脳科学を革新する光学的アプローチ

SCALEVIEW®-S

データ提供元:
国立研究開発法人理化学研究所
脳神経科学研究センター細胞機能探索技術研究チーム / 光量子工学研究センター生命光学技術研究チーム
濱裕先生、星田哲志先生、宮脇敦史先生
協力:オリンパス株式会社

SCALEVIEW®-Sシリーズは、ScaleS法に使用する試薬です。ScaleS法は、理化学研究所の宮脇敦史先生らによって開発された、尿素を主成分とした試薬溶液を用いる透明化法です。

SCALEVIEW®-Sシリーズの6種の溶液 (SCALEVIEW®-S0、SCALEVIEW®-S1、SCALEVIEW®-S2、SCALEVIEW®-S3、SCALEVIEW®-S4、SCALEVIEW®-SMt)に順に組織を浸漬することで簡単に透明化および屈折率調整が可能です。

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SCALEVIEW®-S 特長

  • 操作が簡単 (溶液に順に浸漬するだけ)
  • 2mm脳組織ブロックを約1日で透明化可能

透明化可能組織

マウス脳、ヒト死後脳、骨 (脱灰処理が必要)、オルガノイド/スフェロイド

透明化に必要なもの (SCALEVIEW®-S Trial Kitを使用した場合)

試薬
  1. SCALEVIEW®-S Trial Kit
  2. deScale Solution (製品コード:041-34425)
  3. パラホルムアルデヒド (製品コード:160-16061)
  4. 1 x PBS (製品コード:164-25511)
  5. アガロース
器具
  1. 5 mL/15 mL/30 mL/50 mL コニカルチューブ (サンプルに合わせて使用)
  2. プラスチックペトリディッシュ (100 mm、60 mm 径若しくは 35 mm径) (サンプルに合わせて使用)
  3. シーソーシェーカー
  4. SCALEVIEW®-S 透明化標本向け蛍光顕微鏡と推奨対物レンズ
  • 屈折率 (RI=1.49) に合った対物レンズをご用意ください。
    データ取得前にお手持ちの顕微鏡メーカーに確認することを推奨いたします。

SCALEVIEW®-Sプロトコル

組織透明化プロトコル

マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合

試薬使用量の目安
【透明化処理】透明化処理:各5 mL 洗浄:5 mL
【観察】5 mL

  • 組織透明化プロトコルにおいては、サンプルサイズにより、使用する試薬量、処理時間が変わるので注意が必要です。
    また、サンプルはできるかぎり灌流固定後に摘出・再固定してください。

SCALEVIEW®-Sを用いたマウス脳の透明化例

左から順に、マウス脳スライス(1 mm厚)のSCALEVIEW®-S処理前後、マウス脳半球のSCALEVIEW®-S処理前後

YFP-H lineマウスの透明化全脳を2光子励起顕微鏡で観察 ---大脳基底核部位を段階的にズームイン---

免疫組織染色プロトコル (AbScale法)

マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合

試薬使用量の目安
【前処理】前処理:10 mL 透過処理:各10 mL 洗浄:10 mL
【抗体染色】抗体染色:1.5 mL 洗浄:10 mL
【透明化】10 mL
【観察】10 mL

* AbScale Solution : 0.33 M 尿素、0.1 %(wt/vol) Triton X-100を含むPBS(-)溶液

アルツハイマーモデルマウス(17ヶ月齢)脳スライス(2 mm厚)のAbScale法による免疫組織染色画像例

蛍光色素染色プロトコル (ChemScale法)

マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合

試薬使用量の目安
【前処理】前処理:10 mL 透過処理:各10 mL 洗浄:10 mL
【蛍光色素染色】蛍光染色:8 mL 洗浄:10 mL
【透明化】10 mL
【観察】10 mL

ChemScale処理(PI染色)したYFP-H lineマウスの脳半球スライス(2 mm厚)を共焦点レーザー走査型顕微鏡(倒立)を用いて観察

Neurosphere透明化

試薬使用量の目安
【前処理】前処理:1.2 mL 透化処理:1.2 mL 洗浄:1.2 mL
【抗体染色】AbScaleプロトコルに基づく
【透明化】1.2 mL
【観察】1.2 mL

* AbScale Solution : 0.33 M 尿素、0.1 %(wt/vol) Triton X-100を含むPBS(-)溶液
**透明化後、1.5 %(wt / vol)アガロースを用いて包埋し不動化します。

アダルトラットの海馬から調製した神経幹細胞のNeurosphereの3次元免疫染色 ---AbScale法を使用---

アプリケーション例

マウス脳スライス切片の血管染色観察例

Tomato lectin-texas redで血管染色を行なった新生仔マウス(C57BL6/J、生後10.5日)大脳の冠状断スライス(厚さ1.2 mm)(左上)を透明化し、正立共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)で観察(左下)したVR画像(右)。

アプリケーションガイド

参考文献

  1. Hama,H.et al. : Nature Neuroscience, 14, 1481(2011).
  2. Hama,H.et al. : Nature Neuroscience, 18, 1518(2015).
  3. Hama,H.et al. : Protocol Exchange (2016), doi:10.1038/protex.2016.019

製品一覧

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    【試薬】
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