同仁化学 キレート試薬
同仁化学研究所では、1952年にEDTA・2Naを発売し、EDTAを用いたキレート滴定法を日本で最初に報告致しました。
現在でも容量分析法のスタンダートとして多くのユーザー様にご愛用いただいております。また、溶液の安定化剤や半導体分野での洗浄剤としてなど、多岐に渡る分野で活用されています。用途に応じた製品を販売しておりますので、ご紹介いたします。
EDTA類
メーカーコード | 品名 | 和光コード | 容量 | 製品概要 |
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H001 | 4H(EDTA・free acid) | 342-01353 | 50 g | 4HはEDTAの遊離酸で、水にはほとんど溶けない (溶解度0.034 g/100 ml、25℃)。 |
348-01355 | 500 g | |||
N001 | 2NA(EDTA・2Na) | 343-01861 | 50 g | EDTAの2ナトリウム塩で、キレート滴定をはじめ分析試薬として最も広く用いられている。 |
345-01865 | 500 g | |||
349-01863 | 5 kg | |||
N002 | 3NA(EDTA・3Na) | 340-01871 | 50 g | EDTAの3ナトリウム塩。水によく溶けて中性から弱アルカリ性を呈する。 |
342-01875 | 500 g | |||
N003 | 4NA(EDTA・4Na) | 343-01883 | 50 g | EDTAの4ナトリウム塩。水によく溶け、強いアルカリ性を呈する。滴定溶液の調製には適さないが、金属イオンのマスキング用あるいはEDTAの各種金属塩の製造用として使用される。 |
349-01885 | 500 g | |||
347-01881 | 5 kg | |||
N008 | 2NH4(EDTA・2NH4) | 346-01971 | 50 g | EDTAのアンモニウム塩。アルカリ金属類の存在が不都合な研究(例えば生化学研究、薬品安定剤など)に便利である。 |
348-01975 | 500 g | |||
K001 | 2K(EDTA・2K) | 340-01511 | 50 g | 2NA類似の化合物でナトリウムのかわりにカリウムの入った塩。ナトリウムの存在が不都合な研究(生化学研究、薬品安定剤など)に便利である。また、3K、3Liと共に血液抗凝固剤として優れた性質を持っている。 |
342-01515 | 500 g | |||
K002 | 3K(EDTA・3K) | 343-01523 | 50 g | 3NA類似の化合物でナトリウムのかわりにカリウムの入った塩。2Kと組合せ(通常、2K:3K=1:1)で血液抗凝固剤として用いられている。 |
349-01525 | 500 g |
【よくある問い合わせ】
Q:EDTAのNa塩には4H、2NA、3NA、4NA がありますが、性能に違いはあるのでしょうか?
A:もっとも広く用いられているキレート試薬は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)です。構造式から明らかなように、四塩基性酸であるためアルカリで中和すると、1〜4 アルカリ塩が生成します。pH調整をせずにそのまま使用すると、性能(キレート力)に違いがあります。使用時のpHを同じにすれば、EDTAとしての性能は同じになります。それはpHが測定対象となる金属に影響するためです。各化合物の中の'Na(ナトリウム)'の数が異なるため、「水への溶解度」「水に溶かした時のpH」が異なります。遊離酸ないし2〜4 ナトリウム塩の主な性質を示すと次表の通りとなります。
遊離酸 | 2Na塩 | 3Na塩 | 4Na塩 | |
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ドータイト名 | ドータイト4H | ドータイト2NA | ドータイト3NA | ドータイト4NA |
組成 | H4Y | Na2H2Y・2H2O | Na3HY・3H2O | Na4Y・4H2O |
分子量 | 292.24 | 372.24 | 412.23 | 452.23 |
外観 | 白色粉末 | 白色粉末 | 白色粉末吸湿性 | 白色粉末吸湿性 |
溶解度(水)* | 0.034(25℃) | 11.1(21℃) | 46.5(22℃) | 60(22℃) |
g/100 ml | 0.94(100℃) | 27.0(98℃) | 46.5(80℃) | 61(80℃) |
融点 | 240℃(分解) |
* 武井信典, 分析化学, 1973, 22, 137.
Y. Yoshino, I. Iguchi, M. Kojima, K. Mizumachi, Bull. Chem. Soc. Jpn., 1958, 31, 892.
EDTA 金属キレート
メーカーコード | 品名 | 和光コード | 容量 | 製品概要 |
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C537 | エデト酸カルシウムナトリウム水和物 | 349-09205 | 500 g | 日本薬局方に相当した品質の製品である。 |
E008 | Ca(II)-EDTA | 347-00421 | 50 g | EDTAのNa塩はMg、Znをはじめ、多くの金属と安定な金属キレートを作り、その組成は下記のようになる。 二価金属 : Na2MeY.xH2O 三価金属 : NaMeY.xH2O 四価金属 : MeY.xH2O(Y=EDTAアニオン) |
E010 | Cu(II)-EDTA | 341-00821 | 10 g | |
E011 | Fe(III)-EDTA | 343-01241 | 50 g | |
345-01245 | 500 g | |||
E013 | Mg(II)-EDTA | 341-01742 | 25 g | |
E014 | Mn(II)-EDTA | 344-01771 | 10 g | |
E017 | Zn(II)-EDTA | 346-03012 | 25 g | |
340-03015 | 500 g |
【表 金属-EDTAキレート(Y=EDTAアニオン)】
現在、種々の文献に発表されたEDTA金属キレートとその結晶水との組織は下記の通りです。
-
金属 組成 色 結晶水(文献値) Al NaAIY 白色 2H2O Ba Na2BaY 白色 4 ~ 8H2O Bi NaBiY 白色 4H2O Ca Na2CaY 白色 4 ~ 6H2O Ce(III) NaCeY 白色 8H2O Co(II) Na2CoY ピンク 4H2O Cr NaCrY 1 ~ 2H2O Cu(II) Na2CuY 青色 4H2O Dy NaDyY 白色 6H2O Eu NaEuY 白色 6H2O Fe(III) NaFeY 黄褐色 3 ~ 6H2O Ga NH4GaY 8H2O Ge Na2GeY 2H2O Hf HfY 4H2O In NaInY 白色 La NaLaY 白色 6H2O Mg Na2MgY 白色 4 ~ 5H2O Mn(II) Na2MnY 白色 3 ~ 6H2O Mn(III) NaMnY 2 ~2.5H2O -
金属 組成 色 結晶水(文献値) Mo Na2(Mo2O2)Y 赤橙色 H2O Nd NaNdY 8H2O Ni Na2NiY 淡青色 4H2O Pb Na2PbY 白色 4H2O Pd(II) H2PdY H2O Pt(II) Na2PtY 5H2O Rh NaRhY 白色 2H2O Ru Ru(OH2)YH 4H2O Sb(III) NaSbY H2O Sm NaSmY 白色 6 ~ 8H2O Sn(II) Na2SnY 2H2O Sr Na2SrY 白色 2H2O Ti NaTiY 4H2O Th ThY H2O UO22+ (UO2)2Y 無水 VO2+ Na2(VO)Y 紫色 3 ~ 9H2O W(VI) Na4(WO3)2Y 8H2O Y NH4YY 6H2O Zn Na2ZnY 白色 4H2O Zr ZrY 4H2O
その他キレート試薬
メーカーコード | 品名 | 和光コード | 容量 | 製品概要 |
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B019 | BAPTA | 341-05061 | 100 mg | 酸解離定数はpKa3=5.47、pKa4=6.36であり、金属イオンとの安定度定数はlogKCa=6.97、logKMg=1.77である。したがって、中性付近でのCa2+に対する選択的キレート剤である。中性付近でもプロトンの影響を受けにくい。 |
347-05063 | 500 mg | |||
GB04 | Bicine | 347-03282 | 25 g | 遊離酸も水には溶ける(1.1 mol/l, 0℃で飽和)。安定度定数はあまり大きくないが、アルカリ性溶液でFe3+をマスクする。アルカリ土類金属の相互分離用試薬として、このような低安定度のキレート試薬は面白い性質を示す。キレート剤としてはDHEGという名でも呼ばれている。pKa=8.35、pH7.7~9.1の緩衝液を作るのに適する。 |
343-03284 | 100 g | |||
C018 | CyDTA | 343-00881 | 5 g | 2つのアミノ基は、トランス配置で1分子の結晶水を含む。異性体として1,3-、1,4-型も存在するが金属と安定なキレートを作らない。白色結晶粉末の遊離酸で、EDTA のそれよりも水に溶けやすい。EDTAより反応速度が遅く、滴定に際しては、加熱するか、ゆっくり行う必要がある。特にAl、Cr、Ni、Zrとは反応速度が遅く、0℃においては、CrとCyDTAは数日以上も反応しない。また、EDTAよりキレート安定度定数が大きいので、強力なキレート剤として用いられている。 |
341-00882 | 25 g | |||
C420 | CyDTA(オートアナライザー用) | 347-90271 | 100 g | オートアナライザーでアンモニアを分析する為の専用規格品。 |
D022 | DTPA | 347-01141 | 5 g | 水には溶けにくい。キレート安定度定数はCyDTAについで大きく、キレート滴定においてはBa2+、Sr2+に対しても明瞭な終点が得られる。また錯化力が強くマスキング剤としても有用である。金属の抽出に用いた報告では、pH5.3の条件下でAl、Fe、Mn、Zn、Cu、Cd、Niを土壌中から抽出する試薬として、DTPAとEDTA-OHが最も有効な試薬であるとしている。 |
345-01142 | 25 g | |||
E005 | EDTA-OH | 348-01171 | 5 g | ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸。水には難溶。pH7~12において多価イオン、ことにFe3+に対するマスキング能力が大きく、EDTAとは異なったマスキング作用をもっている点で興味深い。このほか、滴定用、希土類のイオン交換法による精製試薬、銅メッキ用キレート剤としても用いられる。 |
346-01172 | 25 g | |||
G002 | GEDTA(EGTA) | 348-01311 | 5 g | グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTAとも略する)。EDTAにくらべて有機溶媒(DMF)には幾分溶けやすい。そのキレート生成定数はEDTAとあまり変わりないが、金属によってかなりの特異性があるので滴定用試薬としてCd、Zn混合試料中のCdの選択滴定や、Ca、Mg共存下のCaを選択的に滴定できる。そのほか電位滴定、濾紙クロマトグラフィーにおける展開液への添加、酵素活性、生体膜、筋肉における生理機構の研究など生化学試薬として用途が広い。 |
346-01312 | 25 g | |||
342-01314 | 100 g | |||
H006 | HIDA | 348-01453 | 5 g | ヒドロキシエチルイミノ二酢酸。安定度定数はBicineより大きく、NTAよりは小さい。従って滴定用試薬としての用途は少ないが、研究用試薬としては興味深い。 |
I001 | IDA | 341-01482 | 25 g | イミノ二酢酸。融点224~30℃(分解)。安定度定数が小さいために滴定用、マスキング用としてほとんど使用されないが、キレート試薬や金属指示薬の合成原料として用いられる。 |
345-01485 | 500 g | |||
N016 | NTA | 344-02072 | 25 g | ニトリロ三酢酸。融点247℃(分解)。水には0.13 g/100 ml(5℃)溶け、その飽和水溶液のpHは約2.7である。EDTAに比べてキレート生成定数が小さいため、金属イオンのマスキング剤、ポーラログラフィー用試薬などに用いられる。 |
348-02075 | 500 g | |||
N030 | NTPO | 348-08751 | 5 g | ニトリロトリスメチルホスホン酸三ナトリウム塩。 水によく溶ける。NTAのホスホン酸類似体である。 |
T040 | TPEN | 340-05411 | 100 mg | 膜透過性にすぐれた重金属マスキング剤。重金属との親和性が高く、Ca、Mg との結合は無視できる。金属イオンとの安定度定数は次の通りである。logKMn=10.27、logKFe=14.61、logKZn=15.58、logKMg=1.7、logKCa=4.4 |
T031 | TTHA | 340-02873 | 5 g | トリエチレンテトラミン六酢酸。水には溶けにくい。融点233~234℃(分解)、アルカリ水溶液にはよく溶ける。非常に安定なキレートを作る。 TTHAは金属の種類および条件によって1:1あるいは1:2キレートを作り、EDTAの様に常に一定比では結合しないので、滴定用試薬として用いる場合注意を要する。滴定終点におて、Bi、Ca、Fe、Hf、In、Mn(II)、La(希土)、Sc、Sn(IV)、Th、Tl(III)、Zrは1:1キレート、Al、Cd、Co(II)、Cu(II)、Cr(III)、Ga、Hg、Ni、Pb、Sn(II)、Ti、Znは1:2結合となる。 |
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