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QA番号:13392

Q試薬の容器について

A

試薬の容器には、いろいろな形状や大きさ、色、材質のものが用いられています。
試薬の品質の変化は、おもに外気との接触や異物の混入によって起こります。試薬の容器は、保管中に品質が変化しない様に、また、安全性が保たれる様に、試薬の種類・性質に対応したものを使用しています。

ガラス瓶
一般的な液体試薬において、多く使用
光に弱い試薬が多く、瓶は遮光のために褐色瓶に入れる場合が多い
材質 硬質ガラス
長所 気密性が高く、化学的に安定で侵されにくい
内容物が透視できる
短所 重く割れやすい、アルカリに弱い

 

ポリ瓶
一般的な粉末試薬において、多く使用
材質 ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン
長所 ガラスに比べて軽量で破損しにくい
短所 透視性や硬度、気密性に劣る
成型時に用いる添加剤の混入が問題視されることがある

 

アンプル瓶
少量の液体試薬で、反応性や揮発性の高い化合物に使用
材質 ガラス
長所 封入容器
発煙性の強いもの、空気に敏感なもの、悪臭が外部に漏れる恐れのある液体、標準液などの保存中に濃度が変わることが許されないものなどに用いられる
短所 作業性が悪い開封しにくい
フタが無いので使用後、保管の際は、別容器への移し換えが必要

 

バイアル瓶
少量の液体又は粉体試薬で、こまめに使用する試薬に使用
材質 キャップの中心部から内容物を注射器で取り出せる仕組みの瓶(セプタム※キャップ)
スクリューキャップ付きガラス容器のものもある
長所 開け閉めが簡単で、作業性がよい
セプタムは、空気に敏感で、少量をシリンジ等で取り出して使用する液体試薬に適用
短所 開封後の気密性は期待できない
セプタムタイプでも気密性は余り高くない

※セプタム:柔らかな特殊ゴムで出来たカバーの一種
 ビンの口をセプタムで塞ぐことにより、内部の試薬の変化を少なくする。

一斗缶
大入りの有機溶媒等の容器として使用
材質 スチール
長所 気密性が良く、容器からの溶出が少ない
軽くて、丈夫
短所 酸、アルカリ等、金属に反応する試薬は使用できない
古くなると外側が錆びることがある
へこみ易い
使用する際に注ぎ難い

 

ポリタンク
大入りの酸、アルカリ等反応性の高い液体試薬に使用
材質 ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂等
長所 耐薬品性に優れていて、軽く、変形しない
短所 使用する際に注ぎ難い
成型時に用いる添加剤の混入が問題視されることがある

 

キット
生化学的な反応実験などの複数の試薬を同時に必要とする場合に使用
長所 試薬の調液等を自分でする必要が無いので、調整ミスの心配が少ない
無駄な試薬を廃棄することも無く、時間を有効に使うことができる
使用説明書が付いているので、初心者の方でも安心して使用可能
短所 自分で使いやすいように工夫して使用する事が難しい
有効期限が設定されている場合が多く、長期間の保存が出来ない

 

容器の気密性については、JISでは「密閉容器」「気密容器」「密封容器」の3種類に分類され、気密性は
密閉容器 < 気密容器 < 密封容器
となります。

  • 密閉容器
    ごみまたは固形の異物が混入することを防ぎ、内容物が損失しないように保護することができる容器のこと
    (例)紙箱、紙袋、ポリエチレン袋など
  • 気密容器
    液体もしくは固体の異物あるいは水分が浸入することを防ぎ、内容物が損失、風解、潮解または蒸発しないように保護することができる容器のこと
    (例)ガラス瓶、ポリエチレン瓶、缶など
  • 密封容器
    気体が侵入するおそれのない容器のこと
    (例)アンプル瓶、バイアル瓶(開封前)など