触媒的C-H活性化反応
通常、数多の反応条件に不活性なC-H結合を切断し、新たな結合生成を行う強力な手法です。
ハロゲン等の脱離基へと変換する工程が必要無く、副生物も少ない傾向です。このため、次世代型有機合成プロセスに必須の反応形式と捉えられています。
現時点での報告例の多くは、総じて反応条件が厳しく、化学選択性を実現するため特殊な配向基を必要とします。このため、まだまだ適用制限は多く、今後の研究によって数多の問題が解決されることが望まれています。
本記事はWEBに混在する化学情報をまとめ、それを整理、提供する化学ポータルサイト「Chem-Station」の協力のもと、ご提供しています。
Chem-Stationについて
反応機構
近傍に配位性官能基が存在するときには、金属のDirection効果によって酸化的付加が促進されます。
反応例
ハロゲン・金属などで修飾されてない基質をクロスカップリングに用いる研究が盛んです。Fagnouらは、ドナー・アクセプターとも非修飾型基質を用いる触媒的クロスカップリング条件の開発に成功しています1)。
sp3-sp3炭素-炭素結合を形成できるヒドロアミノアルキル化反応2)
アニリン誘導体のメタ選択的芳香環C–Hアリール化反応4)
メタ選択的芳香環C–Hアルケニル化反応5)
アルコールβ位の直接スルホニルオキシ化
芳香環のメタ位C–H結合の選択的ボリル化反応
実験手順
α-テトラロンのオルト位C-H活性化3)
参考文献
- (a) Fagnou, K. et al.: Science, 316, 1172(2007). DOI: 10.1126/science.1141956
(b) Fagnou, K. et al.: J. Am. Chem. Soc., 129, 12072(2007). DOI: 10.1021/ja0745862 - Herzon, S. B. and Hartwig, J. F.: J. Am. Chem. Soc., 129, 6690(2007). DOI: 10.1021/ja0718366
- Kakiuchi, F. and Murai, S.: Org. Synth., 80, 104(2002).
- Phipps, R. J. and Gaunt, M. J.: Science, 323, 1593(2009). DOI: 10.1126/science.1169975
- Leow, D., Li, G., Mei, T.-S. and Yu, J.-Q.: Nature, 486, 518(2012). DOI:10.1038/nature11158
- Y. Xu., Guobing, Y., Zhi, R. and Dong, G.: Nature Chem., 7, 829-834(2015). DOI: 10.1038/nchem.2326
- Kuninobu, Y., Ida, H., Nishi, M. and Kanai, M.: Nature Chem, 7, 712(2015). DOI:10.1038/nchem.2322
基本文献
- Murai, S., Kakiuchi, F., Sekine, S., Tanaka, Y., Kamatani, A., Sonoda, M. and Chatani, N.: Nature, 366, 529(1993). doi:10.1038/366529a0
Review
- Campeau, L. -C., Stuart, D. R. and Fagnou, K.: Aldrichimica Acta, 40, 35(2007).
- Alberico, D., Scott, M. E. and Lautens, M.: Chem. Rev., 107, 174(2007). DOI: 10.1021/cr0509760
- Chen, X, Engle, K. M., Wang, D.-H. and Yu, J.-Q.: Angew. Chem. Int. Ed., 48, 5094(2009). DOI: 10.1002/anie.200806273
- Gutekunst, W. R. and Baran, P. S.: Chem. Soc. Rev., 40, 1976(2011). DOI: 10.1039/c0cs00182a
- McMurray, L., O’Hara, F. and Gaunt, M. J.: Chem. Soc. Rev., 40, 1885(2011). DOI: 10.1039/c1cs15013h
- Davies, H. M. L., Du Bois, J. and Yu, J.-Q.: Chem. Soc. Rev., 40, 1855(2011). DOI: 10.1039/c1cs90010b
- Yamaguchi, J., Yamaguchi, A. D. and Itami, K.: Angew. Chem., Int. Ed., 51, 8960(2012). DOI: 10.1002/anie.201201666
- Hartwig, J.F.: J. Am. Chem. Soc., 138, 2(2016). DOI: 10.1021/jacs.5b08707
- Davies, H. M. L. and Morton, D. J.: Org. Chem., 81, 343(2016). DOI: 10.1021/acs.joc.5b02818
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