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QA番号:27273

Q毒物及び劇物の取り扱いについて

A

 現在、世の中には数多くの化学物質が存在しており、その数は160万種とも言われています。その中で、工業薬品、農薬、試薬などの社会経済上有用な化学物質のうち毒性(特に刺激性、腐食性など急性毒性)の強い物質が毒物及び劇物(以下「毒劇物」と略す)に指定されています。これらの物質は保健衛生上の見地から、必要な規制が行われています。
該当品目は、毒物及び劇物取締法(別表第1~第3)1)と毒物及び劇物指定令(第1条~第3条)2)に掲載され、毒性の強い順に特定毒物、毒物、劇物に分類されています。

毒 物 毒物及び劇物取締法 別表第一に掲げるもの
毒物及び劇物指定令第一条に掲げるもの
劇 物 毒物及び劇物取締法 別表第二に掲げるもの
毒物及び劇物指定令第二条に掲げるもの
特定毒物 毒物及び劇物取締法 別表第三に掲げるもの
毒物及び劇物指定令第三条に掲げるもの

ここで注意すべき点として、これらの法律に掲載されていないものは、たとえ毒性が毒劇物以上であっても毒劇物には該当しないということです。化学物質を取り扱う者は、毒劇物に該当しなくても、毒劇物以上に毒性の強い物質が存在することを忘れてはなりません。

毒劇物は、毒性の強い物質であるため、取り扱い、保管、表示、廃棄等に注意を払う必要があります。

毒劇物の取り扱いとしては、①盗難・紛失防止、②施設外への飛散、漏れ、流れ出し、しみ出し等の防止、③間違って口にするのを防ぐために、飲食物用の容器を使用しない等の措置を取る必要があります。

保管については、保管場所は、他のものと明確に区別した毒劇物専用のものとし、堅固で施錠できることが必要です。また、保管されている毒劇物の在庫量の定期的な点検及び使用量の把握等も必要です。平成30年7月の厚生労働省の通達により鍵の管理者の選任、不在時の代理人の選任、鍵の管理簿を備えることも求められるようになりました。3)

表示については、容器及び被包に、毒物の場合は「医薬用外」の文字と、赤地に白文字で「毒物」を、劇物の場合は「医薬用外」の文字と白地に赤文字で「劇物」の文字を指定された色で記載する必要があります。

毒劇物を別容器に小分けして保存する時や調製したもの(調製後も毒劇物に該当するもの)を保管する場合も同様に表示が必要であることを忘れてはなりません。また保管場所に於いても「医薬用外毒物」、「医薬用外劇物」と表示する義務があります。

廃棄については、技術上の基準に従って処理することとなっていますが、現在は、毒劇物に限らず、化学物質等の廃棄は、自ら処理できない場合が多いため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い産業廃棄物処理業者に委託するようになってきています。安易に下水道等に廃棄すると排水設備の破損、環境汚染等に繋がることがありますので注意が必要です。又、毒劇物を盗難・紛失した際は、直ちに警察に届ける必要があります。

毒劇物の事故等が発生するとその影響は計り知れません。 事故等を未然に防ぐよう、日ごろから取り扱い、保管等に注意してください。

【参考資料】
1. 毒物及び劇物取締法
2. 毒物及び劇物指定令
3. 毒物及び劇物の盗難又は紛失防止に係る留意事項について
  平成30年7月24日 薬生薬審発0724第1号