組織透明化試薬 (植物)

植物の内部構造を観察するには透明化が有効な手段です。しかし植物を透明化するには、屈折率の均一化に加え、クロロフィルの除去が必要です。名古屋大学大学院の栗原大輔博士らが開発したClearSee™は、蛍光タンパク質の蛍光を維持しつつ、クロロフィルを効果的に取り除くことのできる植物透明化試薬です。

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植物に特化した透明化試薬の開発

生体組織が不透明に見える原因は、生体内の屈折率が不均一であることに加え、光を吸収する色素などが含まれているからです。特に植物では、植物細胞の細胞壁と細胞質の屈折率が異なり、照射した光は細胞を通過するごとに屈折してしまうことに加え、光を吸収する色素であるクロロフィルが多く含まれています。そのため、植物を透明化するには、植物全体の屈折率の均一化かつ光を吸収する色素(クロロフィル等)の除去が必要です。

動物組織の透明化手法であるScale法を用いて、Warnerらが植物の透明化を試みましたが、透明化には1~3週間かかることが報告されました1)。これは、植物に多く存在するクロロフィルが除去できず、透明化を阻害しているためです。そのため、より迅速な植物の透明化を実現するにはクロロフィルを効果的に取り除く必要がありました。

名古屋大学大学院の栗原大輔博士らが開発したClearSee™は、蛍光タンパク質の蛍光を維持しつつ、クロロフィルを効果的に取り除くことのできる植物透明化試薬です2)。ClearSee™は、Scale法で用いる試薬の組成をベースに化合物をスクリーニングし、界面活性剤にデオキシコール酸ナトリウムを用いることで蛍光タンパク質の蛍光維持とクロロフィルの迅速な除去を実現しました。

参考文献

  1. Warner, Cherish A., et al. "An optical clearing technique for plant tissues allowing deep imaging and compatible with fluorescence microscopy." Plant physiology 166.4 (2014): 1684-1687.
  2. Kurihara, Daisuke, et al. "ClearSee: a rapid optical clearing reagent for whole-plant fluorescence imaging." Development 142.23 (2015): 4168-4179.