Q「労働安全衛生法」製造禁止物質と製造許可物質について
「製造禁止物質」は、労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造、輸入、譲渡、提供、又は使用することはできません。
「製造許可物質」は、労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、所轄労働基準監督署長を経由して、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
製造禁止物質(法第55条物質)
黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの※1は、製造禁止物質と呼ばれ、製造、輸入、譲渡、提供、又は使用することはできません。但し、所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長の許可を得、かつ禁止物質の製造に係る基準(特化則第47条又は石綿則第48条)を満たしていれば、製造禁止物質を試験研究用のために製造、輸入又は使用することができます。
※1
1 | 黄りんマツチ |
2 | ベンジジン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
3 | 4-アミノジフエニル及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
4 | 石綿(重量の0.1%を超えて含有) |
5 | 4-ニトロジフエニル及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
6 | ビス(クロロメチル)エーテル(重量の1%を超えて含有) |
7 | ベータ-ナフチルアミン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
8 | ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤の5%を超えるもの |
製造許可物質(法第56条物質)
ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるもの※2は、製造許可物質と呼ばれ、製造しようとする者は、所轄労働基準監督署長を経由して、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。尚、同物質は、特化則第1類物質に相当致します。また、製造等にあたっては、製造許可の基準(特化則第50条又は第50条の2)を遵守しなければなりません。
尚、同物質の小分けは、法第56条の製造行為に該当しません。※3
※2
1 | ジクロルベンジジン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
2 | アルフア-ナフチルアミン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
3 | 塩素化ビフエニル(別名PCB)(重量の1%を超えて含有) |
4 | オルト-トリジン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
5 | ジアニシジン及びその塩(重量の1%を超えて含有) |
6 | ベリリウム及びその化合物(重量の1%を超えて含有、合金は重量の3%を超えて含有) |
7 | ベンゾトリクロリド(重量の0.5%を超えて含有) |
※3:
「労働安全衛生法第五十六条の製造許可物質等の取扱いの疑義について(抜粋)(昭和五一・一・八 基収第一七六七号)」
- 労働安全衛生法第五六条の規定による製造の許可を受けるべき物質(以下「許可物質」という。)を購入販売し、又は輸入販売することは、同条に抵触しない。
- 許可物質の小分け(小分けとは、他の製造業者から購入し、又は輸入した製品で、容器に入れられたもの又は大型包装されたものを小型の容器に詰め替え、当該容器に新たにその業者の証紙を貼付して荷姿を整える行為)は、同条の製造に該当しない。
製造許可物質は、労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物ですので、取り扱いには十分に注意をするようお願いいたします。
【参考資料】
労働安全衛生法(抜粋)