SCALEVIEW-S
SCALEVIEW-Sシリーズは、ScaleS法に使用する試薬です。ScaleS法は、理化学研究所の宮脇敦史先生らによって開発された、尿素を主成分とした試薬溶液を用いる透明化法です。
SCALEVIEW-S Trial Kitは、6種の溶液 (SCALEVIEW-S0、SCALEVIEW-S1、SCALEVIEW-S2、SCALEVIEW-S3、SCALEVIEW-S4、SCALEVIEW-SMt)に順に組織を浸漬することで簡単かつ高速に透明化および屈折率調整が可能です。
SCALEVIEW-A2は、2011年に報告された透明化手法Scaleに基づく透明化溶液です。光学特性である屈折率ne(20℃)は、1.377 - 1.381と低めに設定されており、高価な顕微鏡設備がない場合でも屈折率のマッチングがしやすく、初心者におすすめです。
SCALEVIEW-S4は、透明化手法であるScaleS法に使用するSCALEVIEW-Sシリーズのひとつです。
SCALEVIEW-S4に浸漬するだけで、スフェロイドやオルガノイドを透明化することができます。
SCALEVIEW 特長
- 操作が簡単 (溶液に順に浸漬するだけ)
- 2mm脳組織ブロックを約1日で透明化可能
- 蛍光色素染色(ChemScale)や免疫組織染色(AbScale)も可能
透明化可能組織
マウス脳、ヒト死後脳、骨 (脱灰処理が必要)、オルガノイド/スフェロイド
透明化に必要なもの (SCALEVIEW-S Trial Kitを使用した場合)
試薬
- SCALEVIEW-S Trial Kit
- deScale Solution (製品コード:041-34425)
- パラホルムアルデヒド (製品コード:160-16061)
- 1 x PBS (製品コード:164-25511)
- アガロース
器具
- 5 mL/15 mL/30 mL/50 mL コニカルチューブ (サンプルに合わせて使用)
- プラスチックペトリディッシュ (100 mm、60 mm 径若しくは 35 mm径) (サンプルに合わせて使用)
- シーソーシェーカー
- SCALEVIEW-S 透明化標本向け蛍光顕微鏡と推奨対物レンズ※
- 屈折率(SCALEVIEW-A2 : RI=1.38, SCALEVIEW-S4: RI=1.47, SCALEVIEW-SMt : RI=1.49)に合った対物レンズをご用意ください。
データ取得前にお手持ちの顕微鏡メーカーに確認することを推奨いたします。
SCALEVIEW-Sプロトコル
- 1-2mm厚脳切片の組織透明化プロトコル
- 1-2mm厚脳切片の免疫組織染色プロトコル (AbScale法)
- 1-2mm厚脳切片の蛍光色素染色プロトコル (ChemScale法)
- スフェロイドの免疫組織染色プロトコル (AbScale法)
- スフェロイドの簡易透明化プロトコル
1-2mm厚脳切片の組織透明化プロトコル
マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合
試薬使用量の目安
【透明化処理】透明化処理:各5 mL 洗浄:5 mL
【観察】5 mL
- 組織透明化プロトコルにおいては、サンプルサイズにより、使用する試薬量、処理時間が変わるので注意が必要です。
また、サンプルはできるかぎり灌流固定後に摘出・再固定してください。
SCALEVIEW-Sを用いたマウス脳の透明化例
左から順に、マウス脳スライス(1 mm厚)のSCALEVIEW-S処理前後、マウス脳半球のSCALEVIEW-S処理前後
YFP-H lineマウスの透明化全脳を2光子励起顕微鏡で観察 ---大脳基底核部位を段階的にズームイン---
1-2mm厚脳切片の免疫組織染色プロトコル (AbScale法)
マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合
試薬使用量の目安
【前処理】前処理:10 mL 透過処理:各10 mL 洗浄:10 mL
【抗体染色】抗体染色:1.5 mL 洗浄:10 mL
【透明化】10 mL
【観察】10 mL
* AbScale Solution : 0.33 M 尿素、0.1 %(wt/vol) Triton X-100を含むPBS(-)溶液
アルツハイマーモデルマウス(17ヶ月齢)脳スライス(2 mm厚)のAbScale法による免疫組織染色画像例
1-2mm厚脳切片の蛍光色素染色プロトコル (ChemScale法)
マウス脳半球由来の1-2 mm厚スライスの場合
試薬使用量の目安
【前処理】前処理:10 mL 透過処理:各10 mL 洗浄:10 mL
【蛍光色素染色】蛍光染色:8 mL 洗浄:10 mL
【透明化】10 mL
【観察】10 mL
ChemScale処理(PI染色)したYFP-H lineマウスの脳半球スライス(2 mm厚)を共焦点レーザー走査型顕微鏡(倒立)を用いて観察
スフェロイドの免疫組織染色プロトコル (AbScale法)
試薬使用量の目安
【前処理】前処理:1.2 mL 透化処理:1.2 mL 洗浄:1.2 mL
【抗体染色】AbScaleプロトコルに基づく
【透明化】1.2 mL
【観察】1.2 mL
* AbScale Solution : 0.33 M 尿素、0.1 %(wt/vol) Triton X-100を含むPBS(-)溶液
**透明化後、1.5 %(wt / vol)アガロースを用いて包埋し不動化します。
アダルトラットの海馬から調製した神経幹細胞のNeurosphereの3次元免疫染色 ---AbScale法を使用---
スフェロイドの簡易透明化プロトコル
操作手順イメージ 4)
*透明化後、1.5% (wt/vol) アガロースを用いて包埋し、不動化することで観察が容易になります。
アプリケーション
- YFP-H マウス海馬イメージング
- マウス脳スライス切片の血管染色観察例
- T47D細胞スフェロイド観察例
- ニューロスフェア3次元免疫染色
- F-POD®透明化アプリケーション
- iCell® Hepatocytes2.0透明化
YFP-H マウス海馬イメージング
エビデント製 対物レンズXLPLN25XSVMP (NA1.0, WD4mm)を用いて観察した例
YFP-H マウス脳のイメージング
エビデント製 対物レンズXLSLPLN25XSVMP (NA0.90, WD8mm)を用いて観察した例
マウス脳スライス切片の血管染色観察例
T47D細胞スフェロイド観察例
Data by Molly E, Boutin, et al. : Scientific Reports, 8, 11135 (2018).
ニューロスフェア3次元免疫染色
F-POD®透明化アプリケーション
サンプル RLUN14:上皮内腺がん、細気管支肺胞上皮がん
サンプル RLUN20
抗体 色素 顕微鏡 対物レンズ |
:ZO-1-Alexa488 conjugate :Actistain670 (ファロイジン) :DAPI :FV3000 :UPLSAPO30×S |
データ提供元:福島県立医科大学 高木 基樹先生、協力:エビデント株式会社
F-PDO®(がん組織由来培養細胞)を用いた抗がん剤等の薬効評価解析の受託も承っています。
詳細は、こちらをご確認ください。
iCell® Hepatocytes2.0透明化
詳しいプロトコルはこちら
参考文献
- Hama,H.et al. : Nature Neuroscience, 14, 1481(2011).
- Hama,H.et al. : Nature Neuroscience, 18, 1518(2015).
- Hama H, et al. : Protocol Exchange (2016), doi:10.1038/protex.2016.019
- Molly E, Boutin, et al. : Scientific Reports, 8, 11135 (2018).
- Takahashi N, et al. : Cells, 8, 481 (2019).
FAQ
手法について
- 透明化中にサンプルは膨張しますか。
- ほとんど変化しません。ただし透明化工程中にわずかに膨張します。最終の透明化工程でほぼオリジナルサイズに戻ります。
- 透明化工程でストップポイントはありますか。
- [AbScale, ClemScaleの前処理工程]
SCALEVIEW-S0, A2処理において、4℃下であれば12 hrs~3 daysほど置いておくことが可能です。
- 透明化後のサンプルの保管はどうすればよいですか。
- SCALEVIEW-S4溶液中で、パラフィルム等で乾燥を防いで常温、遮光保管してください。
観察について
- 蛍光タンパク質のシグナルはどの程度保持されますか。
- 6か月間ほど保持されます。
- どのような観察容器を使用すればよいですか。
- 組織サンプルより少し大きい径のディッシュや、サンプルの厚みに合わせたSee Through Chamber をご使用ください。
- どのような顕微鏡を使用すればよいですか。
-
共焦点顕微鏡、二光子顕微鏡、などをご使用ください。また、SCALEVIEW-S4 (RI=1.47), SCALEVIEW-SMt (RI=1.49)の屈折率に合った対物レンズをご使用ください。
参考情報としてEvident社製対物レンズ一覧を掲載しています。もしくは、お手持ちの顕微鏡メーカーへお尋ねください。【Tips】対応する顕微鏡が無く、高屈折率条件下で観察することが困難な場合は、SCALEVIEW-A2(RI=1.38)で置換して観察することをご検討ください。詳細はこちらをご覧ください。
製品一覧
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- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
- 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。