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FM Fix (s) FM Fix (s)

組織固定用
for Tissue Fixation
製造元 :
富士フイルム和光純薬(株)
保存条件 :
冷凍 (ドライアイス輸送)
適用法令 :
特化則第2類 PRTR-1 安衛法57条・有害物表示対象物質 PRTR-1(特定) 安衛法・変異原性物質 労57-2 優先評価物質 劇-III
GHS :
  • 構造式
  • ラベル
  • 荷姿
SDS
比較
製品コード
容量
価格
在庫 / 納期目安
販売元
295-97201
JAN
4548995104687
1キット
希望納入価格
24,000 円

照会

ドキュメント

SDS
製品規格書
添付文書
スペクトルデータ
検査成績書
校正証明書
分析チャート

キットコンポーネント

1キット

Solution A(s) 0.5 mL x 10本
Solution B(s) 7.5 mL x 10本

製品概要

FM Fixは組織形態や抗原性の保持、組織染色性に優れた固定液です。さまざまな目的の組織固定を行うことができます。GFPなどの蛍光タンパク質の保持にも優れており、組織透明化にも適用可能です。FM Fix (s) は、針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化された固定液です。

特長

  • 針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化
  • 組織形態や抗原性の保持、組織染色性に優れる
  • 本製品で固定後に凍結保存した組織は、融解してPeriodic Acid Schiff (PAS) 染色やPeriodic Acid-Methenamine-Silver (PAM) 染色、Masson-Trichrome (MT) 染色に使用可能

プロトコル (例)

1. 試薬調製

  1. 使用する直前に各溶液を解凍してください。
  2. 融解後は軽く振り混ぜるか、攪拌して溶け残りがないことを確認してください。
  3. Solution A(s) (0.5 mL x 1本) を、Solution B(s) (7.5 mL x 1本) に全量添加してください。
  4. 容器の蓋を閉め、軽く振ってSolution A(s) とSolution B(s) を混合してください。

2. 固定

  1. 針生検で採取した腎臓組織片あるいは楔状切除腎臓組織片を、調製した固定液中に目安として数時間から一晩浸して固定します。
    ※ 組織の大きさや種類など、検体に合わせて固定時間等の調整を行ってください。
  2. 病変部位の有無を確認して各用途にブロックを切り分け、各々の工程に進みます。

3-(A). 光学顕微鏡用 パラフィン包埋切片の作製

  1. 固定された検体を適当な大きさの組織片にして、自動処理装置などを用いて通常のパラフィン包埋のステップを実施してください。
    免疫染色を行う場合、抗原の賦活化が必要な場合があります。その際は、くえん酸またはEDTAによる熱処理などで賦活化処理を行ってください。

3-(B). 免疫染色用 凍結切片の作製

  1. 固定された検体を適当な大きさの組織片にして、通常のスクロース置換・O.C.T.コンパウンドなどを用いた包埋のステップを実施し凍結処置を行ってください。

データ

アプリケーションデータ

ヒト腎生検の組織染色 (HE、MT、PAM、PAS染色)<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生

16 Gのバイオプシーガンで腎組織を採取し、FM Fix (s) で1日固定 (4°C)を行った。その後パラフィン包埋を行い、薄切後に、ヘマトキシリン・エオシン (HE) 染色、Periodic Acid Schiff (PAS) 染色、Periodic Acid-Methenamine-Silver (PAM) 染色、Masson-Trichrome (MT) 染色を行った。

HE

10%中性ホルマリン
10%中性ホルマリン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
固定後のプロトコル
工程 時間 (分:秒)
キシレンI 05:00
キシレンII 05:00
キシレンIII 05:00
100%アルコールI 05:00
100%アルコールII 05:00
100%アルコールIII 05:00
流水水洗 03:00
ヘマトキシリン 10:00
流水水洗 10:00
80%アルコール 00:20
エオジン液 10:00
分別90%アルコール 00:20
分別100%アルコール 00:20
100%アルコールI 03:00
100%アルコールII 03:00
100%アルコールIII 03:00
キシレンI 03:00
キシレンII 03:00
キシレンIII 03:00
封入

MT

10%中性ホルマリン
10%中性ホルマリン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
固定後のプロトコル
工程 時間 (分:秒)
キシレンI 05:00
キシレンII 05:00
キシレンIII 05:00
100%アルコールI 05:00
100%アルコールII 05:00
100%アルコールIII 05:00
流水水洗 03:00
塩酸・エタノール液 00:20
レゾルシンフクシン 30:00
100%エタノール 00:20
流水水洗 05:00
鉄ヘマトキシリン 10:00
流水水洗 01:00
塩酸・エタノール液 00:20
流水水洗 01:00
ビーブリッヒ酸フクシン 20:00
蒸留水 00:20
リンタングステン酸 10:00
蒸留水 00:20
アニリンブルーオレンジG 10:00
蒸留水 00:10
MT100%アルコール 00:20
100%アルコールII 00:20
100%アルコールIII 00:20
キシレンI 03:00
キシレンII 03:00
キシレンIII 03:00
封入

PAM

10%中性ホルマリン
10%中性ホルマリン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
FM Fix (s)
固定後のプロトコル
工程 時間 (分:秒)
キシレンI 05:00
キシレンII 05:00
キシレンIII 05:00
100%アルコールI 05:00
100%アルコールII 05:00
100%アルコールIII 05:00
流水水洗 03:00
過ヨウ素酸液 10:00
流水水洗 05:00
チオセミカルバシド液 05:00
流水水洗 05:00
蒸留水 00:30
メセナミン銀液 15:00
蒸留水 00:30
ホルマリン 00:20
蒸留水 00:30
塩化金 15:00
流水水洗 03:00
チオ硫酸ナトリウム 03:00
流水水洗 03:00
ヘマトキシリン 10:00
流水水洗 10:00
80%アルコール 00:20
エオシン液 10:00
分別90%アルコール 00:20
分別100%アルコール 00:20
100%アルコールI 03:00
100%アルコールII 03:00
100%アルコールIII 03:00
キシレンI 03:00
キシレンII 03:00
キシレンIII 03:00
封入

PAS

10%中性ホルマリン
10%中性ホルマリン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
固定後のプロトコル
工程 時間 (分:秒)
キシレンI 05:00
キシレンII 05:00
キシレンIII 05:00
100%アルコールI 05:00
100%アルコールII 05:00
100%アルコールIII 05:00
流水水洗 03:00
過ヨウ素酸液 10:00
流水水洗 05:00
コールドシッフ液 10:00
流水水洗 10:00
ヘマトキシリン 10:00
流水水洗 10:00
100%アルコールI 03:00
100%アルコールII 03:00
100%アルコールIII 03:00
キシレンI 03:00
キシレンII 03:00
キシレンIII 03:00
封入

[結果]
FM Fix (s) は10%中性ホルマリンと比較して、組織構造が維持されていた。

CX3CR1-GFPマウスの腎臓の組織染色 (HE、PAM、PAS染色)<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生

CX3CR1-GFPマウスから腎臓を摘出し、2 mm程度にカミソリ刃でカットした。その後、本製品で固定 (24時間、4°C、遮光)を行い、パラフィンへ包埋した後、それぞれの手法で染色した。

  • HE

    HE
  • PAM

    PAM
  • PAS

    PAS

[結果]
FM Fix (s) はマウスパラフィン包埋切片でも使用可能だった。

CX3CR1-GFPマウスの腎臓の蛍光免疫組織染色<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生

CX3CR1-GFPマウスにIsolectin GS-IB4 Alexa Fluor® 647を30 μg静脈投与し、30分後に腎臓を摘出した。その後、腎臓を2 mm程度にカミソリ刃でカットし、本製品で固定 (24時間、4°C、遮光) した。固定後の組織は30%スクロースへ置換し、O.C.T.コンパウンドで包埋した後、-30 °Cで保存。その後、クライオスタットで薄切、1時間風乾し、0.1% Tritonで洗浄した。最後にDAPI封入剤で封入し、顕微鏡で観察した。

  • HE
  • PAM
  • PAS
  • PAS

※ Alexa Fluor®はインビトロジェン株式会社の登録商標です。

[結果]
FM Fix (s) では、GFPタンパク質の蛍光が減弱せず、抗GFP抗体を使用しなくてもGFPのシグナルが検出できた。

全身性エリテマトーデス (SLE) 患者 凍結腎針生検組織の蛍光免疫組織染色<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生

全ての蛍光所見が陽性となるSLE患者の凍結腎針生検組織を検体として使用。組織をクライオスタットで薄切後、アセトン、FM Fix (s) 、4 % PFAでそれぞれ後固定し、6種類 (IgG、IgA、IgM、C1q、C3、C4) の抗体で蛍光免疫組織染色を行った。

IgG

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

IgA

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

IgM

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

C1q

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

C3

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

C4

アセトン
アセトン
FM Fix (s)
FM Fix (s)
4% PFA
4% PFA

[結果]
通常の腎生検時の後固定法であるアセトン固定と比較して、FM Fix (s) による固定では、糸球体におけるIgG、IgA、IgM、C1q、C3、C4をクリアに検出できた。

参考文献

使用文献

  1. Furuhashi, K. et al.: Nature, 638(8049), 206(2025).
    Bone marrow niches orchestrate stem-cell hierarchy and immune tolerance

FAQ

製品について

1キットで何回使用できますか。
1キットにはSolution A(s) とSolution B(s) が各10本入っています。1回の固定にそれぞれ1本ずつ使用するため、10検体分の固定に使用することができます。なお、Solution A(s)とSolution B(s) の混合液は用時調製です。混合液の長期保管は性能低下の恐れがあるため、混合した当日中にご使用ください。
Solution B(s) がやや黄色になっています。使用しても問題ないでしょうか。
Solution B(s)は薄い黄色に変色する場合がありますが、性能に問題はございません。
使用上の注意はありますか。
本製品を取り扱う際には、必要に応じて防毒マスクまたはホースマスク、保護手袋、眼鏡を着用してご使用ください。(詳しくは、ラベル表示の取扱い注意事項をご覧ください。)

概要・使用例

概要 組織固定は生物試料を自己分解や腐敗による劣化から保護するために重要な操作であり、組織を構成するタンパク質等を安定的に維持することが可能となります。組織固定ではホルマリン固定が顕微鏡標本をはじめとした研究・病理検査等で広く用いられていますが、一部のタンパク質では立体構造や抗原性に影響を与え、染色性等の低下に繋がります。
FM Fixは組織形態、立体構造の保持や組織染色性に優れた固定液です。組織固定後もタンパク質の立体構造が維持されやすく、補体などの抗原も安定的に検出することができます。また、GFPといった蛍光タンパク質のシグナルが減弱しにくい特徴があり、組織透明化手法での適用も可能です。
FM Fix(s)は、FM Fix(L)の固定液特性を維持したまま、針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化された固定液です。
使用例 1. 試薬調製
使用前に用事調製し、混合調液した後は当日中にご使用ください。
(1)使用する直前に各溶液を解凍して下さい。
(2)融解後は軽く振り混ぜるか攪拌して溶け残りがないことを確認下さい。
(3)A液(0.5 mL×1本)を、B液(7.5 mL×1本)に全量添加してください。
(4)容器の蓋を閉め、軽く振ってA液とB液を混合してください。

2. 固定操作
(1)針生検で採取した腎臓組織片あるいは楔状切除腎臓組織片を、調製した固定液中に目安として数時間~一晩浸して固定します。
※組織の大きさや種類など検体に合わせて固定時間等の調整を行って下さい。
(2)病変部位の有無を確認して各用途にブロックを切り分け、各々の工程に進みます。

<光学顕微鏡用としてパラフィン包埋切片の作製>
固定された検体を適当な大きさの組織片にして、自動処理装置などを用いて通常のパラフィン包埋のステップを実施してください。
※パラフィン包埋切片で免疫染色を行う場合、抗原の賦活化が必要な場合があります。その際は、クエン酸またはEDTA による熱処理等で賦活化処理を行ってください。

<免疫染色用として凍結切片の作製>
固定された検体を適当な大きさの組織片にして、通常のスクロース置換・OCTコンパウンドなどを用いた包埋のステップを実施し凍結処置を行ってください。
使用上の注意 取り扱い時には、必要に応じて防毒マスクまたはホースマスク、保護手袋、眼鏡を着用してご使用ください。
(詳しくは、ラベル表示の取扱い注意事項を参考下さい)

物性情報

「物性情報」は参考情報でございます。規格値を除き、この製品の性能を保証するものではございません。
本製品の品質及び性能については、本品の製品規格書をご確認ください。
なお目的のご研究に対しましては、予備検討を行う事をお勧めします。

製造元情報

別名一覧

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  • 製品規格・包装規格の改訂が行われた場合、画像と実際の製品の仕様が異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
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    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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