CYP(シトクロムP450)関連化合物
CYPと薬物代謝について
CYPはヒトでは主に肝臓に存在するヘムタンパク質のファミリーであり、薬物代謝酵素としての働きを示します。酸化反応によって薬物の水溶性を向上させ、体外に排出しやすい形に代謝します。このように、酸化反応により化合物の構造を変換する代謝過程を第Ⅰ相反応と呼び、 CYPは第Ⅰ相反応の約80%に関与しているとされます。
一方で、薬物の水溶性の向上には「もともと水に溶けやすい物質を結合させる」という方法も存在します。このような元々の水溶性が高い物質としてグルクロン酸や硫酸塩などが挙げられます。これらの物質を薬物と結合させることにより(抱合)、水溶性を向上させて体外への排出を促進させます。この抱合反応はCYPなどが関わる第Ⅰ相反応の後に行われるため、第Ⅱ相反応と呼ばれます。
このほか、ABCトランスポーターなどによる細胞からの排出については、第Ⅲ相反応と呼ばれます。
CYP関連化合物
CYPは第Ⅰ相反応における最も重要な酵素であり、薬物間相互作用の多くはCYP活性の阻害・誘導に基づきます。 中でも、 MBI(不可逆的阻害) に基づくCYP阻害は重篤な副作用等を引き起こし得ることから、創薬初期段階でのスクリーニング試験において重要な評価項目の一つとなっています。
当社では、CYP阻害試験などにご利用いただける各CYP分子種の基質・代謝物・阻害剤を取り揃えています。
CYP分子種 | 基質 | コードNo. | 代謝物 | コードNo. | 阻害剤 | コードNo. | 補酵素 | コードNo. |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CYP1A2 | p-Acetophenetidine | 019-00412 | p-Acetamidophenol | 015-13942 | Furafylline | F864070 | NADPH Solution A Solution B |
451200 451220 |
CYP2A6 | Coumarin | 031-16562 | 7-Hydroxycoumarin | 081-07831 | Furafylline | F864070 | ||
CYP2B6 | Bupropion Hydrochloride | 028-17311 | Hydroxybupropion | H830675 | Ketoconazole | 116-00551 | ||
(S)-Mephenytoin | S-004 | Nirvanol | S-002 | |||||
CYP2C8 | Amodiaquine (dihydrochloride dihydrate) |
HY-B1322 | N-Desethyl amodiaquine | HY-128554 | Montelukast (sodium) | HY-13315 | ||
Paclitaxel | 163-28163 | 6α-Hydroxy Paclitaxel | H948890 | Quercetin | HY-18085 | |||
CYP2C9 | Diclofenac | HY-15036 | 4’-Hydroxydiclofenac | M-009 | Sulfaphenazole | I-001 | ||
Tolbutamide | 209-09172 | Hydroxytolbutamide | M-007 | Tienilic Acid | T438750 | |||
CYP2C19 | Mephenytoin | S-001 | 4’-Hydroxymephenytoin | M-001 | S-(+)-N-3-Benzylnirvanol | 451795 | ||
(S)-Mephenytoin | S-004 | |||||||
CYP2D6 | Bufuralol | S-005 | Hydroxybufuralol | M-008 | Quinidine | 176-00111 | ||
Debrisoquine | S-003 | 4-Hydroxydebrisoquine | M-002 | Paroxetine Hydrochloride | 168-24431 | |||
CYP2E1 | Chlorzoxazone | HY-B1462 | 6-Hydroxychlorzoxazone | M-003 | Chlormethiazole hydrochloride | HY-A0296 | ||
CYP3A4 | Nifedipine | 141-05783 | Oxidized Nifedipine | M-004 | Ketoconazole | 116-00551 | ||
Midazolam | 135-13791 | 1’-Hydroxymidazolam | 10385 | |||||
Testosterone | 206-20763 | 6β-Hydroxytestosterone | M-006 |
テストステロン, 精製品, 低ヒドロキシ体
テストステロン
テストステロンはステロイドホルモンとして知られており、CYP阻害およびCYP誘導の薬物間相互作用評価で用いられます。
「テストステロン, 精製品, 低ヒドロキシ体」は薬物動態を解析する際、代謝産物である6β-ヒドロキシテストステロンのピークが確認しやすいようにヒドロキシ体を低減した製品です。
生体内での反応
テストステロンは、CYPの分子種の一種であるCYP3A4の基質で、6β-ヒドロキシテストステロンに代謝されます。
実験例
医薬品となり得る候補化合物と共に細胞へ添加し、薬物間相互作用を評価するために使用されます。
- 医薬品の薬物動態を評価する際、CYP3Aの活性をテストステロンとミタゾラムなどの複数の基質を用いて評価する旨が厚生労働省の「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」に記載されています。
HPLC チャート比較
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HPLC 条件
カラム Wakopak® Wakosil®-Ⅱ 5C18HG, 4.6φ x 250mm 温度 40℃ 溶離液 A:水 B:アセトニトリル 流速 1.0 mL/min 検出 UV 240 nm -
溶出条件
Time (min.) A (%) B (%) 1 ~ 10 50 50 10 ~ 20 50 → 10 50 → 90 20 ~ 30 10 90
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