細胞老化測定試薬

細胞老化は、分裂を繰り返した細胞やDNA損傷を受けた細胞が増殖しないように分裂を停止させる現象です。
当社では、老化マーカーであるSA-β-galを特異的に染色および定量する「細胞老化(SA-β-Gal)検出キット」、DNA損傷の指標であるγH2AXを検出する「DNAダメージ検出キット - γH2AX」を販売しています。

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細胞老化とマーカー分子

正常細胞は、分裂を繰り返すことや、酸化ストレス等によりDNAに損傷を生じます。損傷DNAが修復されない異常細胞がこれ以上増えないようにするため、不可逆的に分裂を停止する細胞老化が引き起こされます。

細胞老化を評価する際は、複数の老化マーカーを指標に解析する必要があります。以下に示したマーカーは細胞老化研究分野で広く用いられています。

老化細胞のマーカー
  • DNA damage response ex. γ H2AX, ATM, etc
  • SA-β-gal (senescence-associated beta-galactosidase)
  • CDKis (cyclin-dependent kinase inhibitor) ex. p16, p21 .etc
  • p53
  • SASP (Senescence-Associated Secretory Phenotype) ex. IL6, IL8 .etc

 

特に老化細胞において過剰発現が認められるSA-β-gal (senescence-associated β-galactosidase)は、老化マーカーの1つとして広く用いられています。代表的なSA-β-galの検出方法としてX-gal染色が広く利用されていますが、(1) 細胞膜透過性が乏しいため細胞を固定化する必要がある、(2) 染色された細胞とそうでない細胞とを目視により見分ける必要があるため定量性に欠ける、(3) 染色に時間を要する、などが課題となっています。

同仁化学研究所のSPiDER-βGalはこれまでのX-gal染色が抱えていた課題を解決する新規のβ-galactosidase検出試薬です。SPiDER-βGalは、細胞膜透過性が高く、優れた細胞内滞留性を有し反応後の基質が細胞外へ漏れ出さない、という性質を有し、細胞内β-galactosidaseの高感度検出、短時間染色を実現できます。また、蛍光検出が可能なことから、X-gal染色法では適用できなかったフローサイトメトリーも利用することができ、定量性のあるデータを取得できます。なお、生細胞のみならずX-gal法と同様に固定化細胞を用いてもSA-β-galを簡便かつ迅速に検出することが可能です(図1)。

図1 SPiDER-βGalによる老化細胞検出の原理

 

当社では同仁化学研究所のSPiDER-βGalを用いた 老化細胞検出キット細胞老化(SA-β-Gal)プレートアッセイキットを始め、DNAダメージの指標であるγH2AX測定キットなど細胞老化に関するキットを取り扱っております。