FM Fix
組織固定は生物試料を自己分解や腐敗による劣化から保護するために重要な操作であり、組織を構成するタンパク質等を安定的に維持することが可能となります。組織固定ではホルマリン固定が顕微鏡標本をはじめとした研究・病理検査等で広く用いられていますが、一部のタンパク質では立体構造や抗原性に影響を与え、染色性などの低下に繋がります。当社では、名古屋大学 腎臓内科 古橋和拡 先生が開発した技術を元に、組織形態・抗原性の保持や組織染色性に優れた固定液としてFM Fixを製品化いたしました。
組織固定液の役割と課題
組織固定は生物試料を自己分解や腐敗による劣化から保護するために重要な操作であり、組織を構成するタンパク質などを安定的に維持することが可能となります。組織固定ではホルマリン固定が顕微鏡標本をはじめとした研究・病理検査などで広く用いられていますが、一部のタンパク質では立体構造や抗原性に影響を与え、染色性等の低下に繋がります。そのため、目的に応じて固定液を使い分ける必要があります。
実験手法 | 免疫染色 | 光学顕微鏡観察 | レポーターの観察 |
目的 | 抗原性の保持 | 形態の保持 | 蛍光タンパク質の保持 |
組織の固定方法 |
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製品概要
FM Fixは組織形態や抗原性の保持、組織染色性に優れた固定液です。本製品で様々な目的の組織固定を行うことができます。GFPなどの蛍光タンパク質の保持にも優れており、組織透明化にも適用可能です。
抗原性の保持 | 形態の保持 | 蛍光タンパク質の保持 | 抗原性・形態・蛍光タンパク質の保持 |
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製品ラインアップ
FM Fix (L)
組織形態、立体構造の保持や組織染色性に優れた固定液です。組織固定後もタンパク質の立体構造が維持されやすく、補体などの抗原も安定的に検出することができます。また、GFPといった蛍光タンパク質のシグナルが減弱しにくい特徴があり、組織透明化手法での適用も可能です。
FM Fix (s)
FM Fix(s)は、FM Fix(L)の固定液特性を維持したまま、針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化された固定液です。
FM Fix (s)
FM Fix (s) は、針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化された固定液です。
特長
- 針生検のような小さな組織や浸透性が良い組織に最適化
- 組織形態や抗原性の保持、組織染色性に優れる
- 本製品で固定後に凍結保存した組織は、融解してPeriodic Acid Schiff (PAS) 染色やPeriodic Acid-Methenamine-Silver (PAM) 染色、Masson-Trichrome (MT) 染色に使用可能
アプリケーションデータ
ヒト腎生検の組織染色 (HE、MT、PAM、PAS染色)<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生
16 Gのバイオプシーガンで腎組織を採取し、FM Fix (s) で1日固定 (4°C)を行った。その後パラフィン包埋を行い、薄切後に、ヘマトキシリン・エオシン (HE) 染色、Periodic Acid Schiff (PAS) 染色、Periodic Acid-Methenamine-Silver (PAM) 染色、Masson-Trichrome (MT) 染色を行った。
HE


MT


PAM


PAS


[結果]
FM Fix (s) は10%中性ホルマリンと比較して、組織構造が維持されていた。
CX3CR1-GFPマウスの腎臓の蛍光免疫組織染色<データ提供> 名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学 腎臓内科 古橋先生
CX3CR1-GFPマウスにIsolectin GS-IB4 Alexa Fluor® 647を30 μg静脈投与し、30分後に腎臓を摘出した。その後、腎臓を2 mm程度にカミソリ刃でカットし、本製品で固定 (24時間、4°C、遮光) した。固定後の組織は30%スクロースへ置換し、O.C.T.コンパウンドで包埋した後、-30°Cで保存。その後、クライオスタットで薄切、1時間風乾し、0.1% Tritonで洗浄した。最後にDAPI封入剤で封入し、顕微鏡で観察した。
※ Alexa Fluor®はインビトロジェン株式会社の登録商標です。
[結果]
FM Fix (s) では、GFPタンパク質の蛍光が減弱せず、抗GFP抗体を使用しなくてもGFPのシグナルが検出できた。
製品一覧
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