老化細胞を定量的に検出

同仁化学 老化細胞検出キット

本キットに含まれるβ-ガラクトシダーゼ検出試薬SPiDER-βGalは、細胞膜透過性が高く、優れた細胞内滞留性を有し反応後の基質が細胞外へ漏れ出さない、という性質があり、細胞内β-ガラクトシダーゼの高感度検出、短時間染色を実現できます。

また、蛍光検出が可能なことから、X-gal染色法では適用できなかったフローサイトメトリーも利用することができ、定量性のあるデータを取得することができます。

原理

特長

生細胞も固定化細胞も適用可能

※1 内在性β-galactosidaseの活性を抑制

生細胞中には内在性β-galactosidaseが存在するため、そのままでは高いバックグラウンドとなり、SA-β-galを選択的に検出できません。本キットではBafilomycin A1を添加することにより、リソソーム中のATPase活性阻害し、リソソーム中のpHを酸性から中性付近に変化させることで、内在性β-galactosidaseの活性が低下します。これにより老化マーカーであるSA-β-galを選択的に検出することが出来ます。

※2 細胞内透過性を持つβ-galactosidase基質(SPiDER-βGal)による染色

本キットで使用する染色基質SPiDER-βGalは、細胞透過性を有するため生細胞にも適応し、細胞内に滞留することから鮮明なイメージングが可能です。また、従来法(X-gal法)との相関性もみられます。

定量が容易

試薬添加だけの簡単操作

染色時間は30分!

本キットでは生細胞にも固定化細胞にも適応でき、いずれも染色操作は30分間で完了します。

※上図は生細胞を利用した操作例。固定化細胞の場合はバッファー交換により内在性β-galactosidase活性を抑制します。

蛍光法だからできる多重染色

異なる老化マーカーとの共染色

上記実験では、老化細胞のモデルとして継代培養を繰り返したWI-38細胞(Passage 10)を用い、本キットによるSA-β-gal の検出a)、異なる老化マーカーとしてγ-H2AX(DNA損傷マーカー)の免疫染色b)、更には全細胞の核染色c)を行いました。結果、SA-β-galとγ-H2AXの両老化マーカーで相関する結果が得られましたd)

共焦点定量イメージサイトメーターによる定量解析

共焦点定量イメージサイトメーター(横河電機 CQ1)を用いた老化細胞定量解析

生細胞蛍光染色による解析

X-gal法では顕微鏡で目視による全細胞数と老化細胞を計測し、全細胞数に対する老化細胞数の割合を陽性率として評価します。共焦点イメージングサイトメーターを用いて、X-gal法と同様に陽性率として定量解析を行いました。

横河電機CQ1撮影条件
使用プレート :96 well plate
対物レンズ :10倍
撮影波長 :405 nm(Hoechst33342): シアン
 488 nm(SPiDER-βGal): 緑
視野 :8視野

※SA-β-gal ポジティブなWI-38細胞(赤色の輪郭)

定量解析 - 陽性率

核染色試薬(Hoechst33342)で全細胞数を計測し、SPiDER-βGalでSA-β-galを指標とした老化細胞数を計測した後、全細胞数に対する老化細胞数の割合を陽性率として定量解析を行いました。

WI-38細胞の細胞分裂の程度に応じて陽性率に差が認められました。共焦点定量イメージングサイトメーターを用いることで、X-gal法による目視観察と比較して迅速な定量解析が可能となりました。

フローサイトメーターによる定量解析

スぺクトラム型セルアナライザー SA3800(ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社)を用いた老化細胞定量解析

ヒストグラムによる解析

横軸にSPiDER染色による蛍光強度、縦軸に細胞数をとり任意のしきい値を設定し、SA-β-gal発現細胞の陽性率を算出しました。

実験条件

老化細胞のモデルとして継代培養を20回繰り返したWI-38細胞と継代回数2回のWI-38細胞を用いて、本キットによるSA-β-galの検出を行いました。

検出条件

Excitation(Laser) : 488 nm
Emission(スペクトル検出) : 420-800 nm

結果

継代培養を繰り返したWI-38細胞において、約90 %の細胞がSA-β-galの発現が亢進していることを確認しました。

スペクトル検出

老化細胞ではリポフスチン等の生成によりバックグラウンドとしてみられることがあります。しかし本装置では、蛍光スペクトル検出が可能なため、老化細胞のバックグラウンドをあらかじめスペクトルで確認し、SPiDER-βGalの蛍光パターンを選択的に読み込むことで、より鮮明にSA-β-gal発現細胞の検出ができています。

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