Qホームページの「HPLC用カラムの選び方」に記載されている、充てん剤の物性値の各項目は何を表していますか。
当社ホームページの「液体クロマトグラフィー」製品のページには当社HPLC用カラム「Wakopak®」シリーズの「充てん剤一覧」を掲載、分離モードに分けてシリカゲルに修飾している官能基、充てん剤名を列記し、それぞれの充てん剤の物性情報を記載しています。ここでは物性情報の各項目についてご説明いたします。
当社「液体クロマトグラフィー」製品については下記をご覧ください。
平均粒子径(μm)
充てん剤の粒子の大きさを平均値(一部は粒子径の範囲)で示しています。
分析用では5 μmが使用されてきましたが、高速・高分離分析などには、3 μm、2 μmの充てん剤が多く用いられます。
シリカゲルの形状とシリカゲル純度
当社、HPLCカラム Wakopak®は全て"全多孔性球状"のシリカゲルを基材に使用しています。
基材のシリカゲルに含まれる不純物は極微量ですが、その中でも不純物が極めて少ないシリカゲルを"高純度シリカゲル"として区別しています。キレート形成能をもつ化合物の中には微量の金属不純物の影響を受け、吸着やテーリングが認められる場合がありますので、当社では高純度シリカゲルを基材とした担体を充てんしたカラムを推奨しています。
平均細孔径(nm)
単位重量当たりの充てん剤のもつ細孔の大きさの平均値を示しています。
一般分析用には、6~15 nm程度のものが用いられることが多く、タンパク質など高分子物質の分析には、30 nm位の細孔径を有するシリカゲルが用いられます。
比表面積(m2/g)
単位重量当たりの充てん剤の表面積を示しています。
細孔径と細孔容量により、表面積は変化します。比表面積が大きいと単位重量当たりの化学修飾率が高く、炭素含有量が大きくなる傾向にあります。一方、炭素含有量をコントロールして合成される充てん剤も多くあります。
細孔容量(mL/g)
充てん剤表面の細孔の容積を示します。
細孔容量が同じであれば、細孔径が小さく多くの細孔をもつ充てん剤の方が比表面積が大きくなります。
C%
充てん剤に結合している炭素の量を重量%で示した数値です。
充てん剤の元素分析を行い、炭素量を測定して、結合した修飾基の結合量を求めます。
同じ修飾基をもつ充てん剤では、炭素含有量の数値が大きいほど、保持能力が高い場合が多くなります。
C18カバレッジ(μmol/m2)
シリカゲルに化学修飾されたC18のmol数(結合量)を比表面積で除した数値を示します。
C18の結合量は、C%から求められます。
一次修飾
基材シリカゲルに結合させた化学修飾基の結合状態の違いを示します。
- モノメリック : 一反応性のシリル化剤を使用して合成、シリカゲル表面に修飾基が単結合している。
- ポリメリック : 複反応性のシリル化剤を使用して合成、シリカゲル表面に修飾基が単結合および複数結合している。
同じC18を結合した充てん剤でも結合状態により分離特性が異なります。
エンドキャップ(二次修飾)
一次修飾の後、残存するシラノール基※を除くために二次修飾している充てん剤か否かを示しています。
「エンドキャップ」の欄に「○」の記載されている充てん剤は、エンドキャッピングされた充てん剤です。
本来の化学修飾基の作用による分離特性が、充てん剤の表面に残存するシラノール基※の影響を受け妨げられる事の
ない様にするために実施されます。特に塩基性化合物は、シラノール基※にイオン的に吸着される事で保持時間が長くなったり、ピークがテーリングしたりするなどの影響を受けます。
残存シラノール基※を除くためにさらにシリル化を行うことをエンドキャッピングといいます。
※シラノール基:シリカ表面に存在する。化学式では「Si-OH」と表される。
「エンドキャッピング」の詳細については下記をご覧ください。
その他
各充てん剤の特長を簡単にまとめて記載しています。
また、カラムの出荷時の溶媒について記載していますので、取扱いの参考にしていただけると思います。