一次抗体 (線維化)

線維化は慢性的な炎症状態にある臓器においてコラーゲンなどの線維が沈着する現象で、肝硬変や糖尿病性腎症において認められます。これらの疾患の根治療法は存在しておらず、治療に関連する研究開発が盛んに進められています。当社はCTGFやインテグリンといった線維化において重要な分子に対する高性能抗体を提供しています。

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線維化とは?

線維化とは結合組織が異常増殖する現象のことで、繊維化の基盤は線維芽細胞によって産生されるコラーゲンなどの細胞外マトリックス(Extracellular Matrix/ECM)の過剰蓄積です。線維化のきっかけは様々で、ウイルス感染、自己免疫反応、組織の損傷などで引き起こされます1)

本来であれば損傷の修復などに必要なメカニズムである線維化ですが、慢性的な炎症などで長期に渡って損傷し続けた場合にECMが過剰に蓄積し、組織に重篤な機能不全を引き起こします。線維化は特発性肺線維症、肝硬変、慢性腎臓病、関節リウマチなどの疾患で見られます。

線維化のメカニズム

上皮細胞や内皮細胞が傷害を受けると、炎症反応によってリンパ球が活性化します。活性化されたリンパ球は線維化を促進する増殖因子(TGFβ, PDGF)やサイトカイン(IL-13)を放出し、マクロファージや線維芽細胞を活性化します。その後、線維芽細胞はα-SMA(α-smooth muscle actin)を発現する筋線維芽細胞に分化し、コラーゲンなどのECMを産生します。慢性的な傷害や炎症によって筋線維芽細胞によるECM産生が過剰になると線維化が引き起こされます1)

TGFβは線維化の中心となる分子と考えられています。通常、TGFβは受容体に結合できないよう不活化されていますが、トロンボスポンジン-1(TSP-1)やマトリックスメタプロテアーゼ(MMPs)、インテグリン、活性酸素種(ROS)などにより活性化され、受容体に結合できるようになります2)。TGFβが受容体(TGFβR1, ALK)に結合すると転写因子Smad2/3がりん酸化され、核内へ移行後、下流の遺伝子発現を促進します。Smadによって転写誘導される代表的な下流遺伝子としてCTGFが挙げられます。CTGFはTGFβシグナルを介した線維化に必要な因子であり、筋線維芽細胞への分化やコラーゲンの合成を促進します3)

TGFβシグナル伝達の他にもWntシグナルやYAP/TAZシグナルなどが線維化に関わっていることが明らかになっており4)、線維化の予防や治療には、シグナル伝達を始めとした線維化の分子メカニズムをより詳細に理解する必要があります。

参考文献

1) Wynn, T. A.:J. Pathol., 214(2), 199(2008)
2) Biernacka, A., Dobaczewski, M., and Frangogiannis, N. G.:Growth Factors, 29(5), 196(2011)
3) Duncan, M. R., et al.:The FASEB journal, 13(13), 1774(1999)
4) Piersma, B., Bank R. A. and Boersema, M.:Front. Med., 2, 59(2015)