順相クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマトグラフィー (HILIC)

液体クロマトグラフィー(Liquid Chromatography: LC)は、定性、定量分析の際に混合物を分離する方法として一般的に使用される、移動相中の目的化合物と固定相との極性の差を利用して化合物を分離する手法です。液体クロマトグラフィーの中で、固定相の極性が移動相に比べ低いものは逆相分配クロマトグラフィー、反対に、固定相の極性が移動相に比べ高いものは順相分配クロマトグラフィー、固定相と溶離液の双方の極性が高いものは親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)と呼ばれます。このLCにおける固定相(カラム)および移動相(溶媒)は化合物の分離に大きく影響するため、目的化合物に合わせたカラムと溶媒の選択が重要となります。

順相クロマトグラフィーや親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)では、シリカゲルに極性をもつ官能基を修飾させた充てん剤を使用したカラムを使用します。

下記製品ページでは順相、HILICモードでご使用いただける未修飾シリカゲル、及びシリカゲルにシアノプロピル基(CN)、アミノプロピル基(NH2)を修飾した充てん剤を使用したカラムの情報とそのアプリケーションデータを紹介しております。

学術コンテンツ

製品ラインナップ

Wakosil® SIL Wakosil® SIL-120 Wakosil®-II 5SIL-AQ Wakosil®/ Wakosil®-II 5CN Wakosil® 5NH2
官能基 - (未修飾) - (未修飾) - (未修飾) シアノプロピル基(CN) アミノプロピル基(NH2)
使用モード 順相 順相 HILIC 逆相・順相 逆相・順相
粒子径 5SIL: 5 μm
10SIL: 10 μm
5SIL-120: 5 μm
7SIL-120: 7 μm
5 μm 5 μm 5 μm
特長
・標準的な順相系カラム
・高吸着タイプ(細孔径 6 nm、比表面積500 m2/g)
・標準的な順相系カラム
・低吸着タイプ(細孔径 12 nm、比表面積300 m2/g)
・極性化合物を逆相モードと同じ移動相条件で分析可能
・イオン対試薬を用いない分析条件設定が可能(LC/MS分析への移行が容易)
・順相・逆相の両モードで使用可能
・CN基由来のπ電子相互作用と、N原子に局在化した非共有電子対の水素結合作用により、芳香族化合物に対して特異的な分離挙動を示す場合がある
・順相・逆相の両モードで使用可能
・NH2基由来のイオン交換能により、糖の分析に有用
用途
・極性化合物の分析
・極性化合物の迅速分析
・極性化合物の分析
・極性差が大きい混合試料の分析
・芳香族化合物の分析
・糖、ヌクレオチドの分析
分取用サイズ(Prepシリーズ) - - - -
再充填サービス

Wakopak® シリーズの情報(充てん剤、粒子径、圧力、pH範囲等)

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順相、逆相、HILICモードの違い

・逆相モード
疎水性の目的化合物を水系、メタノール、アセトニトリルなどの極性溶媒の移動相で分離するモードです。
HPLCの分離モードで最もよく用いられており、多様な化合物の分離が可能です。
・順相(吸着)モード
親水性の目的化合物をヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの非極性溶媒の移動相で分離するモードです。
非極性の有機溶媒を移動相として用いるため、逆相モードでは分離が難しい化合物や加水分解されやすい化合物の分離が可能な場合があります。
・HILICモード
親水性の目的化合物を水系、メタノール、アセトニトリルなどの極性溶媒の移動相で分離するモードです。
水を含む移動相を使用できるため、極性化合物を逆相モードと同じ条件で分離する場合等に有効です。

<逆相>

<順相>

<HILIC>

逆相モード 順相モード HILICモード
官能基 低極性
・C4~C30
・Ph
・TMS
高極性
・OH(未修飾)
・NH2
・CN
高極性
・OH(未修飾)
移動相 高極性
・水
・メタノール
・アセトニトリル
低極性
・ヘキサン
・トルエン
・クロロホルム
高極性
・アセトニトリル
・メタノール
・水(5~30 %)
保持化合物 低極性 高極性 高極性
相互作用 疎水性相互作用 親水性相互作用 親水性相互作用