EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬は、細胞外小胞の凍結保護および細胞外小胞のチューブやピペットチップなどの実験器具へ吸着するのを抑制する試薬です。当社では動物実験にも使用可能なin vivo用 EV-Saveもラインナップしております。

凍結保護

保管前にEV-Save™を細胞外小胞を含むチューブにEV-Saveを添加することで、細胞外小胞の-80℃での保管が可能になります。
(エクソソームは凍結融解を繰り返すことにより損傷することが知られています)

吸着防止

精製や保管の前にEV-Saveをサンプルへ添加することで、実験中および保管中に起こる細胞外小胞の吸着によるロスを防止し、回収率を高めます。

ご使用の前に
  • 血清・血漿や夾雑物が多いサンプルに本製品を使用した場合、吸着防止の効果は得られにくくなります。
  • in vivo用 EV-Save細胞外小胞ブロッキング試薬(Code No. 050-09461)は限外ろ過による細胞外小胞のロスを低減できません。限外ろ過を行う場合はEV-Save 細胞外小胞ブロッキング試薬(Code No. 058-09261)をご使用ください。
  • EV-Save細胞外小胞ブロッキング試薬(Code No. 058-09261)にはポリマーが含まれています。後工程でポリマーの存在が実験結果に影響を与える恐れがある場合、本製品のご使用はお控えください。

特長

  • 細胞外小胞を凍結から保護
    細胞外小胞の-80℃保管が可能に!
  • 培養上清中および精製後細胞外小胞の実験器具への吸着抑制
    細胞外小胞の回収率がUP!
  • サンプルに本製品を添加するだけの簡単操作

使用方法

<MagCapture Exosome Isolation Kit PS Ver.2(Code No. 290-84103)を用いて細胞培養上清から細胞外小胞を単離する場合>

  1. EV-Saveあるいはin vivo用EV-Saveを細胞培養上清へ100倍希釈となるように添加し、転倒混和あるいはタッピングで混合する。
  2. MagCapture Exosome Isolation Kit PS Ver.2(V2.0キット)の説明書に記載の“5. 細胞外小胞結合ビーズの洗浄”まで実験を進める。
  3. V2.0キットに付属している”Exosome Elution Buffer”にEV-Saveあるいはin vivo用EV-Saveを100倍希釈となるように添加し、転倒混和あるいはタッピングで混合する。
  4. V2.0キットの説明書に記載の”6. 細胞外小胞の溶出”から実験を再開し、細胞外小胞を溶出する。
  5. 溶出した細胞外小胞を保管※1、もしくは次の実験に進む。

<他の単離方法を用いて細胞培養上清から細胞外小胞を単離する場合>

  1. EV-Saveあるいはin vivo用EV-Saveを細胞培養上清へ100倍希釈となるよう添加し、転倒混和あるいはタッピングで混合する。
  2. 単離した細胞外小胞へEV-Save™あるいはin vivo用EV-Saveを100倍希釈となるように添加し、転倒混和あるいはタッピングで混合する。
  3. 細胞外小胞を保管する※1、もしくは次の実験へ進む。

<MagCapture Exosome Isolation Kit PS Ver.2を用いて血清、血漿から細胞外小胞を単離する場合>

  1. MagCapture Exosome Isolation Kit PS Ver.2(V2.0キット)の説明書に記載の“5. 細胞外小胞結合ビーズの洗浄”まで実験を進める。
  2. V2.0キットに付属している”Exosome Elution Buffer”にEV-Save™あるいはin vivo用EV-Saveを100倍希釈となるように添加し、転倒混和あるいはタッピングで混合する。
  3. V2.0キットの説明書に記載の”6. 細胞外小胞の溶出”から実験を再開し、細胞外小胞を溶出する。
  4. 溶出した細胞外小胞を保管※1、もしくは次の実験に進む。

※1 本品を添加していれば-20℃以下での凍結保存が可能です。ただし過度な凍結融解の繰り返しは避けてください

EV-Save 細胞外小胞ブロッキング試薬

エクソソーム凍結保護効果

エクソソームは凍結融解を繰り返すことにより損傷することが知られている 1)。このようなエクソソームの損傷がEV-Save™の添加により抑制できるかを検討した。

実験条件

PSアフィニティー法※2対応キットで精製したCOLO201細胞由来エクソソームを凍結融解した。その後、PS Capture™ Exosome ELISA Kit (Anti Mouse IgG POD) (Code No:297-79201) による測定 (A)、および透過型電子顕微鏡 (TEM) による解析を実施した (B)。

※2 ホスファチジルセリン (PS) 結合分子を用いて細胞外小胞を金属イオン依存的に捕捉した後、キレート剤により溶出する方法。MagCapture Exosome Isolation Kit PS Ver.2の使用により、本手法でのEV精製が行えます。

  • エクソソーム凍結保護効果とCD63シグナル
  • エクソソーム凍結保護効果の電子顕微鏡解析

凍結-融解によりCD63シグナルは低下したが、このようなシグナルの低下はEV-Save™を添加することにより抑制された (A)。さらに電子顕微鏡解析による結果から、凍結融解により粒子数の顕著な減少が生じることが確認されたが、このような現象に対してもEV-Save™による抑制効果が認められた (B)。

参考文献
  1. Steffi, B. et al. "Trehalose prevents aggregation of exosomes and cryodamage", Scientific Reports, 6, 36162 (2016).

チューブに対するエクソソーム吸着抑制効果

EV-Save™を用いて、精製エクソソームのチューブへの吸着抑制効果を調べた。

実験条件

PSアフィニティー法対応キットを用いてCOLO201細胞培養上清からエクソソームを単離した。3 ng/µLに調製したエクソソームをチューブに入れ、3分間静置した。その後別のチューブに移し換え、これを4回繰り返した。「EV-Save™あり」条件は、液量に対し 1/100 希釈となるようEV-Save™を最初に添加し、移し替えた。PS Capture™ Exosome ELISA kit (Anti Mouse IgG POD) (Code No:297-79201) を用いて、エクソソームのCD63シグナルを測定し、移し替え回数によるエクソソームの減少率を調べた。移し替え前のCD63シグナルを100 %として相対値をグラフに示した。

チューブに対するエクソソーム吸着抑制効果のグラフ

一般的なチューブおよびタンパク質低吸着チューブのどちらにおいても、チューブを移し替えることでエクソソームは減少した。しかしながら、EV-Save™を添加することで、チューブ移し替えによるエクソソームの減少をほぼ完全に抑制した。

PSアフィニティー法対応キットと併用した場合のエクソソーム吸着抑制効果

TIG3細胞培養上清からPSアフィニティー法対応キットを用いてエクソソームを精製する過程において、EV-Save™の添加によりエクソソームのロスを抑制できるかを調べた。

実験条件

PSアフィニティー法対応キットを用いて、COLO201、TIG3、ヒトiPS細胞の各培養上清1 mLからエクソソームを精製した。限外ろ過による培養上清の濃縮は行わなかった。エクソソーム精製は、「各培養上清へのEV-Save添加あり/なし」、「付属の“Exosome Elution Buffer”へのEV-Save添加あり/なし」の条件に分けて実施した。

PS Capture™ Exosome ELISA Kit (抗マウスIgG POD) (Code No:297-79201) を使用してエクソソームのCD63シグナルを測定し、エクソソーム量とした。また、細胞培養上清のCD63シグナルを100 %として相対値をグラフに示した。

PSアフィニティー法対応キットと併用した場合のエクソソーム吸着抑制効果


-/-: 培養上清へEV-Save™添加なし / “Exosome Elution Buffer”へEV-Save™添加なし
-/+: 培養上清へEV-Save™添加なし / “Exosome Elution Buffer”へEV-Save™添加あり
+/+: 培養上清へEV-Save™添加あり / “Exosome Elution Buffer”へEV-Save™添加あり

TIG3の細胞培養上清および付属の“Exosome Elution Buffer”へEV-Save™を添加した条件(+/+)では、どちらにもEV-Save™を添加しない条件(-/-)よりエクソソームの回収量は約20 %増加した。

ヒトiPS細胞培養上清の限外ろ過時におけるエクソソーム吸着抑制効果

ヒトiPS細胞培養上清の限外ろ過時におけるエクソソーム吸着抑制効果

ヒトiPS細胞培養上清の限外ろ過(Vivaspin 20分画, 分子量100K)濃縮の前後でエクソソームがロスしているか調べた。


培養上清中のエクソソームは、限外ろ過により約60 %ロスしたが、EV-Save™の添加により、限外ろ過におけるエクソソームのロスをほぼ完全に抑制できた。

細胞(ヒトiPS細胞)毒性評価

ヒトiPS細胞を用いたEV-Saveの毒性評価

ヒトiPS細胞を用いてEV-Save™の細胞毒性を調べた。EV-Save™を1/100量添加したTBS溶液を培養培地へ培地の1/5量加えた。調製した培地でヒトiPS細胞を3日間培養し、生細胞数を測定した。


EV-Save™は、ヒトiPS細胞の増殖にほぼ影響しなかった。

【New】in vivo用 EV-Save 細胞外小胞ブロッキング試薬

in vivo用EV-SaveとEV-Saveの比較

in vivo用EV-Save™とEV-Saveの比較

アプリケーションデータ

・エクソソームの凍結保護効果

EV-Saveおよびin vivo用 EV-Save をPSアフィニティー法で精製したCOLO201細胞由来エクソソームに添加し、1回もしくは3回凍結融解した。その後、サンプルチューブ内のエクソソーム量をPS Capture Exosome ELISA Kit (ストレプトアビジンHRP) (Code No. 298-80601)により測定した。

EV-Saveによるエクソソームの凍結保護効果

EV-Save未添加の場合、凍結融解によりエクソソームマーカーであるCD9シグナルは低下したが、このシグナル低下はEV-Saveおよびin vivo用 EV-Saveを添加することにより抑制された。

・エクソソームの吸着効果抑制

EV-Saveおよびin vivo用 EV-Save をPSアフィニティー法で精製したCOLO201細胞由来エクソソームに添加し、16時間、4℃で保管した。その後、サンプルチューブ内のエクソソーム量をPS Capture Exosome ELISA Kit (ストレプトアビジンHRP) (Code No. 298-80601)により測定した。

EV-Saveによるエクソソームの吸着保護効果

EV-Save™未添加の場合、エクソソーム量(CD9シグナル)は低下したが、これはEV-Save™およびin vivo用 EV-Save™を添加することにより抑制された。

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Exosome 吸着防止・凍結保護試薬

関連製品一覧

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Exosome 抽出・精製試薬

Exosome ELISA キット

Exosome マーカー抗体

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