シミックホールディングス L型脂肪酸結合タンパク(L-FABP)測定キット

慢性腎疾患・急性腎障害の動物モデル試験、薬剤による腎毒性試験、腎保護作用が期待される医薬品候補物質等の評価に!

尿中L-FABP (L-type Fatty Acid Binding Protein:L型脂肪酸結合タンパク質)をサンドイッチ法で比色定量するELISAキットです。

※本製品は研究用です。診断用途には使用できません。

微小循環障害(虚血)との関係、敗血症、薬剤性腎症の評価試験結果など多数掲載中!!

L-FABPとは?

L-FABPはヒト腎臓の近位尿細管細胞の細胞質に局在する分子量14~15kDaの脂肪酸結合タンパクです。細胞質のL-FABPは遊離脂肪酸と結合し、ミトコンドリアやペルオキシソームへ輸送することによりβ酸化を促し、エネルギー産生・恒常性の維持に寄与しています。尿細管周囲の虚血/再灌流障害により生じた活性酸素は遊離脂肪酸を細胞毒性の強い過酸化脂質に変換します。(下図赤枠内) L-FABPはこの過酸化脂質と結合し細胞外へ排出することにより、腎保護的に働くと考えられています。

L-FABPは組織障害が進行する前の、尿細管の虚血や酸化ストレスにより尿中に排泄されますので、
「尿細管機能障害を伴う腎疾患」の早期段階での評価に有用とされています。

測定原理

標準L-FABPまたは尿検体を前処理液で処理後、反応緩衝液を分注した抗L-FABP抗体固相化プレートに添加します。プレートを洗浄し、二次抗体として酵素標識抗体を添加します。反応後洗浄し、基質溶液を加えて酵素反応を行い、吸光度を測定します。

全ての試薬をReady-to-useの状態で提供しているため、試薬調製の手間が少なく、調整ミスも抑えられます。

特長

・豊富なヒト臨床データに裏付けられたシミックホールディングス製のL-FABP測定キット
・ラット、サル、ヒトのそれぞれのL-FABP測定キットをラインアップ
・非臨床から臨床検体までのシームレスな評価が可能

測定実績

ヒト糖尿病領域での尿中L-FABP

  • 対象:糖尿病性腎症患者147例
    方法:上記症例に対し、病期により層別し平均および、標準偏差を算出、      健常人におけるL-FABPを併せて示した。

    ・糖尿病性腎症患者のL-FABP値は、病期の進行と共に増加。
     L-FABP値は、健常人に比べて腎症早期より高い値を示していることから、
     糖尿病性腎症の早期診断に有用である。

  • 対象:2型糖尿病患者104例
    方法:上記症例に対し、4年間の追跡を行った。
      ※腎症の進行:尿中アルブミン値の増加、末期腎不全への移行、および血液透析の導入

    ・同じアルブミン尿期でも、尿中L-FABPが高い患者では約7倍腎症の
     進行リスクが高い。
    ・尿細管機能を反映するL-FABPと、糸球体障害の指標である尿中アルブミン
     を同時にモニターすることで腎機能の悪化を高い精度で予測できる。

使用例

2型糖尿病モデルラット・SDT fattyラット*尿中L-FABPの測定

供試動物:雄SDT fattyラット*、雄SDラット(コントロール)
試験手順:SDT fattyラットおよびSDラットの尿を8週齢、16週齢、24週齢と経時的に採取し、尿中L-FABP、尿中クレアチニンを測定

(シミックデータ)

<使用キット>
Rat L-FABP ELISA Kit (Part Number :008, CMIC HOLDINGS Co., Ltd.)
QuantiChrom Creatinine Assay Kit (DICT-500 ,BioAssay Systems)

結果:尿細管病変が認められる8週齢において尿中L-FABP値が高値を示す。

*SDT fattyラットについて
日本クレア株式会社が生産・販売する自然発症2型糖尿病モデルラット。
ヒトの糖尿病性腎症に特異的な糸球体結節性病変が認められるなどの特徴を有し、CKD病態解析や治療薬開発における有用性が示唆されている。片腎摘出や食塩水負荷により18週齢前後での糸球体濾過量(GFR)低下を認めるなど試験にあわせた病態のコントロールが可能とされる。尿細管病変は8週齢頃から認められる(Exp.Anim. 57(2),111-121,2008)。

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