dsRNA ELISAキット
mRNAワクチンやmRNA治療薬をはじめとするmRNA医薬品の原薬製造過程では、in vitro転写反応中に副生成物としてdsRNA (二本鎖RNA、double stranded RNA) が産生されます。
dsRNAは免疫原性を示すことから、mRNA医薬品の品質管理項目の1つとして重要視されており、USP (米国薬局方) には検査対象項目として掲載されています。
本製品はdsRNAを検出するためのELISAキットです。核酸の修飾や鎖長の影響を受けにくく、高感度に測定が可能です。
特長

- 核酸修飾 (未修飾のUまたはm1ψ)、鎖長、マトリックスの影響を受けにくい
- 高感度検出が可能
- 抗体や発色試薬だけでなく、標準品や緩衝液、洗浄液もキットに付属
性能
| 検量線範囲 |
|
|---|---|
| 測定対象 | dsRNA (二本鎖RNA) |
| 測定対象サンプル | mRNA溶液 |
| 測定時間 | 約4.5時間 |
| 検出法 | 発色法 (主波長 450 nm / 副波長 620 nm) |
検量線例
測定原理
本製品は、サンドイッチELISAでdsRNAの検出を行うキットです。
測定プレートの各ウェルには抗dsRNA抗体 clone:J2が固相化されており、このウェルに標準溶液またはサンプルを加えます。
その後、ビオチン標識抗dsRNA抗体 clone:J2とペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジンを反応させます。
さらに、ウェルに残ったペルオキシダーゼをTMB溶液と反応させて、発色法による測定でdsRNAを測定することができます。
検出抗体 ビオチン化 clone:J2

キット構成 ・ 測定プロトコル
キット構成
| 構 成 品 | 容 量 |
|---|---|
| 抗体固相化プレート | 96 wells (8×12) /1枚 |
| UTP dsRNA標準品 | 50 μL/本 |
| m1ψ dsRNA標準品 | 50 μL/本 |
| サンプル反応用緩衝液 | 25 mL/1本 |
| 抗体反応用緩衝液 | 25 mL/1本 |
| ビオチン結合抗体 | 1本 |
| ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン溶液 | 120 μL/1本 |
| TMB溶液 | 12 mL/1本 |
| 反応停止液 | 12 mL/1本 |
| 洗浄液 (10×) | 100 mL/1本 |
| プレートシール | 4枚 |
測定プロトコル
- Step 01
- 試薬の調製
キット構成部材の標準品、洗浄液を希釈調製します。 - Step 02
- サンプルの調製
任意のサンプルを希釈調製します。
UTP mRNAサンプルはmRNA 100 ng/mL以下、m1ψ mRNAサンプルはmRNA 500 ng/mL以下となるように濃度調整を行うことを推奨します。また、検量線範囲に収まるようにサンプル濃度を調整してください。 - Step 03
- 反応操作
① 抗体固相化プレート 3回洗浄 ② サンプルまたは標準溶液 100 μL添加
500 rpmで攪拌、20℃~25℃、2時間反応
*ビオチン結合抗体からビオチン結合抗体溶液の調製
(精製水120 μL で溶解後、室温化した抗体反応用緩衝液で100 倍に希釈してください。)③ 抗体固相化プレート 3回洗浄 ④ ビオチン結合抗体溶液 100 μL添加
500 rpmで攪拌、20℃~25℃、1時間反応⑤ 抗体固相化プレート 3回洗浄 ⑥ ペルオキシダーゼ結合
ストレプトアビジン溶液100 μL添加
500 rpmで攪拌、20℃~25℃、1時間反応⑦ 抗体固相化プレート 3回洗浄 ⑧ TMB溶液 100 μL添加
600 rpmで攪拌、10秒間 × 3回 攪拌後静置、20℃~25℃、30分反応⑨ 反応停止液 100 μL添加
600 rpmで攪拌、10秒間 × 3回 - Step 04
- 吸光度測定
プレートリーダーで主波長450 nm、副波長620 nmを測定します。
アプリケーションデータ
修飾核酸、鎖長の影響
固相 : K1 検出: K2


固相 : J2 検出: K2


固相 : J2 検出: J2


本製品の抗体組み合わせの検出系 (固相:J2、検出:ビオチン化J2) と、その他のdsRNAを認識する抗体クローンの組み合わせについて、それぞれUTP, m1ψ修飾のdsRNA標準品を使用し、さまざまな鎖長の濃度1 ng/mLのdsRNAを比較測定した。
その結果、本製品の検出系は、m1ψ修飾の有無や鎖長に関わらず、最も検出濃度の変動が少なく測定できた。
mRNA溶液中のdsRNAの測定


本製品を使用して、Cap構造を有する非修飾mRNAおよびm1ψ修飾mRNA溶液中にdsRNAを添加し、希釈後検出を行った。
その結果、非修飾mRNAの場合は、20 ng/mLから100 ng/mLの濃度範囲において、m1ψ修飾のmRNAの場合は、50 ng/mLから500 ng/mLの濃度範囲において、測定値がmRNAサンプル濃度に比例して、直線性を示すことを確認した。
添加回収試験
UTP mRNA
| mRNA (ng/mL) | dsRNA添加量 (pg/mL) | dsRNA測定値 (pg/mL) | 回収率 (%) |
|---|---|---|---|
| 200 | 500 | 637 | 92 |
| 100 | 285 | 109 | |
| 20 | 197 | 104 | |
| 0 | 176 | - | |
| 50 | 500 | 550 | 101 |
| 100 | 140 | 96.5 | |
| 20 | 64 | 100 | |
| 0 | 44 | - |
m1ψ mRNA
| mRNA (ng/mL) | dsRNA添加量 (pg/mL) | dsRNA測定値 (pg/mL) | 回収率 (%) |
|---|---|---|---|
| 200 | 500 | 638 | 94.1 |
| 100 | 280 | 113 | |
| 20 | 186 | 93 | |
| 0 | 167 | - | |
| 50 | 500 | 521 | 95.9 |
| 100 | 145 | 104 | |
| 20 | 60 | 95.7 | |
| 0 | 41.1 | - |
本製品を使用して、mRNA溶液中でdsRNAの添加回収試験を行った。
その結果、50 ng/mLおよび200 ng/mLにおいて、高い添加回収効率を示した。
IVT反応後のmRNA溶液中dsRNAの測定


他社製品 in vitro transcription (IVT) キットAおよびBを使用して、長鎖長と短鎖長の2種類のmRNAを合成した。
その後、本製品を使用してmRNA中に含まれるdsRNAの検出を行った。
その結果、非修飾mRNAの場合は、25 ng/mLから100 ng/mLの濃度範囲において、m1ψ修飾のmRNAの場合は、125 ng/mLから500 ng/mLの濃度範囲において、測定値がmRNAサンプル濃度に比例して、直線性を示すことを確認した。
マトリックスの影響

本製品と他社製品について、合成反応前のIVT溶液にdsRNAを添加した時の添加回収率を比較した。
本製品は他社製品よりもマトリックスの影響が無く、希釈無しでもdsRNAを測定できた。
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