2019年度ノーベル化学賞受賞

リチウムイオン電池研究関連製品のご紹介

2019年度のノーベル化学賞が、旭化成の吉野彰名誉フェロー、米テキサス大オースティン校のジョン・グッドイナフ (John B. Goodenough) 教授、米ニューヨーク州立大ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム (Michael S. Whittingham) 卓越教授に贈られました。

「リチウムイオン電池」に関連する製品をご紹介いたします。

インターカレーション物質を使ったリチウム電池の発明:スタンリー・ウィッティンガム

スタンリー・ウィッティンガムは正極材料として二硫化チタンを使い、負極にリチウム金属を使うことで、繰り返し充放電可能な新しい電池を開発しました。二硫化チタンは層状の化合物で、リチウムイオンが出入りしても形が壊れにくく、繰り返し充放電が可能な物質です。この ”層状化合物にイオンが出入りする” という考え方は、インターカレーションと呼ばれており、その後の電池材料で広く使われている極めて重要な考え方になりました。しかしチタンの硫化物は重く、水などに不安定で、より性能の高い材料が求められました。

コバルト酸リチウムをリチウム電池に:ジョン・グッドイナフ

1980年、ジョン・グッドイナフは、コバルト酸リチウムという酸化物がリチウムイオン電池の正極材料に適していることを報告します。
これは酸素並に強い酸化力を有しており、高い電圧が見込めるうえ、充放電を繰り返しても安定な、とても「使える」材料です。グッドイナフは元々物理学者で、酸化物内部の電子の性質に関する理論的な研究で世界的に有名でした。その研究の中で、彼はニッケル酸リチウムという、よく似た化合物を1958年に報告しています。このリチウムを含んだ酸化物でリチウムイオン電池を作製したグッドイナフと、そこに留学していた水島公一らは、コバルト酸リチウムがリチウムを極めて効率よく出し入れすることを見出し、報告しました。これが今でも利用されるコバルト酸リチウムを使ったリチウム電池となりました。

このリチウム電池は、それまでのマンガン電池や鉛蓄電池よりも小さくてパワフルという特徴がありましたが、充放電を繰り返すとリチウムの表面に針状の金属が成長し、正極まで到達して爆発する、という問題がありました。

炭素負極の開発とリチウムイオン電池の完成:吉野彰

当時旭化成に所属していた吉野彰は、金属リチウムの代わりに、ポリアセチレン (ノーベル賞を受賞した白川英樹氏が発見) にリチウムイオンを取り込んでやればいい、ということを見いだし、さらに電極の間にポリエチレン膜を挟むことで、安定な電池を作りました。この電池では、リチウムは金属化しないので、リチウム ”イオン” 電池と名付けられました。その後、ポリアセチレンの代わりにグラファイトなどのカーボン材料が用いられるようになります。


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