未分化維持/分化誘導試薬
ES/iPS細胞は、様々な細胞へ分化する多能性と自分自身と同じ性状を維持したまま分裂することができる自己複製能を併せ持つ細胞です。
その多能性の維持や特定の細胞への分化誘導には、シグナル伝達が関わっており、それらを低分子化合物により調節することで、効率よく多能性を維持したり、分化誘導することができます。同様な作用を持つものとしてサイトカインのような成長因子があります。しかし、成長因子は大腸菌や細胞により生産されるため、動物由来成分による汚染リスクや、ロット間の性能差がみとめられることがあります。一方、低分子化合物は、基本的に化学的に合成されるものであるため、動物由来成分による汚染リスクはありません。また確立されたプロセスにより合成されるため、ロット間の性能差はほぼ無く、幹細胞の培養において安定した結果が得られます。
2006年にiPS細胞樹立が発表された後、iPS細胞に関わる文献が数多く発表されています。それらの文献内では、種々の低分子化合物がES/iPS細胞の未分化能維持(多能性維持)や分化誘導に関わると報告されています。当社では、それら文献で紹介されている各種低分子化合物をラインアップしています(ES/iPS細胞研究用低分子化合物)。
CultureSure®シリーズは、通常、化合物に対して実施する含量や溶状といった試験項目に加え、細胞培養用に安心してご使用頂くためにエンドトキシンやマイコプラズマといった微生物に関する品質保証を行っています。また、CultureSure®シリーズは、粉末製品だけでなく、適切な溶媒への溶解後、フィルター滅菌を行い、使いやすさを向上させたready-to-useの溶液製品もラインアップしています。
さらに再生医療等製品の研究に重要な化合物に関しては、製造工程や分析法のバリデーションを実施し、恒常的に安定した品質の製品が得られる体制を整えています。これらは、原薬等登録原簿(マスターファイル:MF)のその他(培地/培地添加物)区分に登録し、審査プロセスの利便性を向上させています(MF登録低分子化合物)。
また、ICH Q7に基づくGMP生産体制の構築を進めており、2021年にGMP生産体制の下で製造したY-27632を提供開始予定です。
