エクソソーム除去血清
細胞培養で添加する血清には採取した動物由来のエクソソームが含まれていることが知られており、実験結果に大きな影響を与える可能性があります。そのため細胞培養上清などをサンプルとしたエクソソーム研究では、できるだけ血清に由来するエクソソームが取り除かれた血清を使用するのが望ましいとされています。当社では従来の血清と同程度の細胞増殖能を維持しつつ、エクソソームを限りなく除去した血清を取り扱っております。
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エクソソーム研究における血清(FBS)の選択
動物細胞の培養では多くの場合、培地に対して5-10%の血清を添加します。血清には細胞増殖の促進や生理機能の発現に有用な成長因子や細胞接着因子、キャリアタンパク質などが含まれています。実験で使用する血清はウシ胎児血清(FBS: Fetal Bovine Serum)が良く使用されます。
しかしながら、エクソソームなどの細胞外小胞(EV: Extracellular Vesicle)を対象とした研究では、血清の添加によりウシ由来の細胞外小胞が混入してしまうため、できるだけ血清を使用しないことが好ましいとされています。対策として、細胞外小胞回収の48時間前に無血清培地に交換するという方法が提案されていますが1)、細胞種によっては無血清培地での培養が困難なケースもあります。
そのような場合には、あらかじめ細胞外小胞を除去したFBSを使用します。FBSを超遠心分離(100,000×g以上、16時間、4℃)にかけて除去する方法1)の他、「エクソソーム除去血清」として市販されている血清も有効な手段です。ただし市販されているエクソソーム除去血清もメーカーによってFBS由来の細胞外小胞がかなり残っている場合もあり(図1)、使用前に実際にELISAなどで確かめてみることをおすすめします。
図1 FBSに残存する細胞外小胞の検出
ウシと交差性をもつビオチン標識抗CD9/CD63/81抗体をそれぞれ検出用抗体に使用したPS Capture™ Exosome ELISA Kit (Streptavidin HRP) (コードNo. 298-80601)により各FBS中に残存する細胞外小胞を検出した。
未処理: エクソソーム除去処理無しFBS/UC処理: 超遠心によりエクソソーム除去を行ったFBS/Biosera: Exosome-Depleted FBS (コードNo. 558-39501)/他社品A: 他社 エクソソームフリーFBS/他社品B: 他社 エクソソームフリーFBS
参考文献
- 吉岡祐亮、落谷孝広編: 「決定版エクソソーム実験ガイド」, p.36 (羊土社) (2020).