RAFT重合試薬(両末端反応型)
特長
- 分子量の分布範囲が狭いポリマーを合成可能
- 適した RAFT 剤を用いることで、広範囲のラジカル重合性モノマーの重合制御が可能
- 両末端反応型のRAFT剤を用いて得られるポリマーは、鎖延長反応や架橋反応、ブロックコポリマー合成に利用可能
溶解性
(◎:10wt %以上、○:10~5wt %、△:5~1wt %、×:1wt %以下)
Diglyme PGMEA PGME DME MEK EA EtOAc MeOH |
:ジエチレングリコールジメチルエーテル :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :プロピレングリコールモノメチルエーテル :ジメトキシエタン :メチルエチルケトン :アクリル酸エチル :酢酸エチル :メタノール |
モノマー適合性
(A:PDI<1.1, B:PDI=1.1-1.3, C:PDI>1.3を表し、×は使用に適していないことを表す。)
両末端反応型RAFT剤を用いた重合結果一覧
Entry | RAFT剤 コードNo. |
モノマー | 開始剤 | [M]/[CTA]/[I]※1 | 溶媒 | S/M※2 | 重合温度 | 重合時間 | Mn | Mw/Mn |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 029-17961 | スチレン | VA-086 | 50/1/0.5 | DMF | 0.5 | 110 ℃ | 24hr | 4,400 | 1.14 |
2 | 029-17961 | スチレン | VA-086 | 200/1/0.4 | DMF | 0.5 | 110 ℃ | 24hr | 16,500 | 1.15 |
3 | 029-17961 | アクリル酸エチル | VA-086 | 50/1/0.5 | DMF | 0.5 | 90 ℃ | 6hr | 5,500 | 1.15 |
4 | 029-17961 | アクリル酸エチル | VA-086 | 250/1/0.5 | DMF | 0.5 | 90 ℃ | 6hr | 28,500 | 1.14 |
5 | 029-17961 | アクリル酸ブチル | VA-086 | 40/1/0.1 | DMF | 0.7 | 90 ℃ | 6hr | 3,600 | 1.22 |
6 | 029-17961 | アクリル酸ブチル | VA-086 | 160/1/0.1 | DMF | 0.2 | 90 ℃ | 6hr | 14,500 | 1.18 |
7 | 020-18971 | アクリル酸エチル | AIBN | 40/1/0.1 | トルエン | 0.2 | 70 ℃ | 5hr | 2,600 | 1.19 |
8 | 020-18971 | アクリル酸エチル | AIBN | 40/1/0.05 | トルエン | 0.2 | 70 ℃ | 3hr | 4,300 | 1.23 |
※1 [M]/[CTA]/[I]はモノマー、RAFT剤、開始剤の仕込モル比を示す。
※2 S/Mはモノマーと溶媒との重量比を示す。
使用したRAFT剤の構造
Entry | RAFT剤 コードNo. | 構造式 |
---|---|---|
1~6 | 029-17961 | |
7~8 | 020-18971 |
反応例
RAFT剤(コードNo. 029-17961)を用いた重合例です。RAFT重合の基本反応からランダム共重合、ブロック共重合、ウレタン化反応といった応用反応を一例として挙げています。また、RAFT基の分解方法についても掲載しています。RAFT剤の初期検討にご活用ください。
構造式 |
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RAFT 重合条件
RAFT 重合例(1)
RAFT剤(029-17961)(39.8g, 76.4mmol)とアクリル酸ブチル(391 g, 3051 mmol)、VA-086(1.10 g,3.81 mmol)にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF, 98 g)を加えて溶解する。混合物を窒素雰囲気下、-15 ℃で脱気する。次に、90 ℃で6時間オイルバスで加熱して反応し、氷浴で急速冷却させることで反応を停止させる。反応物にメタノールを加え、生成したポリマーを沈殿させる。沈殿・ろ過を繰り返す。60 ℃減圧乾燥させることにより Mn=3,600、Mw/Mn=1.22 のポリアクリル酸ブチルを得た。
RAFT 重合例(2)
ランダム共重合
RAFT 剤(コードNo. 029-17961)を用いたアクリル酸ブチル(BA)とメタクリル酸メチル(MMA)のランダム共重合の結果を示す。BA/MMA のモノマー仕込モル比が80/20の場合は Mn=5,700、Mw/Mn=1.32 で 78/22 の組成のランダム共重合が得られた。MMA の仕込量が増えると分子量分布が広がる。
コードNo. | 構造式 | モノマー仕込み比 | 分子量 | 共重合組成 | |||
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M1 | M2 | [M1]0/[M2]0 | Mn | Mw | Mw/Mn | [M1]/[M2] | |
029-17961 | アクリル酸ブチル | メタクリル酸メチル | 80/20 | 5,700 | 7,500 | 1.32 | 78/22 |
アクリル酸ブチル | メタクリル酸メチル | 50/50 | 4,700 | 8,000 | 1.72 | 42/58 | |
アクリル酸ブチル | メタクリル酸メチル | 20/80 | 6,300 | 11,900 | 1.89 | 16/84 |
ブロック共重合
RAFT剤(コードNo. 029-17961)(20.4 g, 39 mmol)とスチレン(81.5 g, 783 mmol)、VA-086(1.2 g, 5.2 mmol)にDMF(23 g)を加えて溶解する。混合物を窒素雰囲気下、-15℃で脱気する。次に、90℃で 8時間オイルバスで加熱して反応し、氷浴で急速冷却させることで反応を停止させる。反応物にメタノールを加え、生成したポリマーを沈殿させる。沈殿・ろ過を繰り返す。60 ℃減圧乾燥させることにより Mn=1940, Mw/Mn=1.15 のポリスチレンを得た。このポリスチレン 87.7 g をマクロ RAFT 剤として、アクリル酸ブチル(232 g, 1810 mmol)、VA-086(0.65 g, 2.8 mmol)、DMF(55 g)で 90 ℃、6時間反応させる。藩王物を同様に再沈殿精製を行い、Mn=4,900、Mn/Mw=1.29 のスチレン‐アクリル酸ブチルの ABA タイプのブロック共重合を得た。
ウレタン化反応
両末端水酸基ポリアクリル酸エチル(Mn=2,500、Mw/Mn=1.28) 23 gとジフェニルメタンジイソシアナート(MDI, 2.7 g)を混合し、70 ℃で2時間反応させ、その後、鎖延長剤として 1,6-ヘキサンジオール(HDO, 0.8 g)とトリメチロールプロパン(TMP, 0.1 g)を加え、混合液を型枠に流し込み減圧下、110 ℃で6時間反応させた。Mn=8,700、Mw=23,800、Mw/Mn=2.7 のポリウレタンが得られた。
【トリチオカルボナート基分解反応】
【ポリマー主鎖中のトリチオカルボナート基分解反応例】
RAFT 剤(コードNo. 029-17961)を用いて重合したポリスチレン(Mn=11,000、Mw/Mn=1.15、2 g)を THF(20 g)に溶解させ、エチレンジアミン(3 g)を加え、室温で19時間反応させた。反応後、メタノール再沈殿により精製し、白色固体を得た。処理後の分子量は Mn=7,200、Mw/Mn=1.30 であった。
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