抗酸化能測定キット

同仁化学 DPPH Antioxidant Assay Kit

体内の抗酸化力低下が様々な疾患の発症や健康障害に関与していることが示唆されており、抗酸化活性を有する食品(抗酸化食品)への期待が増えています。高知大学の島村らは、測定施設間差の少ない抗酸化活性評価法として DPPH (2,2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl)を用いた測定法を報告しています 1)

本製品は島村らの測定法に準拠したマイクロプレート法による評価法です。DPPH による測定法をマニュアル化し、また安定した一定品質の試薬をキット化することで、これまで課題となっていたデータのバラつきや試薬調製の煩雑さを抑える事ができております。

本製品は、高知大学 農林海洋科学部 農芸化学科 島村智子先生のご指導のもと、製品化した製品です。

参考文献

  1. T. Shimamura, et al.: Anal. Sci., 30, 717 - 721(2014).

試薬の調製手間を大幅削減

DPPH および Trolox は溶液状態で不安定なため用時調製が必要ですが、特に測定に影響を与える DPPH は、吸光度による含量確認まで行う必要があり、試薬調製には長い時間を要していました。

本キットでは測定に必要な試薬が小分けされており、測定前の簡単な準備で、すぐに実験を開始できます。

*DPPH の溶解操作には超音波洗浄機が必要です。

再現性の高いデータを実現

これまで施設間や測定日間でデータの再現性が得られない事が問題となっていました。本キットでは、データのばらつきを最小限に抑えるよう、試薬品質、プロトコル、解析法に着目することで、再現性の高い DPPH 測定キットの製品化を実現しました。

  • 一定品質の試薬

    測定結果に大きく影響する DPPH の純度と顔料を一定品質で提供いたします。
     

  • 最適化された測定条件

    測定時のpHや溶媒が抗酸化能の測定誤差となります。影響因子を排除した最適化マニュアルを用意しました。

  • 標準物質との比較で算出

    日間・施設間差の問題を Trolox を基準とした評価(TEAC)法により大幅に改善しました。

従来の課題を解決

DPPH による抗酸化活性の測定では、溶液中の pH や溶媒濃度が測定に影響します。本製品では、これらの影響を最小限に抑えるためのプロトコルと解析法を採用しています。

  • 測定時のpHによる影響

    製品添付の Assay Buffer により、一定のpHで測定が行えます。

  • サンプル溶媒の影響

    サンプル量を反応液全体の 1/10 (20 µL) に規定し、サンプルを水やエタノールに溶解しても測定値に差が出ないよう最適化しています。

IC50値のばらつき

  • アスコルビン酸 Trolox
    IC50 (µg/mL) TEAC (µg TE/mL) IC50 (µg/mL)
    測定1 37.24 1.42 52.98
    測定2 39.75 1.44 57.42
    測定3 48.22 1.47 70.95
  • サンプルの抗酸化能をIC50 値のみで解析すると、僅かな測定条件の差でデータがばらつきます。

    標準物質(Trolox)をサンプルと同時に測定し、抗酸化能をTrolox等価活性値(TEAC)として算出することで、再現性の高い測定値が得られます。

    TEAC (μg TE/μg) = Trolox IC50 (μg/mL) / Sample IC50 (μg/mL)

操作は試薬の添加だけ

試薬調製後は、96 穴マイクロプレートに試薬とサンプルを添加し、30 分間反応するだけの簡単な操作です。

測定例

施設間差の確認

3 施設において、本DPPH 法による抗酸化物質の測定を行いました。実験では、既知の抗酸化物質である没食子酸、カテキン、モリンをサンプルとしてキュベットを用いた分光光度計による測定を行い、Trolox 等価活性値(TEAC)として算出しました。結果、施設間で測定値の差はほとんどみられませんでした。

抗酸化活性 (TEAC:μg TE / μg)
没食子酸 カテキン モリン
施設 A 4.52 2.66 1.10
施設 B 3.66 2.45 0.90
施設 C 3.70 1.86 0.90
平均 3.96 2.32 0.97

参照元:T. Shimamura, et al.: NipponShokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 54, 482 - 487(2007).

マイクロプレートとキュベットによるデータの相関

上記の実験と同様に、3 種類の抗酸化物質をマイクロプレート及びキュベットを用いて測定し、Trolox 等価活性値として算出しました。結果、測定値はほぼ同等の結果が得られました。本キットではマイクロプレートを用いた測定となります。

抗酸化活性 (TEAC:μg TE / μg)
没食子酸 カテキン モリン
マイクロプレート 3.90 2.35 0.85
キュベット 3.96 2.32 0.97

抗酸化物質の測定例

各種抗酸化物質を、本DPPH 法(キュベット)により測定した例をご紹介します。

測定サンプル TEAC (μgTE / μg) 測定サンプル TEAC (μgTE / μg)
カテキン (C) 2.13 ± 0.08 エピカテキンガレート (ECg) 2.75 ± 0.12
ガロカテキン(GC) 2.11 ± 0.11 エピガロカテキンガレート(EGCg) 2.64 ± 0.10
エピカテキン(EC) 2.35 ± 0.07 カテキンガレート(Cg) 2.69 ± 0.01
エピガロカテキン(EGC) 2.55 ± 0.04 ガロカテキンガレート(GCg) 2.32 ± 0.07

参照元:草場ら, 既存添加物チャ抽出物におけるDPPH ラジカル消去能と他の抗酸化能との活性相関 : 日本食品保蔵科学会誌, 44, 3(2018).

SOD測定キット-WST

Superoxide dismutase (SOD) は、生体内に存在する抗酸化酵素であり、活性酸素種 (ROS) の一つであるスーパーオキシド (O2-)を消去する働きがあります。

本キットは 96 穴マイクロプレートを使い SOD 様活性を簡便に測定することができます。

同仁化学では、SOD様活性を測定するSOD測定キット-WSTもラインアップしております。

DPPH 法との比較

DPPH ラジカル消去活性と併用することで、異なる指標で抗酸化能を確認することができます。

測定法 原理 反応溶媒 標準物質 特長
SOD様活性 系中で発生させた O2- と被検物質を反応後、残存する O2- をWST-1 により比色測定 (450 nm)する。 不要
  • 生体内ラジカル(O2-) が指標
  • 水溶性サンプルに適応
  • 還元能のあるサンプルは測定が難しい
DPPHラジカル
消去活性
紫色に吸収のあるDPPH ラジカルを被検物質が還元することで、低下する吸光度(517 nm)を測定する。 水 /EtOH Trolox
  • 食品サンプルの測定報告例が多い
  • 水溶性の低いサンプルにも適応
  • 生体内に存在しないラジカルが指標

ACE 阻害活性測定キット-WST

ACE(アンジオテンシンⅠ変換酵素)の働きを阻害する食品は、血圧上昇を抑える機能性食品 (機能性表示食品や特定保健用食品等) として注目されています。本キットは、食品サンプルの血圧上昇抑制効果の有無を簡単に確認できる製品です。

同仁化学ではACE阻害活性を測定するACE阻害活性測定キット-WSTもラインアップしております。

本キットによる測定例

初めての方にも使いやすい

1サンプルあたり¥2,700を実現

50 tests 容量を新規ラインナップ。さらに活性の有無だけを確認できるプロトコルを追加しました。

測定に必要な試薬がセットに

キット中の試薬をサンプルと混合するだけの簡便操作(約2時間)で測定できます。

ACE阻害活性測定キット-WSTの詳細はこちらをご覧ください。

製品一覧

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