組織標本脱色試薬

組織化学染色では、基本的に染色法ごとに組織切片を用意する必要がありますが、一度染色した組織を脱色し、再染色を行うことができればそのような必要がなく精度の高い臨床検査や研究を行うことができます。当社では新規組織脱色試薬を deColorizing Solutionとして製品化しております。本手法では組織にダメージを与えることなくHE染色やマッソン・トリクローム(MT)染色で染色された組織切片を脱色し、他の染色法で再染色が可能です。

製品ラインアップ

学術コンテンツ

組織化学染色の課題と新規組織標本脱色試薬

組織化学染色では、基本的に染色法ごとに組織切片を用意する必要があります。しかし試料の状態や大きさによっては複数の組織切片を用意することが難しかったり、観察したい構造が(隣接する)複数の組織切片にまたがってない場合もあります。

このような場合に一度染色した組織を脱色し、再染色を行うことができれば精度の高い臨床検査や研究を行うことができます。特にヘマトキシリン・エオジン(HE)染色は最初に行われる代表的な染色法であり、HE染色を行った組織を脱色し、再染色できる技術が求められてきました。

これまでにも染色した組織の脱色法としてアルコールと塩酸の混合溶液やシュウ酸、過マンガン酸カリウム含有溶液などが用いられてきましたが、アルコールに塩酸の混合溶液ではヘマトキシリンの脱色が不十分であり、過マンガン酸カリウム、シュウ酸による脱色では組織切片へのダメージが大きいという問題点がありました。

当社では麻布大学 小澤秋沙先生・坂上元栄先生が開発した新規組織脱色試薬を deColorizing Solutionとして製品化しております。本手法では組織にダメージを与えることなくHE染色やマッソン・トリクローム(MT)染色で染色された組織切片を脱色し、他の染色法で再染色が可能です(図1)。

図1 : deColorizing Solutionによるマウス脳(海馬)の脱色
(データ提供元:麻布大学 小澤秋沙先生・坂上元栄先生)

 

麻布大学獣医学部 解剖学第二研究室 小澤秋沙先生に執筆いただいた【テクニカルレポート】新規組織化学染色脱色法 (和光純薬時報 Vol.87 No.4)もご覧ください。