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1,3-ビス[(3-メチル-2-ブテン-1-イル)オキシ]-2-プロパノール 1,3-Bis[(3-methyl-2-buten-1-yl)oxy]-2-propanol

有機合成用
for Organic Synthesis
規格含量 :
97.0+% (capillary GC)
製造元 :
富士フイルム和光純薬(株)
保存条件 :
室温
CAS RN® :
2337348-25-9
分子式 :
C13H24O3
分子量 :
228.33
適用法令 :
危4-3(非水溶性)-III
GHS :
  • 構造式
  • ラベル
  • 荷姿
SDS
比較
製品コード
容量
価格
在庫
販売元
021-19741
JAN
4548995093745
100mL
希望納入価格
8,000 円

20以上

販売元
023-19745
JAN
4548995093752
500mL
希望納入価格
23,000 円

6

ドキュメント

SDS
製品規格書
スペクトルデータ
検査成績書
校正証明書

製品概要

DPNG (Diprenyl Glycerin Ether)は、単独で酸素を吸収・分解する機能を有し、酸素による硬化阻害を低減しUV硬化を促進する添加剤です。また、DPNGを樹脂に配合することによって、酸素をトリガーとする樹脂の黄変劣化を抑えることができます。

DPNGの構造式

DPNGの物性および特長

<DPNGの物性>

IPEMAの物性

<DPNGの特長>

  • 分子単独で酸素を吸収・分解する機能を有する。
  • 空気雰囲気下でのUV硬化において、酸素による反応阻害を抑制し硬化を促進させる
  • 樹脂に配合することによって、酸素をトリガーとする樹脂の黄変劣化を抑えることが可能

製品の紹介

<DPNGの酸素吸収能>

DPNGの酸素吸収能を測定した結果を図1に示します。酸素を吸収する材料として知られているN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と比較して、DPNGは優れた酸素吸収効果を示し、アリールグリシジルエーテル(AGE)で必要とされる金属触媒を使用しなくても高い酸素吸収性を示すことがわかります。DPNGはアミン化合物で見られる着色・臭気がないため、添加剤として様々な用途に使用できます。

DPNGの酸素吸収能試験

図1. DPNGの酸素吸収能試験

分解物解析より推定されるDPNGの酸素吸収メカニズムを図2に示します。反応時にDPNGのアリル位にラジカルが生成、続いて酸素と反応することでDPNGの過酸化物ラジカルの生成と共に酸素が補足されます。生成した過酸化物ラジカルは他のDPNGの水素を引き抜くことでDPNGラジカルを再生し、DPNGの酸素吸収サイクルが進行すると考えられています。

DPNGの酸素吸収メカニズム

図2. 推定されるDPNGの酸素吸収メカニズム

<UV硬化の促進>

DPNGを添加剤として用いたUV硬化の時間変化を図3に示します。モノマーとしてトリアクリル酸ペンタエリトリトール、ラジカル重合開始剤として1-ヒドロキシシクロへキシル=フェニル=ケトンを用い、リアルタイムIR測定で反応率の変化を追跡しました。酸素遮断条件では開始30秒で反応率74.5%で重合反応が進行したのに対し(凡例1)、空気雰囲気下では酸素の影響で反応率は4.3%に留まりました(凡例6)。一方、DPNGを添加した場合、空気雰囲気下でも反応率はそれぞれ46.2%を示し、反応率が10倍以上向上しました(凡例2)。また、反応率の時間変化を見ると、DPNGを添加することによって、酸素遮断条件と同様にUV照射直後から反応率が急上昇していることも大きな特長です。

DPNG、IPEMA添加によるUV硬化の促進
DPNG、IPEMA添加によるUV硬化の促進
DPNG、IPEMA添加によるUV硬化の促進

図3. UV照射によるオレフィン反応率の時間変化

<樹脂の黄変抑制>

塗料・コーティング中に含まれる樹脂成分は経時的に酸化を受け、その酸化によって黄変やひび割れなどの樹脂劣化を引き起こします。そのため、塗料・コーティングの多くには酸化防止剤が添加されています。しかし、特にフェノール系の酸化防止剤はラジカル重合の停止剤として作用して硬化不良を引き起こすことがあり、酸化防止に十分な処方量の添加が難しいケースがあります。
DPNGは酸素吸収性を有することから、酸素をトリガーとして進行する樹脂の酸化劣化を防止する添加剤として機能します。一般的な酸化防止剤の多くは固体であるのに対して、DPNGは液体であり樹脂やコーティング液に高い相溶性を示します。DPNGをUV硬化組成物に処方すると、DPNGはUV硬化時に硬化促進剤として働き、硬化後は樹脂の劣化を防ぐ酸化防止剤として働きます。
DPNGを配合したポリウレタン樹脂の耐候性試験を図4に示します。DPNG添加品は未添加品や他の酸化防止剤と比べてΔYI値(黄変度の変化量を示す値)が小さく、黄変が抑制されていることがわかります。既存の酸化防止剤はラジカル種や過酸化物をクエンチすることで酸化を防止する一方、DPNGは酸素そのものを吸収・分解することで酸化を防止します。したがって、他の酸化防止剤と併用することによって、酸化防止の相乗効果が期待されます。

DPNGの添加によるポリウレタン樹脂の黄変抑制

耐候性試験後のポリウレタン樹脂、(左) ブランク、(右) DPNG添加

DPNGの添加によるポリウレタン樹脂の黄変抑制

図4. ポリウレタン樹脂の耐候性試験における添加剤の効果

<参考文献>

  1. 野口大樹:フォトポリマー懇話会ニュースレター, p. 5, No. 94, April (2021).
  2. 加藤直也、福本隆司:月刊MATERIAL STAGE, 22, 76 (2022).

*本品は株式会社クラレの開発品です。写真は同社よりご提供していただきました。

概要・使用例

概要 本品は、酸素の吸収・分解能力を持った無色透明液体の炭化水素系化合物です。主な用途として、UV硬化促進、樹脂の酸化劣化抑制、金属の酸化抑制が挙げられます。

物性情報

外観 無色~ほとんど無色、澄明の液体
溶解性 アセトン及びエタノールに溶け、水に難溶である。「溶解性情報」は、最適溶媒が記載されていない場合がございます。

「物性情報」は参考情報でございます。規格値を除き、この製品の性能を保証するものではございません。
本製品の品質及び性能については、本品の製品規格書をご確認ください。
なお目的のご研究に対しましては、予備検討を行う事をお勧めします。

製造元情報

別名一覧

  • ジプレニルグリセリンエーテル
    DPNG
    1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-ヒドロキシプロパン
  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 製品規格・包装規格の改訂が行われた場合、画像と実際の製品の仕様が異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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