還元剤

還元反応は、不飽和結合や特定の官能基を別の構造に変換できるため、有機合成化学において多用されています。
これらには触媒によって水素を導入する水素添加反応(水添反応、接触水素化反応)や、水素供与体を還元剤として用いるヒドリド還元があります。
当社では、汎用的な還元触媒であるパラジウム-カーボン(Pd/C)や、水素添加反応の中でも触媒活性を段階的に調整した官能基選択的触媒、その他各種の還元剤をご紹介しています。
なお、遷移金属触媒についてはこちらからご確認ください。

学術コンテンツ

還元反応とは

還元反応にはいろいろな定義があり、「物質間で授受する対象」に注目して理解されている場合が多いです。主に①~③のような考え方があります。

① 酸素の場合:物質が酸素を失う反応  (酸化物から酸素が外れる)
② 水素の場合:物質が水素と結合する反応(不飽和化合物が飽和化合物にかわる)
③ 電子の場合:物質が電子を受け取る反応(物質の負の電荷が増える)

自身は酸化され、相手を還元する物質を一般的に還元剤と呼びます。還元反応は工業的にもよく用いられており、物質の変換反応として特に重要な反応に分類されます。

還元反応の種類

有機化学における還元反応の種類は、水素化、ヒドリド還元、金属単体による還元、ヒドラジン還元など種類が豊富です。

・水素化反応
代表的な水素化反応は、水素ガス雰囲気下で遷移金属触媒を用いて実施されます。アルケン、アルキン、芳香環、カルボニル基、ニトロ基などの不飽和結合部位に水素が添加することから、水添反応、接触水素化とも呼ばれます。
不均一触媒としてよく用いられるのが、活性炭を単体としたパラジウムカーボンです。反応後はろ過によって除去され、還元剤の水素も残らないのが特長です。また、均一系触媒としては種々の配位子をもつパラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金などがあります。不斉配位子を用いた不斉水素化、還元能を制御した選択的還元反応、部分還元など精密な合成に用いられます。

・ヒドリド還元
分子内にヒドリド(H-)を有する還元剤を用いる反応で、13族(3B族)のヒドリド錯体が代表的です。
種類によって還元できる官能基が異なります。NaBH4,B2H6,LiAlH4などが知られています。

・金属単体による還元
一電子還元剤として働く金属単体は各不飽和結合を還元します。ニトロ基の還元などによく用いられる反応です。

・ヒドラジン還元(ウォルフ・キシュナー還元)
カルボニル化合物をヒドラジンと反応させるとメチレン基に変換する反応です。

関連サイト

バーチ還元
ウォルフ・キシュナー還元反応