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TLCプレートの選び方
①担体の種類
未修飾シリカゲル:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、主に酸性または中性化合物の分離に適しています。
化学修飾シリカゲル:表面のシラノール基に種々の官能基を結合し、機能を変化させています。C18修飾シリカゲルはオクタデシル基(ODS)が結合したシリカゲルで、逆相クロマトグラフィーモードに適しています。NH2修飾シリカゲルはアミノプロピル基が結合したシリカゲルで、糖、カテコールアミン等の分離に適しています。
ポリアミド:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、フェノール類やカルボン酸の分離に適しています。
アルミナ:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、主に塩基性化合物の分離に適しています。
セルロース:順相クロマトグラフィーモードで、炭化水素の分離に適しています。
②細孔径・比表面積
細孔径が小さいほど、シリカゲルの比表面積が大きくなり、低分子の分離能が高くなります。逆にたんぱく質等の高分子は細孔径が大きいほど分離能が高くなります。試料の分子が細孔に出入りしやすくなるよう適切な細孔径の選択が必要です。
③支持体の種類
ガラスは、耐薬品性に優れており最も幅広く利用されています。一方、アルミニウムや紙はカッター、ハサミ等で容易に切断できますが、展開溶媒によっては担体が剥離したり、曲がったりする場合があります。またアルミニウムは強酸、強塩基などを展開溶媒や発色試薬に用いる事ができません。
④蛍光物質の有無
不含:蛍光物質を含まないため、発色試薬(硫酸、ニンヒドリン、よう素等)の噴霧によるスポット検出、蛍光を発する試料の選択的検出に適しています。
単色蛍光物質 :254 nmの紫外線照射でプレート全体が緑色の蛍光を発し、紫外吸収を有する試料が黒色のスポットとして検出されます。
混合蛍光物質:赤、緑、青の蛍光物質が添加されています。広領域紫外線(250~400 nm)照射でプレート全体は白色を示します。紫外吸収を有する試料はその物質特有の紫外部吸収を示し、赤や青などの有色スポットとして観察できます。
TLCプレートの物性一覧
シリカゲル(未修飾)
NH2修飾シリカゲル
C18修飾シリカゲル
品名 |
細孔径 |
比表面積 |
細孔容量 |
層の厚さ |
支持体 |
固着剤 |
蛍光指示薬 |
検出 |
シリカゲルRP-18 F254s TLCプレート |
6 nm |
480~540 m2/g |
0.74~0.84 mL/g |
200~270 µm |
ガラスプレート |
- |
単色蛍光体 |
紫外線(254 nm) |
ポリアミド
品名 |
細孔径 |
比表面積 |
細孔容量 |
層の厚さ |
支持体 |
固着剤 |
蛍光指示薬 |
検出 |
ポリアミドFM プレート |
‐ |
‐ |
‐ |
70~110 μm |
ガラスプレート |
ギプス |
混合蛍光体 |
広域紫外線(250~400 nm) |
アルミナ
セルロース
TLCプレートの外装箱
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使い方(開封方法)
薄層クロマトグラフィー(TLC)とは?
薄層クロマトグラフィー(Thin-Layer Chromatography: TLC)とは、 吸着剤を薄膜状に固定した薄層プレートを用いたクロマトグラフィーのことです。 薄層プレートの一端を溶媒に浸すと、吸着剤の間隙を伝い、溶媒が上方に移動してきます。プレート上に試料物質が存在すると、溶媒移動に引きずられるように試料も移動していきます。このとき、固定層 (吸着剤)への吸着度合いと、移動層(溶媒)への親和性の差異・バランスにより、試料が移動する距離(Rf値)が異なります。この原理を利用し、TLCではRf値を用いて有機化合物の分離・同定を行います。