遊離脂肪酸(NEFA)測定キット

遊離脂肪酸とは、脂質(脂肪)を構成する脂肪酸のうち、体内でエネルギー源として利用される遊離状態(グリセリンとエステル結合していない)のものを指します。血清中の遊離脂肪酸は、総脂肪酸の4-5%を占めており、末梢組織の重要なエネルギー源になっています。

ラボアッセイ NEFA (FFA)はACS・ACOD法を用いて、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中の遊離脂肪酸(NEFA)を測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中の遊離脂肪酸を測定することができます。

遊離脂肪酸(NEFA)とは?

遊離脂肪酸(NEFA: Non-esterified Fatty AcidまたはFFA: Free Fatty Acid)とは、脂質(脂肪)を構成する脂肪酸のうち、体内でエネルギー源として利用される遊離状態(グリセリンとエステル結合していない)のものを指します。通常、脂肪酸はグリセリンと結合して中性脂肪(トリグリセリド、トリアシルグリセロール)として蓄積されますが、例えばエネルギーが不足する際には中性脂肪から脂肪酸に分解されます(図1)。この脂肪酸は水に溶けにくいため、アルブミンと結合した状態で血液中に存在しています。

図1 中性脂肪(トリグリセリド)の分解と脂肪酸の生成

遊離脂肪酸は、細胞膜の構成成分やエネルギー代謝に重要な役割を果たしています(図2)。筋肉や肝臓などの組織では、遊離脂肪酸がミトコンドリアでβ酸化されてアセチルCoAとなり、クエン酸回路を通じてエネルギーが産生されます。しかし、血液中の過剰な遊離脂肪酸は、末梢のインスリン抵抗性をもたらします。また、肝臓における取り込みが増大することで、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD: non-alcoholic fatty liver disease)を引き起こし、血糖値が上昇することが知られています1)

図2 脂肪とエネルギーの産生2)

遊離脂肪酸の測定方法

血清中の遊離脂肪酸は、総脂肪酸の4-5%を占めており、末梢組織の重要なエネルギー源になっています3)
ラボアッセイ NEFA (FFA)は、トリンダー試薬を利用した酵素比色法(ACS・ACOD法)を採用しています。測定キットに含まれる酵素のはたらきにより、試料中の遊離脂肪酸をマイクロプレートで簡便に測定することができます。

ACS・ACOD法の原理

試料中の遊離脂肪酸はコエンザイムA(CoA)とアデノシン-5’-三リン酸二ナトリウム(ATP)の存在下で、アシル-CoAシンセターゼ(ACS)の作用により、アシル-CoA、AMP、およびピロリン酸(PPi)を生成します。生成したアシル-CoAは、アシル-CoAオキシダーゼ(ACOD)によって酸化され、同時に2,3-trans-エノイル-CoAと過酸化水素を生成します。生じた過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の作用により4-アミノアンチピリンとMEHAを酸化縮合し、青紫色色素を生成します。この青紫色色素の吸光度を測定し、試料中の遊離脂肪酸濃度を求めます。

ACS・ACOD法を用いた遊離脂肪酸の測定原理
図3 ACS・ACOD法を用いた遊離脂肪酸の測定原理

ラボアッセイ NEFA (FFA)

ラボアッセイ NEFA (FFA)はACS・ACOD法を用いて、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中の遊離脂肪酸(NEFA)を測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中の遊離脂肪酸を測定することができます。

※ ラボアッセイ シリーズは研究用試薬です。診断用に使用することはできません。

キット性能

動物種 ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ
検体 血清、血漿、培養上清
検量線範囲 0.4-1.97 mEq/L
※オレイン酸1 mEq=1 mmol
検体量 4 μL
測定時間 約20分
測定波長 550 nm

参考文献

  1. 石川耕, 横手幸太郎: 日本内科学会雑誌, 102(10), 2691(2013).
    脂肪組織機能異常とインスリン抵抗性
  2. 兵庫県立大学 「脂肪の代謝とその調節」: https://www.sci.u-hyogo.ac.jp/life/molbio/KOKAI.pdf (2023年4月25日閲覧)
  3. 奥村伸生, 戸塚実, 本田孝行, 矢冨裕 編: 「臨床検査法提要 第35版」, (金原出版) (2010).

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