シリカゲルTLCプレート(NH2修飾)
薄層クロマトグラフィー(TLC:Thin Layer Chromatography)はガラスやアルミプレートの上に、シリカゲルやポリアミド、アルミナなどの固定相で作られた薄層を用い、混合物を移動相で展開させてそれぞれの成分に分離する方法です。TLCは物質の確認や純度試験、カラムクロマトグラフィー使用時の分離条件を検討する際に広く用いられています。当社では、未修飾シリカゲルTLCプレート、NH2修飾シリカゲルプレート、ポリアミド・アルミナ・セルロース担体で作られた薄層を用いたTLCプレートを取り扱っています。
「NH2 シリカゲル 60F254 プレート-ワコー」は、アミノプロピル基を修飾したシリカゲルをガラスプレートに塗布した薄層クロマトグラフィー用のプレートです。緑色の蛍光物質が添加されており、分離されたスポットを紫外線(λ=254 nm)の照射により、展開された試料が緑色地に暗いスポットとして観察できます。 分離条件の検討などに適した層厚0.25 mmと分取に適した層厚0.5 mm、0.75 mmを取り揃えています。
物性表
TLCプレートの選び方
①担体の種類
未修飾シリカゲル:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、主に酸性または中性化合物の分離に適しています。
化学修飾シリカゲル:表面のシラノール基に種々の官能基を結合し、機能を変化させています。C18修飾シリカゲルはオクタデシル基(ODS)が結合したシリカゲルで、逆相クロマトグラフィーモードに適しています。NH2修飾シリカゲルはアミノプロピル基が結合したシリカゲルで、糖、カテコールアミン等の分離に適しています。
ポリアミド:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、フェノール類やカルボン酸の分離に適しています。
アルミナ:吸着クロマトグラフィーモードで使用され、主に塩基性化合物の分離に適しています。
セルロース:順相クロマトグラフィーモードで、炭化水素の分離に適しています。
②細孔径・比表面積
細孔径が小さいほど、シリカゲルの比表面積が大きくなり、低分子の分離能が高くなります。逆にたんぱく質等の高分子は細孔径が大きいほど分離能が高くなります。試料の分子が細孔に出入りしやすくなるよう適切な細孔径の選択が必要です。
③支持体の種類
ガラスは、耐薬品性に優れており最も幅広く利用されています。一方、アルミニウムはカッター、ハサミ等で容易に切断できますが、展開溶媒によっては担体が剥離する場合があります。またアルミニウムは強酸、強塩基などを展開溶媒や発色試薬に用いる事ができません。
④蛍光物質の有無
不含:蛍光物質を含まないため、発色試薬(硫酸、ニンヒドリン、よう素等)の噴霧によるスポットを検出、蛍光を発する試料の選択的検出に適しています。
単色蛍光物質 :254 nmの紫外線照射でプレート全体が緑色の蛍光を発し、紫外吸収を有する試料が、黒色のスポットとして検出されます。
混合蛍光物質:赤、緑、青の蛍光物質が添加されています。広領域紫外線(250~400 nm)照射でプレート全体は白色を示します。紫外吸収を有する試料はその物質特有の紫外部吸収を示し、赤や青などの有色スポットとして観察できます。
品名 | 細孔径 | 比表面積 | 細孔容量 | 層の厚さ | 支持体 | 固着剤 | 蛍光指示薬 | 検出 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NH2シリカゲル | ||||||||
NH2シリカゲル60F254 プレート-ワコー (層厚0.25 mm) | 6 nm | 450 m2/g | 0.7 mL/g | 190~250 μm | ガラスプレート | ポリマー | 単色蛍光体 | 紫外線(254 nm) |
NH2シリカゲル60F254 プレート-ワコー (層厚0.5 mm) | 400~550 μm | |||||||
NH2シリカゲル60F254 プレート-ワコー (層厚0.75 mm) | 650~850 μm |
アプリケーション
ヌクレオシド類の分離
試料:each 10 mg/mL (2 μL)
展開溶媒:Acetonitrile / Methanol / Water = 80 / 10 / 10 (V/V/V)
層厚 0.25 mm | 層厚 0.5 mm | |||
---|---|---|---|---|
サンプル名 | 展開距離 | Rf値 | 展開距離 | Rf値 |
thymidine | 40 mm | 0.36 | 40 mm | 0.38 |
adenosine | 31 mm | 0.28 | 31 mm | 0.27 |
cytidine | 15 mm | 0.13 | 14 mm | 0.12 |
(front) | 112 mm | - | 113 mm | - |
色素類の分離
試料:アシドレッド ブリリアントブルーFCF エオシンY ニューコクシン in メタノール |
52.4 mg 2 mg 4 mg 2 mg 1 mL |
展開溶媒:LiCl / Methanol = 1 / 100 (W/V)
層厚:0.25 mm
1 μL | 2 μL | |||
---|---|---|---|---|
サンプル名 | 展開距離 | Rf値 | 展開距離 | Rf値 |
acid red 52 | 68 mm | 0.61 | 68 mm | 0.61 |
brilliant blue FCF | 60 mm | 0.54 | 60 mm | 0.54 |
eosin Y | 46 mm | 0.41 | 47 mm | 0.42 |
new coccine | 24 mm | 0.22 | 24 mm | 0.23 |
(front) | 111 mm | - | 111 mm | - |
強塩基性化合物の分離
緑色の蛍光物質が添加されており分離されたスポットを紫外線(λ=254 nm)による照射で緑色地に暗いスポットとして観察できます。
強塩基性化合物のテーリングが改善されていることが確認できます。
TLC Conditions
TLC:①Silica Gel 70F254 Plate-Wako
②NH2 Silica Gel 60F254 Plate-Wako
Sample:1) 2,4,6-Trimethylpyridine (左スポット)
2) 4-Dimethylaminopyridine (右スポット)
展開溶媒:n-Hexane / IPA = 90 / 10 (v/v)
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