正極材料

リチウムイオン電池 (LIB) の正極は充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することで電極としてはたらきます。LIBの正極はリチウムイオンの吸蔵、放出に直接関与する活物質、電極材料を集電箔に結着させるバインダー、電極内の導電性を高める導電助剤から構成され、これらの材料を混合したスラリーを集電箔に塗布し、乾燥させることで作成します。正極の電位が高いほど電池を高容量化することができるため、高電位かつ安全性の高い正極材料の開発が行われています。

正極活物質

正極活物質としてコバルト酸リチウムが主に使用されています。コバルト酸リチウムは層状岩塩型構造を有し、その層間にリチウムイオンが挿入、脱挿入されることで正極活物質として働きます。コバルト酸リチウムの理論容量は274 mAh/gですが、結晶構造からすべてのリチウムが脱離すると構造が保持できなくなり充放電を繰り返せなくなるため1)、実際には約140 mAh/gの範囲で使用されています。

また、コバルトはレアメタルであり、低コスト化やさらなる高容量化を図るため、コバルトをニッケルやマンガンなどの遷移元素で置換した活物質も開発されています。特に、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2はコバルト酸リチウムと同じ構造を有し、同程度の容量を保ちながら高い結晶安定性を実現しています2)
この他、エネルギー密度はやや小さくなるものの高い安全性を持つリン酸鉄リチウムも開発されており3)、その安全性から自動車用電極などに利用されています。

バインダー

バインダーは活物質、導電助剤を集電箔に結着させるために用いられます。バインダーは電気化学的に安定であること、電解液に溶解しないことに加え、正極内の強い酸化的環境に耐えうる化学的安定性など、多くの条件を満たす必要があります。代表的なバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンのような溶剤系バインダーがあります。

導電助剤

導電助剤は電極内の導電性を高めるために用いられます。正極活物質は多くの場合導電性が低いため、そのままでは効率的に電力を取り出すことができません。そのため、電極内部の導電性を高め、内部抵抗を下げるために導電助剤が利用されます。主な導電助剤としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの炭素系材料があります。

参考文献

  1. Chen, Z., Lu, Z., and Dahn, J. R.:J. Electrochem. Soc., 149, A1604 (2002).
  2. Yabuuchi, N. and Ohzuku, T.:J. Power Sources, 171, 119 (2003).
  3. Kang, B. and Ceder, G.:Nature, 190, 458 (2009).
  4. 金村 聖志 他:「リチウムイオン電池の部材開発と用途別応用《普及版》」 (シーエムシー出版(株)) (2018).

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