DMPS-Pt/AC-CP DMPS-Pt/AC-CP

DMPS-Pt/AC-CPは、活性炭（AC）とリン酸カルシウム（CP）に担持されたジメチルポリシラン（DMPS）修飾白金触媒であり、フロー反応用触媒としてニトロ基のアミンへの還元やオレフィンの選択的還元を進行させます。

• 二次担体として活性炭 とリン酸カルシウムを用いたジメチルポリシラン修飾白金触媒。
• ニトロ基をアミンへと還元することが可能であり、クロロ基やベンジル基など還元されやすい官能基が存在していても、ニトロ基のみを還元。
• オレフィンの選択的還元にも有効。

フローシステムを用いたニトロ基の選択的還元 ¹⁾

金属と二次担体の検討

2-(p-クロロフェニル)ニトロメタン1の還元において、 DMPS-Pd/AC-CPやPd/Cのパラジウム触媒ではクロロ基まで還元されたアミン2aが得られますが(Table 1, entries 1 and 2)、 DMPS-Pt/AC-CPを用いた場合高収率でニトロ基のみが還元されたアミン2bが得られました(Table 1, entry 3)。また、DMPS-Pt/AC-CPとは担体が異なる白金触媒では、DMPS-Pt/AC-CPより高い収率でアミン2bは得られませんでした(Table 1, entries 4 and 5)。

ベンジルエーテル存在下でのニトロ基の還元

ベンジルエーテルを有するニトロメタン3の還元について、触媒としてDMPS-Pd/AC-CPを用いた場合ベンジルエーテルまで還元されたアミン4aが得られますが、DMPS-Pt/AC-CPを用いた場合高収率でニトロ基のみが還元されたアミン4bが得られました(Figure 1)。

baclofen前駆体の合成

baclofen 8の前駆体7の合成工程(官能基選択的還元と続く環化反応)にDMPS-Pt/AC-CPを応用しました(Figure 2)。69時間で前駆体7が収率93-96％で得られました。

フローシステムを用いたオレフィンの還元²⁾

オレフィンの選択的還元

(R)-カルボン9の還元において、最適化条件下でDMPS-Pt/AC-CPを触媒として用いると、過剰に酸化された飽和ケトン11は得られず、目的の不飽和ケトン10が高収率で得られました(Figure 3)。

(S)-phellandreneの合成

(S)-phellandrene 12の合成の第1工程(カルボン9の選択的還元)にDMPS-Pt/AC-CPを応用しました(Figure 4)。得られる還元体をヒドラゾン化、続くShapiro反応を進行させることによって、 (S)-phellandrene 12が収率80％で得られました。

参考文献

1. Ishitani, H., Furiya, Y., Kobayashi, S. : Chem. Asian J.,15, 1688 (2020).
2. Miller, S. J., Ishitani, H., Furiya, Y., Kobayashi, S. : Org. Process Res. Dev., 25, 192 (2021).