PEG代替材料
親水性・生体適合性などに優れたPEGに代わる材料ポリエチレングリコール(PEG)は化粧品・医薬品の分野で広く使われています。
一方で、それぞれの技術の特許権が非常に複雑化してしまっていることや、抗PEG抗体による生体への影響および長期間使用した場合の健康上への懸念から、代替技術の模索がされています。
PEGに代わるポリマー材料の機能として、親水性、生体適合性、安全性などが求められ、DDS材料にあっては、薬物のステルス性などが求められます。
当社のラインアップからPEG代替材料として期待されるポリマーおよびモノマー材料をピックアップしました。
また、これらの材料を用い、当社の重合技術を活用したポリマー受託合成についても、ぜひご検討ください。
学術コンテンツ
ポリエチレングリコール(PEG)は、血液循環時間の延長や薬物効果の向上を目的としたバイオコンジュゲーションやナノメディシンのゴールドスタンダードとして広く使用されています。
タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド(DNA、siRNA、miRNA)およびナノ粒子へのPEGの結合は、PEG化としてよく知られた技術であり、PEG化製品は過去数十年間臨床で使用されてきました。
しかし、PEG化された薬剤で患者を治療すると、PEGを特異的に認識して結合する抗体(すなわち、抗PEG抗体)が形成される可能性があることが次第に認識されてきています。また、抗PEG抗体は、PEG製剤による治療を受けたことがなくても、PEGを含む製品を摂取したことがある患者にも認められます。その結果、抗PEG抗体を獲得した患者にPEG化薬を投与すると、血中クリアランスの促進、薬物有効性の低下、過敏症、そして場合によっては生命を脅かすような副作用が生じることになります。
PEG代替候補化合物として、親水性の合成高分子である、ポリグリセロール(PG)、ポリオキサゾリン(POX)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(N,N-ジメチルアミド)(PDMA)、ポリアクロイルモルホリン(PAcM)、ポリオリゴエチレングリコールメタクリレート(POEGMA)、ポリ(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)(HPMA)などが研究されています。
また、ポリ(カルボキシベタイン)(pCB)やポリ(スルホベタイン)(pSB)などの合成双性イオン材料は、その強い水和性により、非特異的なタンパク質防汚性と低い免疫原性によりPEG代替物として提案されています。
PEG代替化合物 | 利点 | 欠点 | |
---|---|---|---|
合成高分子 | |||
ポリオキサゾリン (POZ/POX) | 調整可能な特性、生体適合性、より良い腎クリアランス、および生分解性 | 不純物、高コスト 合成難易度が高く、FDAの承認取得が難しい | 抗高分子抗体の生成を誘発する日常製品への存在 |
ポリN-ビニルピロリドン (PVP) | UVや超音波照射下でPEGより分解しづらい 化粧品、医薬品、食品で広く使用されている | 分子量が腎臓の閾値より大きい場合、生体適合性がない PEGよりリジッドな構造のため、立体障害が小さい | |
ポリグリセロール (PG) | 血液粘度を上昇させず、血液循環時間が改善される 繰り返し暴露してもABCを誘発しない | 非生分解性 組織への高い蓄積性 | |
ポリアクリルアミド | タンパク質防汚性 生体適合性 | 非生分解性 モノマーの神経毒性 PEGより免疫活性化促進 | |
天然高分子 | |||
脂質、炭化水素(ヘパリン、グリコサミノグリカン、ポリシアル酸、ヒアルロン酸…)、タンパク質(エラスチン様タンパク質、血清アルブミン、CD47…) | PEG並みの遮蔽効果 免疫反応誘発しない 生体適合性、生分解性 細胞様物質 特異的な環境へのターゲティング能力 | デリバリー媒体としての研究があまりなされていない 臨床応用がまだされていない | |
ポリアミノ酸 | 血液循環、ABC現象、生分解性 臨床試験中の候補物質 | 補体活性化 | |
双性イオン | |||
カルボキシベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン ベースポリマー | カスタマイズ性、低コスト、安定性、防汚性 | MPCなどポリマー合成が難しい場合がある |
参考文献
Thi, T. et al., Polymers, 12(2), 298 (2020)
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