初めて実験を行う場合は、Q&Aの「ポジティブコントロールサンプルはどのように用意すれば良いですか」を参照にポジティブコントロールを調製し、エクソソームの単離を行ってみてください。また、培地中のエクソソームの量が少ない可能性がありますので培養スケールを大きくしてください。
- 他の手法で回収したエクソソームサンプルと比較して、本キットで精製したエクソソームサンプルの総タンパク質量が少ないです。何が原因ですか。
- 他の手法で回収したエクソソームサンプル中には、多くの不純物が混入しているため、総タンパク質量が多くなります。一方、本キットで精製したエクソソームサンプルの総タンパク質量は少ないですが、サンプルの純度が高いため実際に得られるエクソソーム量は他方に比べて変わりません。
単離後の解析について
- 精製した細胞外小胞は、どういった解析に使用できますか。
- インタクトな細胞外小胞が得られますので、あらゆる解析に利用できます。
<解析例>- タンパク質解析:タンパク質電気泳動、ウエスタンブロット、プロテオミクス解析、フローサイトメトリー、ELISA など
- 核酸解析:qPCR、マイクロアレイ、次世代シークエンスなど
- 粒子解析:電子顕微鏡解析、NanoSight 解析(NTA)など
- 機能解析:in vitro、in vivo での投与実験など
- 精製した細胞外小胞はそのまま細胞への添加実験に使用できますか。
- 可能です。MagCapture™ Exosome Isolation Kit PS Ver.2は旧製品に比べて、Elution Bufferの細胞毒性が大幅に改善されたため、バッファー交換なしでin vitroおよびin vivoでの投与実験が可能になりました。
ただしEDTAによる細胞毒性が懸念される場合はバッファー交換を行ってください。
- 電子顕微鏡解析に必要なエクソソーム量はどのくらいですか。
- 当社実績では 2-4×1010 particles/mL粒子濃度(NanoSight LM10 で測定)のサンプルを電子顕微鏡解析に用いました。
- マイクロアレイ解析に必要なエクソソーム量はどのくらいですか。
- 当社では、下記粒子数(NanoSight LM10 で測定)からRNA 抽出を行い、マイクロアレイ解析が実施できました。
COLO201: 4.6 x 1010 particles
TIG3: 1.7 x 1010 particles
iPS: 1.9 x 109 particles
- プロテオミクス解析に必要なエクソソーム量はどのくらいですか。
- 以下論文のプロテオミクス解析では、約1μg 分の精製エクソソームを使用しました。精製エクソソームは約1.5 mL のK562 培養上清サンプルに由来します。本サンプルは、モネンシンでエクソソーム分泌を促進しているため、エクソソーム量が多くなっています。
Nakai, W., et al.: Sci. Rep., 6(1), 1(2016).
- 回収したエクソソーム抽出液のウエスタンブロッティングを行いたいが、どうすれば良いですか。
- 当社では、回収した抽出液100 μL から15 μL をとり、5 μL の4 x SDSサンプルバッファーを加えて20 μL のサンプルに調製した後、SDS-PAGE に全量使用しています。パンフレットに記載のウエスタンブロッティングも、同条件で実施しています。
- 本キットで精製したエクソソームはどのように確認していますか。
- 表面抗原に対する抗体を用いたウエスタンブロッティングやELISA、電子顕微鏡解析、密度勾配遠心分離法、粒子径測定(NanoSight LM10)などで確認しています。
概要・使用例
概要 | 本キットは、細胞培養上清、血清、血漿などのサンプルから高純度な細胞外小胞をアフィニティー法によって簡便に精製できます。細胞外小胞の膜表面に存在するホスファチジルセリン(PS)にカルシウム依存的に結合する物質を応用しているため、キレート剤によりインタクトな状態で細胞外小胞を精製ビーズから溶出できます。 【特長】 (1)新規アフィニティー法(PSアフィニティー法)により高純度な細胞外小胞が取得可能 (2)従来の超遠心分離法よりも高い収量で高純度なエクソソームが取得可能 (3)インタクトな細胞外小胞が取得でき、様々なアプリケーションに利用可能 (4)磁気ビーズによる簡便操作 (5)超遠心分離が不要 |
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構成 | ・2回用 1) Biotin Capture Magnetic Beads 120 μL×1本 2) Biotin-labeled Exosome Capture 20 μL×1本 3) Exosome Immobilizing/Washing Buffer(10x) 5 mL×1本 4) Exosome Binding Enhancer(500x) 300 μL×1本 5) Exosome Elution Buffer(10x) 300 μL×1本 6) Reaction Tubes 4本 ・10回用 1) Biotin Capture Magnetic Beads 600 μL×1本 2) Biotin-labeled Exosome Capture 100 μL×1本 3) Exosome Immobilizing/Washing Buffer (10x) 25 mL×1本 4) Exosome Binding Enhancer(500x) 1500 μL×1本 5) Exosome Elution Buffer(10x) 1500 μL×1本 6) Reaction Tubes 22本 |
物性情報
「物性情報」は参考情報でございます。規格値を除き、この製品の性能を保証するものではございません。
本製品の品質及び性能については、本品の製品規格書をご確認ください。
なお目的のご研究に対しましては、予備検討を行う事をお勧めします。
製造元情報
別名一覧
- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 製品規格・包装規格の改訂が行われた場合、画像と実際の製品の仕様が異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
- 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。
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