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バソプレシン ELISAキットワコー Vasopressin ELISA Kit Wako

免疫化学用
for Immunochemistry
製造元 :
富士フイルム和光純薬(株)
保存条件 :
冷蔵 (氷冷輸送)
適用法令 :
特化則第3類 安衛法57条・有害物表示対象物質 労57-2 優先評価物質
GHS :
  • ラベル
SDS
比較
製品コード
容量
価格
在庫
販売元
291-97301
JAN
4548995105226
96回用
希望納入価格
98,000 円

20以上

ドキュメント

SDS
製品規格書
添付文書
検査成績書

キットコンポーネント

96回用

抗体固相化プレート 1プレート
バソプレシン標準品 (凍結乾燥品) 2本
緩衝液 60 mL
ビオチン結合バソプレシン (凍結乾燥品) 2本
ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン溶液 100 μL
発光試薬1 6 mL
発光試薬2 6 mL
洗浄液 (10x) 100 mL
検体前処理液1 10 mL
検体前処理液2 5 mL
検体枚処理液3 15 mL
プレートシール 4枚

製品概要

バソプレシンは9アミノ酸から構成されるペプチドホルモンです。脳の視床下部で産生され、下垂体後葉から血液中に放出されます。古くから抗利尿ホルモンとして知られていますが、近年、バソプレシンやバソプレシン受容体(V1a/V1b)が脳にも存在することが明らかとなり、神経伝達物質としての役割にも注目が集まっています。これまでにストレス、社会行動、学習などに関与することが報告されており、うつ病、統合失調症、摂食障害などの精神疾患との関連も指摘されています。従来のバソプレシン測定ではラジオイムノアッセイが広く用いられていましたが、放射性同位体(RI)を必要とするため、測定には特殊な設備が必要でした。ELISAキットも市販されていますが、必要検体量が多いことや乳び検体では異常高値を示し、煩雑な前処理が必要などの課題があります。

バソプレシン ELISAキットワコーは、検体中の(Arg8)-バソプレシンを定量できるELISAキットです。本製品は、従来の測定キットよりも必要検体量が少なく、かつ高感度で測定することが可能です。またこれまで煩雑な前処理が必要であった乳び検体に対しても、簡便な前処理で正確な測定を行うことができます。

特長

  • 簡便な前処理
    前処理はキット添付の前処理液を添加し、攪拌、遠心分離するだけ
  • 少量検体で測定可能
    最低必要検体量は50 μL (n=2)
  • 高感度測定
    検量線下限値は1.00 pg/mL
  • 乳びの影響を受けづらい
    乳び検体でも異常高値を示さずに測定可能
  • 放射性同位体(RI)を使用していない
    RI実験の特殊な設備は不要

[注意事項]
本製品は高感度な競合法を採用しているため、プレートシェーカーおよび発光測定用プレートリーダーが必要となります。

キット性能

検量線範囲 1.00~2,000 pg/mL
測定対象 (Arg8)-バソプレシン
測定対象検体 ヒト 唾液 / 尿 / 血清 / 血漿(EDTA)
マウス 血清 / 血漿(EDTA)
ラット 血清 / 血漿(EDTA)
必要検体量 50 μL (n=2)
測定時間 約2.5時間
検出法 発光系 (発光測定用プレートリーダーが必要)

検量線例

検量線例

測定原理

本製品は競合法を原理としており、検体由来のバソプレシンが多いほど発光強度は減少します。

測定原理
  1. 測定プレートの各ウェルにはあらかじめ抗バソプレシン, ウサギポリクローナル抗体-抗ウサギ二次抗体が固相化されています。
  2. プレートのウェルにビオチン結合バソプレシン溶液と標準溶液もしくは前処理済検体を入れて競合反応させます。
  3. ビオチンとHRP結合ストレプトアビジンを反応させます。
  4. HRP用の発光基質を添加します。
  5. ウェル中のHRP活性(発光強度)を測定することで検体中のバソプレシン濃度を測定します。

プロトコル

以下の動画では、バソプレシン ELISAキットワコーのプロトコルと実験のコツをご紹介しております。

【プロトコル】 バソプレシン ELISAキットワコー
(YouTube 4:58)

データ

従来品との相関

本製品および他社製品を用いて、ヒト唾液、尿、血清中のバソプレシンを測定し、その測定値の相関を確認した。

ヒト唾液
ヒト尿
ヒト血清

[結果]
本製品および他社製品の測定値に高い相関が見られた。

乳びの影響

本製品および他社製品を用いて、ヒト血清サンプルのバソプレシンを測定し、製品間の相関を確認した。なお他社製品では乳び検体において異常高値を示し、検量線範囲外となったため、メーカーの推奨する前処理方法を用いて、再度測定を実施した。測定値の相関は、乳び検体(前処理済み)を含む全検体もしくは乳び検体のみを除外した場合で行った。

全検体
乳び検体を
除外
乳び検体除外
検体 測定値 (pg/mL) 備考
本製品 他社製品E
1 51 292
2 114 494
3 158 1,086
4 170 1,065
5 0.245* 208
6 48 3,874 乳び検体++ (前処理実施)
7 156 5,722 乳び検体+++ (前処理実施)
8 204 4,177 乳び検体+++ (前処理実施)
9 66 3,132 乳び検体++ (前処理実施)
10 67 3,280 乳び検体++ (前処理実施)
* 参考値

[結果]
乳び検体において他社製品では異常高値を示し、前処理を実施しても測定値が高くなる傾向があった。なお、乳び検体を除外した場合において、本製品と他社製品には測定値に高い相関関係が見られた。

添加回収試験

ヒト

添加量
(pg/mL)
測定値
(pg/mL)
回収量
(pg/mL)
回収率
(%)
唾液検体 0 18.4 - -
10 28.9 10.5 105
50 64.8 46.4 92.8
100 110 91.6 91.6
500 530 512 102
平均 97.9
尿検体 0 4.00 - -
10 13.4 9.40 94.0
50 48.8 44.8 89.6
100 94.4 90.4 90.4
500 526 522 104
平均 94.5
血清検体 0 43.0 - -
10 52.1 9.10 91.0
50 88.6 45.6 91.2
100 136 93.0 93.0
500 558 515 103
平均 94.6
血漿検体
(EDTA)
0 34.2 - -
10 44.3 10.1 101
50 84.0 49.8 99.6
100 133 98.8 98.8
500 588 554 111
平均 103

マウス

添加量
(pg/mL)
測定値
(pg/mL)
回収量
(pg/mL)
回収率
(%)
血清検体 0 43.3 - -
10 53.1 9.80 98.0
50 87.9 44.6 89.2
100 137 93.7 93.7
500 601 558 112
平均 98.2
血漿検体
(EDTA)
0 11.6 - -
10 20.8 9.20 92.0
50 54.4 42.8 85.6
100 100 88.4 88.4
500 564 552 110
平均 94.0

ラット

添加量
(pg/mL)
測定値
(pg/mL)
回収量
(pg/mL)
回収率
(%)
血清検体 0 4.52 - -
10 14.5 9.98 99.8
50 52.7 48.2 96.4
100 93.7 89.2 89.2
500 572 567 113
平均 99.6
血漿検体
(EDTA)
0 18.0 - -
10 27.8 9.80 98.0
50 65.0 47.0 94.0
100 112 94.0 94.0
500 520 502 100
平均 96.5

希釈直線性試験

(1) ヒト

唾液
尿
血清
血漿 (EDTA)

(2) マウス

血清
血漿 (EDTA)

(3) ラット

血清
血漿 (EDTA)

アプリケーションデータ

ヒト検体の測定

本製品を用いて、ヒトの唾液、尿、血清中のバソプレシンを測定した。

ヒト唾液
ヒト尿
ヒト血清

FAQ

検体について

測定可能な検体は何ですか。
ヒト唾液 / 尿 / 血清 / 血漿、マウス血清 / 血漿、ラット血清 / 血漿で測定可能なことを確認しています。
必要な検体量はどのくらいですか。
n=2の最低必要検体量は50 μLです。
検体の保存はどのようにすればよいですか。
検体を長期保存する場合は、検体にプロテアーゼ阻害剤である100 KIU/mL アプロチニン(例: 製品コード 018-18111)と防腐剤である1/750 量(v/v) Proclin™950 を添加し、-80℃以下での凍結保存を推奨します。なお、繰り返しの凍結融解は避けて下さい。また凍結した検体は測定する直前に解凍し、充分に攪拌して下さい。
血漿をサンプルとする時の抗凝固剤は何を使用すれば良いですか。
当社では抗凝固剤としてEDTAを用いた血漿で、測定可能なことを確認しています。へパリン、くえん酸血漿での測定実績はございません。

前処理について

前処理で注意すべきポイントはありますか。
検体前処理液3に含まれるゲルは攪拌後時間が経過すると沈降するため、時々攪拌を加え、沈降に注意しながら添加してください。ゲルが十分に懸濁できておらず、添加するゲル量が不足している場合、反応阻害物質の除去不良のため異常値になる(B0のRLU<検体のRLU)可能性があります。また測定試料に検体前処理液3のゲルが混入すると異常値の原因となりますので、上清の分取時にゲルを吸い込まないようご注意ください。
粘性の高い唾液検体はどのように前処理すれば良いですか。
粘性の強い唾液は、本キットの添付文書に記載している前処理のみでは期待する測定値が得られない場合があります。その場合にはあらかじめアプロチニンとProclin™950を添加した唾液を一度凍結融解し、遠心分離 (例: 5,000 g, 10分, 4℃)後の上清を検体として、本キットの添付文書に記載する前処理に進んでください。

測定対象について

オキシトシンとの交差性はどの程度ですか。
オキシトシンとの交差性は4.7%です。
メソトシン、イソトシン、バソトシンの測定は可能ですか。
メソトシン、イソトシン、バソトシンについてはデータがございません。

キットについて

本製品の抗体を購入することは可能ですか。
抗体単体での販売はしておりません。
プレートは分割使用できますか。
いずれもセパレートタイプのプレートを使用しており、1列(8ウェル)毎に取り外しできるため、キットの分割使用が可能です。開封した各試薬は、保管状態の影響を受ける可能性がありますので早めの使⽤を推奨します。なお、プレートシールは使用するウェル分だけハサミ等で切ってご使用ください。

キットの使用について

本製品で測定する際に必要な試薬、器具、装置は何ですか。
本キットの使用には以下の試薬、器具、装置が必要です。本キットは高感度な競合法を採用しているため、プレートシェーカーおよび発光測定用プレートリーダーが必要となります。
  • 精製水 (蒸留水)
  • 標準溶液 / 検体希釈用チューブ
  • 洗浄液希釈用ガラス器具 (メスシリンダー・ビーカー)
  • チップ交換型ピペット (使い捨てチップで10 μL を正確にピペッティングできるもの、および200~500 μLを正確にピペッティングできるもの)
  • 連続分注ピペット、100 μLを連続分注できるもの
  • ペーパータオル等の吸水性のあるもの(洗浄後にプレートに残った液を取り除く)
  • 攪拌器 (Vortex タイプ)
  • マイクロプレート振とう器 (約500~800 rpm)
  • 96ウエルプレート用洗浄機(あれば好ましい)または洗浄瓶
  • 96ウエルプレートリーダー (発光測定用)
  • データ処理ソフトウェア
使用できるプレートリーダーにはどのようなものがありますか。
本キットの測定には発光測定用のプレートリーダーが必要となります。
当社では以下の装置を取り扱っております。
Infinite® 200PROシリーズ (TECAN)
Spark® (TECAN)
SpectraMax® iD3/iD5 (モレキュラーデバイスジャパン)
プレートリーダーの測定条件をお教えください。
一例として、Tecan社 Infinite M200 PROを使用した時の条件を下記に示します。
装置: Tecan Infinite M200 PRO
ソフトウェア: PlateManegerV5
測定タイプ: エンドポイント測定
測定モード: 発光強度
プレートサイズ: 12 x 8
ウェルスキャンサイズ: 1 x 1
波長数: 1
測定値換算: W1
測定値単位: RLU
アテニュエーション1: AUTOMATIC
インテグレーションタイム1: 500 ms
セトルタイム1: 300 ms
プレートシェーカーはどのようなものを選べば良いですか。
ELISAプレートを500 rpm程度で攪拌できるシェーカーが必要です。
当社では以下の装置を取り扱っております。
プレートシェイカーMS 3 basic (IKA, 製品コード 627-05691 )
ELISAプレートの攪拌には以下、アタッチメント(別売)も必要です。
MS3.4 マイクロプレート用アタッチメント (IKA, 製品コード 620-05681 )
本キットを使って受託サービスを提供することは可能ですか。
可能です。

トラブルシューティング

検量線が上手く引けない場合、どのようにすれば良いですか。
競合反応は可逆的ですが、ビオチン標識バソプレシン溶液添加後、標準品や検体を加えるまでに時間がかかりすぎてしまうと、バラつきの増加や、ベース発光強度の上昇が起こり、検量線の傾きが得られないことがあります。
検体や標準品は10-15分(競合反応時間の約1/10以内)を目安に添加を完了してください。検体数が多い場合には、フレキシブルプレート等に検体を分注し、マルチチャンネルピペットで分注すると効率的です。
バックグラウンドよりも検体の測定値が高くなる場合、どうすれば良いですか。
前処理で検体中の反応阻害物質が除去できていないと、バックグラウンドよりも検体のRLUが高くなる(競合ELISAにおいてB0のRLU<検体のRLU)場合があります。特に検体前処理液3に含まれるゲル量が不足していると反応阻害物質が除去できないことがあります。ゲルは攪拌後時間が経過すると沈降するため、時々攪拌を加え沈降に注意しながら添加してください。また前処理後の試料に検体前処理液3のゲルが混入すると異常値の原因となりますので、上清の分取時にゲルを吸い込まないようご注意ください。
低濃度域の測定が上手くできない場合、どうすれば良いですか。
各工程の攪拌を十分に行ってください。特に注意すべきは以下の工程です。

■ 検体あるいは標準品の添加直後
十分に攪拌が必要です。連続的に攪拌を行うより、一旦停止し再度攪拌を開始する方が均一に混和されます。目安として[マイクロプレート振とう器で600-800 rpmで10秒間攪拌→一旦停止→再度攪拌]を3回繰り返すことを推奨します。

■ 競合反応中
推奨の攪拌速度は500 rpmです。攪拌の速度や強度が不足している場合、低濃度域における反応性が低下する恐れがあります。

■ ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン溶液の添加直後
検体や標準品の添加直後と同様に十分な攪拌が必要です。目安として[マイクロプレート振とう器で600-800 rpmで10秒間攪拌→一旦停止→再度攪拌]を3回繰り返すことを推奨します。
洗浄時、ウェルの中に泡が残る場合、どうすれば良いですか。
洗瓶等を用いたマニュアル洗浄の場合、最終回数の洗浄のみ洗浄液をオーバーフローさせて泡を回避する方法をお試しください。洗浄にはキット付属の洗浄液をご使用ください。超純水はハングリーウォーターとも呼ばれ、接する物質を取り込む性質が強く、抗原抗体結合物等への影響が懸念されるため、洗浄には使用しないでください。
発光強度が高くなりすぎる場合、どうすればよいですか。
以下2点をご確認ください。
1.ビオチン標識バソプレシン溶液添加後、次の標準溶液や検体を加えるまでに時間がかかっていないか?
2.発光試薬を室温化させてから使用しているか?(試薬の温度が高いと発光強度が高くなり、低いと発光強度が低くなります)

上記で改善されない場合、インテグレーションタイム(測定時間)の短縮、減衰フィルターの使用をご検討ください。

概要・使用例

概要 バソプレシン ELISAキットワコーは、検体中の(Arg8)-バソプレシンを定量できるELISAキットです。本製品は、従来の測定キットよりも必要検体量が少なく、かつ高感度で測定することが可能です。またこれまで煩雑な前処理が必要であった乳び検体に対しても、簡便な前処理で正確な測定を行うことができます。
  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 製品規格・包装規格の改訂が行われた場合、画像と実際の製品の仕様が異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。