RAFT重合試薬(両末端反応型)

当社では、両末端に反応性基を有する二官能性 RAFT 剤を販売しています。ブロック共重合体や末端反応性ポリマーの合成など高機能性ポリマーの合成にご検討ください。

  • ad_20210824_polymer_polymerization_catalog.png

特長

  • 分子量の分布範囲が狭いポリマーを合成可能
  • 適した RAFT 剤を用いることで、広範囲のラジカル重合性モノマーの重合制御が可能
  • 両末端反応型のRAFT剤を用いて得られるポリマーは、鎖延長反応や架橋反応、ブロックコポリマー合成に利用可能

溶解性


(◎:10wt %以上、○:10~5wt %、△:5~1wt %、×:1wt %以下)

Diglyme
PGMEA
PGME
DME
MEK
EA
EtOAc
MeOH
:ジエチレングリコールジメチルエーテル
:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
:プロピレングリコールモノメチルエーテル
:ジメトキシエタン
:メチルエチルケトン
:アクリル酸エチル
:酢酸エチル
:メタノール

モノマー適合性


(A:PDI<1.1, B:PDI=1.1-1.3, C:PDI>1.3を表し、×は使用に適していないことを表す。)

両末端反応型RAFT剤を用いた重合結果一覧

Entry RAFT剤
コードNo.
モノマー 開始剤 [M]/[CTA]/[I]※1 溶媒 S/M※2 重合温度 重合時間 Mn Mw/Mn
1 029-17961 スチレン VA-086 50/1/0.5 DMF 0.5 110 ℃ 24hr 4,400 1.14
2 029-17961 スチレン VA-086 200/1/0.4 DMF 0.5 110 ℃ 24hr 16,500 1.15
3 029-17961 アクリル酸エチル VA-086 50/1/0.5 DMF 0.5 90 ℃ 6hr 5,500 1.15
4 029-17961 アクリル酸エチル VA-086 250/1/0.5 DMF 0.5 90 ℃ 6hr 28,500 1.14
5 029-17961 アクリル酸ブチル VA-086 40/1/0.1 DMF 0.7 90 ℃ 6hr 3,600 1.22
6 029-17961 アクリル酸ブチル VA-086 160/1/0.1 DMF 0.2 90 ℃ 6hr 14,500 1.18
7 020-18971 アクリル酸エチル AIBN 40/1/0.1 トルエン 0.2 70 ℃ 5hr 2,600 1.19
8 020-18971 アクリル酸エチル AIBN 40/1/0.05 トルエン 0.2 70 ℃ 3hr 4,300 1.23

※1 [M]/[CTA]/[I]はモノマー、RAFT剤、開始剤の仕込モル比を示す。
※2 S/Mはモノマーと溶媒との重量比を示す。

 

使用したRAFT剤の構造

Entry RAFT剤 コードNo. 構造式
1~6 029-17961
7~8 020-18971

反応例

RAFT剤(コードNo. 029-17961)を用いた重合例です。RAFT重合の基本反応からランダム共重合、ブロック共重合、ウレタン化反応といった応用反応を一例として挙げています。また、RAFT基の分解方法についても掲載しています。RAFT剤の初期検討にご活用ください。

構造式

RAFT 重合条件

RAFT 重合例(1)

RAFT剤(029-17961)(39.8g, 76.4mmol)とアクリル酸ブチル(391 g, 3051 mmol)、VA-086(1.10 g,3.81 mmol)にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF, 98 g)を加えて溶解する。混合物を窒素雰囲気下、-15 ℃で脱気する。次に、90 ℃で6時間オイルバスで加熱して反応し、氷浴で急速冷却させることで反応を停止させる。反応物にメタノールを加え、生成したポリマーを沈殿させる。沈殿・ろ過を繰り返す。60 ℃減圧乾燥させることにより Mn=3,600、Mw/Mn=1.22 のポリアクリル酸ブチルを得た。

RAFT 重合例(2)

 


ランダム共重合

RAFT 剤(コードNo. 029-17961)を用いたアクリル酸ブチル(BA)とメタクリル酸メチル(MMA)のランダム共重合の結果を示す。BA/MMA のモノマー仕込モル比が80/20の場合は Mn=5,700、Mw/Mn=1.32 で 78/22 の組成のランダム共重合が得られた。MMA の仕込量が増えると分子量分布が広がる。

コードNo. 構造式 モノマー仕込み比 分子量 共重合組成
M1 M2 [M1]0/[M2]0 Mn Mw Mw/Mn [M1]/[M2]
029-17961 アクリル酸ブチル メタクリル酸メチル 80/20 5,700 7,500 1.32 78/22
アクリル酸ブチル メタクリル酸メチル 50/50 4,700 8,000 1.72 42/58
アクリル酸ブチル メタクリル酸メチル 20/80 6,300 11,900 1.89 16/84

 

ブロック共重合

RAFT剤(コードNo. 029-17961)(20.4 g, 39 mmol)とスチレン(81.5 g, 783 mmol)、VA-086(1.2 g, 5.2 mmol)にDMF(23 g)を加えて溶解する。混合物を窒素雰囲気下、-15℃で脱気する。次に、90℃で 8時間オイルバスで加熱して反応し、氷浴で急速冷却させることで反応を停止させる。反応物にメタノールを加え、生成したポリマーを沈殿させる。沈殿・ろ過を繰り返す。60 ℃減圧乾燥させることにより Mn=1940, Mw/Mn=1.15 のポリスチレンを得た。このポリスチレン 87.7 g をマクロ RAFT 剤として、アクリル酸ブチル(232 g, 1810 mmol)、VA-086(0.65 g, 2.8 mmol)、DMF(55 g)で 90 ℃、6時間反応させる。藩王物を同様に再沈殿精製を行い、Mn=4,900、Mn/Mw=1.29 のスチレン‐アクリル酸ブチルの ABA タイプのブロック共重合を得た。

 


ウレタン化反応

両末端水酸基ポリアクリル酸エチル(Mn=2,500、Mw/Mn=1.28) 23 gとジフェニルメタンジイソシアナート(MDI, 2.7 g)を混合し、70 ℃で2時間反応させ、その後、鎖延長剤として 1,6-ヘキサンジオール(HDO, 0.8 g)とトリメチロールプロパン(TMP, 0.1 g)を加え、混合液を型枠に流し込み減圧下、110 ℃で6時間反応させた。Mn=8,700、Mw=23,800、Mw/Mn=2.7 のポリウレタンが得られた。

 

【トリチオカルボナート基分解反応】

00206_001945-007re.png

 

【ポリマー主鎖中のトリチオカルボナート基分解反応例】

RAFT 剤(コードNo. 029-17961)を用いて重合したポリスチレン(Mn=11,000、Mw/Mn=1.15、2 g)を THF(20 g)に溶解させ、エチレンジアミン(3 g)を加え、室温で19時間反応させた。反応後、メタノール再沈殿により精製し、白色固体を得た。処理後の分子量は Mn=7,200、Mw/Mn=1.30 であった。

製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。