抗原賦活化試薬

免疫組織染色における抗原性の低下は、固定段階のホルマリン処理により生じた架橋によって標的抗原のエピトープがマスキングされることが原因です。賦活化には熱処理によるものと、酵素処理によるものがありますが、バッファーや反応条件の検討に労力がかかります。このような場合には、イムノセイバー のような条件検討の手間がかからない抗原賦活化用のバッファーを使用することもお薦めです。

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抗原性の低下と賦活化処理

免疫組織染色における抗原性の低下は、固定段階のホルマリン処理により生じた架橋によって標的抗原のエピトープがマスキングされることが原因です。抗原賦活化はエピトープを再度露出させる処理のことを指し、賦活化の成否で染色結果に大きな差が出ることもあります(図1)。

抗原賦活化の方法

抗原賦活化の方法にはいくつかありますが、多用されるのは熱処理による賦活化と酵素処理による賦活化です。

熱処理による賦活化

試料に熱を加えることによって架橋構造を取り除きます。加熱の方法には温浴、マイクロウェーブ(電子レンジ)、オートクレーブなどがあり、賦活化の効果は温浴<マイクロウェーブ<オートクレーブの順に大きくなります。またバッファーにもいくつか種類があり、一般的に蒸留水<クエン酸バッファー(pH 6.0)<Tris-EDTAバッファー(pH9.0)の順に賦活化の効果が大きくなります。しかしオートクレーブやTris-EDTAバッファーが一概に良いとは言えず、試料(抗体、固定化条件、包埋方法)にあった温度、時間、pH、緩衝液を検討する必要があります。なお抗原毎にこれらの条件を検討するのは手間がかかるため、 イムノセイバー のような条件検討の手間がかからない抗原賦活化用のバッファーを使用することもお薦めです。

酵素処理による賦活化

プロティナーゼKやペプシン、トリプシンなどの酵素で処理することで賦活化を行います。最適な酵素濃度を検討する必要があります。

 

参考文献

高橋英機 監修, 大久保和央 著, 細胞・組織染色の達人, 羊土社, 2018