核磁気共鳴スペクトル測定(NMR)

NMRスペクトルは、シグナルの化学シフト値、カップリングや分子内積分比などの情報から分子構造を推定することができるため、有機化学や天然物化学などの分野において、主に分子構造解析を目的とした定性分析に用いられています。

NMRには分子構造解析などを行う定性NMRと、NMRの化合物中の原子核の数の比がピーク面積比に対応する特性を利用して、化合物の純度を求める定量NMR (qNMR) 法があります。

当社では定性、定量NMR分析に用いることのできる溶媒、機材、標準物質等を取り揃えております。

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定量NMR(qNMR) についてはこちら

NMRとは?

磁場の中に置いた物質に電磁波を照射すると、物質中の原子核に特有な周波数の電磁波 (ラジオ波) の吸収・放出が起こります。これを核磁気共鳴 (Nuclear Magnetic Resonance:NMR) といいます。NMR分光法 (単にNMRともいう) は、その原子核の特性に基づき吸収する電磁波の周波数を、吸収ピーク強度の関数として記録する方法で、その記録がNMRスペクトルです。

NMRスペクトルから得られる情報

化学シフト (ケミカルシフト)

NMRスペクトルの横軸は共鳴周波数を示し、それぞれの原子核の置かれた化学的環境に応じて差が生じます。これは化学シフト (ケミカルシフト) と呼ばれ、その値から官能基の種類を推定することができます。1H NMRの化学シフト値は、一般的にテトラメチルシラン (TMS) のメチル基の共鳴周波数を0とし、このシグナルとの共鳴周波数のずれを測定周波数で割った値を化学シフト値 (単位ppm) として表します。これにより化学シフト (厳密には、多重線シグナルにおいては、化学シフトの中心値) は外部磁場の大きさによらず同じ値となります。

カップリングとスピン結合定数

化学的環境が異なる核種同士が近傍に存在する時、両者は結合軸を介して互いに影響しあって、エネルギー準位の分裂を生じます。これがカップリングと呼ばれる現象です。カップリングしたシグナル同士の間隔は、スピン結合定数 (J値) として記述されます。カップリングしている核種同士は、同じ値のJ値を共有しますので、J値はどの核種同士が近接しているかを知る指標になります。

積分値

NMRでは、積分値 (正確には積分比) は、原子核の数に比例します。したがって例に示したエタノールの1H NMRスペクトルでは、3つの異なるタイプの水素による3つの共鳴があり、積分比は3:2:1になります。