CUBIC Trial Kit
CUBIC Trial Kitは、透明化技術であるCUBIC(Clear, Unobstructed Brain/Body Imaging Cocktails and Computational analysis)で使用する試薬のキットです。
本法は上田泰己先生、洲崎悦生先生らによって開発されました。
キットに含まれる溶液に組織を浸漬するだけでマウス脳・全組織、霊長類の全脳、甲殻類の全組織の透明化および屈折率調整が可能です。
本法は病理学的アプローチや1細胞レベルでの観察への応用が期待されています。
CUBIC 引用・使用文献リスト 100報以上掲載!
CUBIC特長
- 操作が簡単(溶液に浸漬するだけ)
- 臓器を丸ごと透明化
- マウス全脳を2週間で透明化可能
透明化可能組織
マウス脳・全組織、霊長類の全脳、魚類・甲殻類・甲虫などの全組織、骨 (脱灰処理が必要)
CUBIC Trial Kit キット構成
- ScaleCUBIC-1 Solution 125 mL x 2本
- ScaleCUBIC-2 Solution 125 mL x 2本
- Mounting Solution-1 40 mL x 1本
- Mounting Solution-2 40 mL x 1本
透明化に必要なもの
試薬
- CUBIC Trial Kit
- パラホルムアルデヒド (製品コード160-16061)
- 1×PBS (製品コード164-25511)
器具
- 5 mL/15 mL/30 mL/50 mL コニカルチューブ (サンプルに合わせて使用)
- シーソーシェーカー
- CUBIC透明化標本向け蛍光顕微鏡※と推奨対物レンズ※※
- 共焦点顕微鏡、2光子顕微鏡、ライトシート顕微鏡
- ※屈折率(RI=1.49)に合った対物レンズをご用意ください。
- データ取得前にお手持ちの顕微鏡メーカーに確認することを推奨いたします。
CUBICプロトコル
組織透明化プロトコル例(臓器丸ごと)
組織透明化プロトコルにおいてはサンプルサイズにより、使用する試薬量、処理時間が変わるので注意が必要です。また、サンプルはできるかぎり灌流固定後に摘出・再固定してください。
各工程使用試薬量の目安は 12 - 15 mL です。洗浄は 5 - 10 倍量を目安に使用ください。
組織透明化プロトコル例(2mmスライス切片)
各工程使用試薬量の目安は 2.5 mL です。洗浄は 5 - 10 倍量を目安に使用ください。
蛍光タンパク質発現組織適応プロトコル例
各工程使用試薬量の目安は 12 - 15 mL です。洗浄は 5 - 10 倍量を目安に使用ください。
*下記データでは、【PI 5 µg/mL in PBS (NaCl 1.5 M), 0.05 % NaN3】を使用しています。
免疫組織染色プロトコル例
脳組織ブロックの免疫染色例です。詳細なプロトコルは参考文献(1)をご覧ください。
* それぞれ下記の溶液で抗体を希釈しています。
1次抗体:0.1% (v/v) Triton X-100, 0.5% (w/v) bovine serum albumin, 0.01% (w/v) sodium azide in PBS
2次抗体:0.1% (v/v) Triton X-100, 0.1% (w/v) bovine serum albumin, 0.01% (w/v) sodium azide in PBS
使用抗体
【1次抗体】
Goat anti-Copeptin (1: 100)
Rabbit anti-VIP (1: 300)
【2次抗体】
Donkey anti-goat Alexa 546 (1: 750)
Donkey anti-rabbit Alexa 647 (1: 750)
図4. CUBIC処理した脳組織ブロックを3次元免疫染色し単一光子顕微鏡で観察
アプリケーション
病理学的手法との組み合わせ例
Data by S. Nojima.et al. : Scientific Reports, 7, 9269 (2017) / Adapted.
魚類透明化例
データ提供元:東京海洋大学 海洋生物資源学部門 二見邦彦先生
甲殻類(カニ・ダンゴムシ)透明化例
データ提供元:浜松医科大学 医学分光応用寄附研究室 紺野在先生、岡崎茂俊先生
甲虫(カナブン・カブトムシ・オオクワガタ)透明化例
データ提供元:東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 黒田真也先生
甲虫の透明化は、固定、漂白、透明化の工程が必要になります。
詳しいプロトコルはこちらを参照してください。
マウス全脳血管ネットワークの可視化例
データ提供元:Miyawaki, T. et al. : Nat Commun., 27, 11(2020).
参考文献
- E. A. Susaki. et al. : Cell, 157(3), 726 (2014).
- K. Tainaka. et al. : Cell, 159(4), 911 (2014).
- E. A. Susaki. et al. : Nature Protocols, 10, 1709 (2015).
- S. Nojima. et al. : Scientific Reports, 7, 9269 (2017).
- S. Ohnuma. et al.: Fish Pathology, 52(2), 96(2017).
- A. Konno and S. Okazaki.: Zoological Letters, 4:13(2018).
- M Kuroda and S Kuroda (2020). Whole-body clearing of beetles by successive treatment of hydrogen peroxide and CUBIC reagents.
- Miyawaki, T. et al. : Nat Commun., 27, 11(2020).
FAQ
手法について
- 透明化中にサンプルは膨張しますか。
- 透明化工程中に一時的に膨張しますが、最終の透明化工程でほぼオリジナルサイズに戻ります。細胞の位置関係は保たれると報告されています。
- 透明化工程でストップポイントはありますか。
- 脱脂後の洗浄の工程で一時中断(3日~1週間)することが可能です。ScaleCUBIC-1 Solutionへの浸漬→PBSでの洗浄のあとに、0.01(w/v)% アジ化ナトリウムを添加した PBS(4℃)にサンプルを移して保管してください。
この際、一時的に透明化能が失われますが、再開することで再度透明化します。
他、OTCコンパウンドに包埋し、-80℃下で保管することも可能です。
- 透明化後のサンプルの保管はどうすればよいですか。
- ScaleCUBIC-2 Solution中でパラフィルム等で乾燥を防いで常温、遮光保管してください。
観察について
- 蛍光タンパク質のシグナルはどの程度保持されますか。
- 長くても1か月以内です。それまでに蛍光観察されることを推奨します。なお、透明能は保持されます。
- どのような観察容器を使用すればよいですか。
- 組織サンプルより少し大きい径のディッシュや、サンプルの厚みに合わせたSee Through Chamber をご使用ください。
- どのような顕微鏡を使用すればよいですか。
- 共焦点顕微鏡、二光子顕微鏡、ライトシート顕微鏡をご使用ください。また、Mounting Solutionの屈折率(RI=1.49)に合った対物レンズをご使用ください。参考情報としてEvident社製対物レンズ一覧を掲載しています。もしくは、お手持ちの顕微鏡メーカーへお尋ねください。
製品一覧
- 項目をすべて開く
- 項目をすべて閉じる
- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
- 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。