分画したミトコンドリアのComplexⅠの測定が可能!

同仁化学 分画ミトコンドリア用ComplexⅠ活性測定キット

Complex I は、細胞内でNADH から電子を受け取り、Ubiquinone (Coenzyme Q) へ渡す役割を担っています。この電子伝達反応に伴い、ミトコンドリア内膜のマトリックス側 (内側) から膜間腔側 (外側) へプロトンが汲み出され、ATP合成に必要な膜電位の形成に寄与します。
本製品では、分画したミトコンドリアに試薬に含まれるNADHとUbiquinoneを添加することで、Complex I による電子移動が起こりNADH が NAD+ に酸化されます。このときの吸光度340 nm の変化量 (NADH の減少速度) を測定することで、Complex I の活性を評価可能です。

原理

ミトコンドリアComplex I 活性評価

ミトコンドリア呼吸鎖Complex I〜IVは、それぞれ異なる電子伝達機能を担い、細胞のエネルギー代謝と酸化還元制御に寄与しています。中でもComplex I (NADH:ユビキノン酸化還元酵素) は電子伝達の起点であり、ミトコンドリア内における主要なROS (Reactive Oxygen Species) 生成源として位置づけられています。
 Complex I の活性変動は、酸化ストレス応答や細胞死経路 (特にネクロトーシスおよびフェロトーシス) の誘導に直結しており、病態形成における中心的役割を果たします。さらに、Complex I 阻害によってCoQH2 (ユビキノール) レベルが低下し、脂質過酸化が亢進することでフェロトーシスが誘導され、がん細胞の選択的死滅を促進する可能性が示唆されています。

参考文献:R, Deng et al.: Cell Death Dis., 16, 254 (2025)
F. Basit et al.: Cell Death Dis., 8, e2716 (2017)

ミトコンドリア電子伝達系

ミトコンドリア電子伝達系
Complex (名称) 主な役割 特徴 関連疾患・病態 参考文献
I
(NADH:ユビキノン酸化還元酵素)
NADHからCoQ (ユビキノン) へ電子伝達 ROS産生の主因、Supercomplex形成に関与 パーキンソン病、がん、虚血障害、フェロトーシス誘導 Cell Death Dis. (2025)
Redox Biol. (2023)
Neuropsychopharmacology (2019)
II
(コハク酸脱水素酵素)
コハク酸からCoQへ電子伝達 ROS産生は少ない、TCA回路と連携 リー症候群、ミトコンドリア病 Eur. J. Hum. Genet. (2024)
III
(シトクロムbc1複合体)
CoQH2からシトクロムcへ電子伝達 Supercomplex形成、ROS制御に関与 炎症性疾患、免疫異常、ミクログリア機能障害 Sci. Adv. (2025)
Cell Death Discov. (2025)
IV
(シトクロムc酸化酵素)
酸素へ電子を渡して水を生成 最終電子受容体、ATP産生に直結、酸素依存性 アルツハイマー病、パーキンソン病 Neuropsychopharmacology (2019)
Signal Transduct. Target. Ther. (2025)
V
(ATP合成酵素)
プロトンの流れを利用してATPを生成 膜貫通構造 (F0) と回転機構 (F1) を持ち、プロトンの流れによるF0の回転がF1にエネルギーを伝えATPを合成 Complex V欠損症:NARP, MILS,
新生児ミトコンドリア脳症など
Eur. J. Hum. Genet. (2021)

原理

Complex I は、細胞内でNADH から電子を受け取り、Ubiquinone (Coenzyme Q) へ渡す役割を担っています。この電子伝達反応に伴い、ミトコンドリア内膜のマトリックス側 (内側) から膜間腔側 (外側) へプロトンが汲み出され、ATP合成に必要な膜電位の形成に寄与します。
本製品では、分画したミトコンドリアに試薬に含まれるNADHとUbiquinoneを添加することで、Complex I による電子移動が起こりNADH が NAD+ に酸化されます。このときの吸光度340 nm の変化量 (NADH の減少速度) を測定することで、Complex I の活性を評価可能です。

測定原理

*本製品は分画済みのミトコンドリアサンプルを対象としています。
測定の前に、IntactMito Fractionation Kit for Tissue (メーカーコード MT17) などを用いてミトコンドリアを分画する必要があります。

使い方

キット同梱の試薬を添加するだけの簡単な操作で測定が可能です。

使い方

データ例

ミトコンドリア量に応じた活性評価

本製品を用いて、分画ミトコンドリア (タンパク質量として 0 µg、2.5 µg、5 µg) における Complex I 活性を測定し、ミトコンドリア量に比例した Complex I 活性値が測定できることを確認しました。

サンプル:ウシ心臓由来ミトコンドリア
0分から6.5分の吸光度変化率からComplex I の活性を算出

ミトコンドリア量に応じた活性評価

Complex I 測定の特異性

ウシ心臓由来ミトコンドリア (5 μg/well) を用いて、ミトコンドリア複合体の阻害剤と脱分極剤本製品を用いて、Complex I 活性を測定しました。
結果、Complex I 阻害剤を添加したミトコンドリアのみ活性が低下し、本製品はComplex I 特異的な活性を測定できることを確認しました。

Complex I特異的な測定
ComplexⅠinhibitor (0.5 µmol/L Rotenone)
ComplexⅡinhibitor (0.5 mmol/L TTFA)
ComplexⅢinhibitor (0.5 µmol/L Antimycin)
ComplexⅤinhibitor (0.5 µmol/L Oligomycin)
脱分極剤 (0.5 µmol/L FCCP)

サンプル:ウシ心臓由来ミトコンドリア
0分から3.5分の吸光度変化率より各酵素活性を算出

マウス脳から分画したミトコンドリアの活性評価

マウスの脳組織からミトコンドリアを分画し、酸素消費速度 (OCR)ミトコンドリア膜電位 (MMP) およびComplex I 活性を測定しました。
 この結果、電子伝達系のComplex IIを活性化する基質であるsuccinateを添加するとOCRおよびMMPが増加し、FCCP処理後のMMPが減少したことから、インタクトなミトコンドリアが分画できていることを確認しました。 さらにComplex I 活性測定では、Complex I 阻害剤であるRotenone処理による活性の低下を確認しました。

実験のタイムスケジュール例

実験のタイムスケジュール例
マウス脳から分画したミトコンドリアの活性評価 (OCR)
<実験条件>
ミトコンドリア量: 50 μg/well (タンパク質量として)
Succinate: 10 mmol/L
マウス脳から分画したミトコンドリアの活性評価 (MMP)
<実験条件>
ミトコンドリア量: 50 μg/well (タンパク質量として)
Succinate: 10 mmol/L, FCCP: 4 μmol/L
マウス脳から分画したミトコンドリアの活性評価 (Complex1)
<実験条件>
ミトコンドリア量:20 μg/well (タンパク質量として)
Rotenone: 10 μmol/L

Q&A

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